ネタバレレビュー:劇場版おっさんずラブ〜Love or Dead〜(2019)

劇場版おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜(2019)を観ました.結論としては「こんなもんで映画を自称するな」です.
2時間スペシャルにもなっとらん.観客をバカにしているし,LGBTQコミュニティを愚弄している.製作陣はこのプロジェクトに熱意がないか,あるいは無責任なのでしょう.以下,全部ネタバレしながら総評を書き連ねることとします.

まず,映像は学生レベルに毛が生えたくらいです.ややもすると今どきの学生のほうが美しい構図を考えて撮るのではないか?
屋内シーンでは備え付けの照明が役者の頭にかぶるのなんかは当たり前でした.
フレームレートからしてガッタガタで,そのくせどこにも焦点の合ってないパンショット??を挟んで(おそらく)臨場感を演出しているらしいんですけど,拙いだけですよ.だってそもそもこれアクション映画じゃないでしょ?
構図もつまんねー画面ばかりを切り返し続けてくるので,そうだね,「ちゃんと映って」ますよ,えらい.撮って出しかな.夏祭りの屋台のセットも安っぽかったなぁ.
春田のモノローグ付き顔芸もしつこいし,それしかないのはわかるけど,工夫や新規性の感じられない画作りでした
終盤には燃え盛る炎の中で春田と牧が語らうシーンがありますが,役者の瞳には炎が映らないんです.つまり画面の背景で固形燃料を燃やしているだけです.ちゃんと予算使って欲しい.

劇伴やサウンドミックスはテレビ版の流用程度でしかないので,もうどうでもいいです.映画版の豪華なサウンドミックス,とかはなかった.ナレーションで謎のエコーがかかってたけど,劇場の音響設定ミスかな?それともそういう演出ですか?どちらでも驚きません.まあ,全編問題なく聞き取れるのでよかったですよ.

脚本ですか.ええ,お察しのことでしょう,「無い」んですよ.主人公カップルが仕事とプライベートの両立で躓き,テキトーな事件を経てようやくお互いに向き合って,再スタートを切る.「わざわざ今作で後ずさりさせた分を取り返しておしまい」です.本来二時間かけてやることじゃないし,「続編」である映画でやっていい迂回でもない.
だからね,何その尺稼ぎ?!誰も求めてないのに読めすぎる展開?何なの今のグダグダ?!?と,終始驚くこと請け合いなんですけど,この際最後までネタバレ込みの説明させてほしい.()内はボヤキです.


主人公春田と,後輩で恋人の牧はドラマ版の時点で婚約にこぎつけましたが,春田が上海・香港赴任で一年間日本を離れていました.映画は春田の帰国前日から始まるわけです.
(いや,もうこれ単純に製作陣が香港ロケしたかっただけだよね?露骨な伏線を配置して申し訳程度にお茶を濁してるけど,香港の町並みを走り回る冒頭のアクション(笑)に意味はありましたか?この時点で尺が余ってしまって始末に困ってるのが見え見えじゃないですか.もしこれが”やりたかったこと”だとしてもこの作品でやることじゃないよね?百歩譲ってやるにしても,だったらせめて原付バイク追跡の映像をかっこよく撮って?原付バイクの荷台に乗ってる指輪の箱が坂道でもなんでも一切落ちないのも失笑でした)

サプライズで恋人の牧が春田の部屋を訪れます.ところが目覚めた春田は,行きずりの白人男性と裸でベッドを共にしていることに気づきます.これを目撃した牧に浮気を疑われ,今作を通して続くギクシャクが始まるんですね.
(”酔いつぶれた男性を介抱して家に連れ帰り,自分も同じベッド眠ってしまっただけ”とされていますが,”春田が他の男と浮気していた”と誤解させるためだけの映像作りに腹が立った.コメディだからといって説明を放棄していい話ではない.この後も再三繰り返す指摘ですが,誤解や困惑を解かずに放置する展開が多すぎる.身に覚えがあるのか,ないのか.なぜそんな思わせぶりなことをするのか,作中のキャラクターが置いてけぼりのまま,”そういう画が欲しかった”という制作側の意図だけが映し出されます)
特に対話をする様子も描かれず帰国し,街を歩く春田.すれ違いざまにぶつかりスーツケースをぶちまけてしまったところを,一緒に拾ってくれる新キャラが新卒の後輩ジャスティスです.
(春田のパンツを拾い手渡しで「pretty」とか言ってた.初登場の犯罪臭は本シリーズの様式美なのか.)

本来の職場である営業所に戻ってた直後に,本社によるベイエリアの再開発プロジェクトの話が始まります.春田の所属する不動産会社と,中国企業でリゾート事業を手がける鳳凰山が業務提携し,二社混合の精鋭社員からなるジーニアス7とやらを自称,会社会長の鳴り物入りで行う一大事業なのだとか.ジーニアス7のリーダーが新キャラその2,沢村一樹でした.本社勤務に戻った恋人・牧もジーニアス7の一員です.営業所の面々は,担当区域の早急な地上げを本社チームから求められるのでした.
(今どき中国企業を悪役にしちゃう安直さもさることながら,ジーニアス7(笑)の薄ら寒さも格別です.しかも中国側の社員は顔見せ程度でなんら掘り下げがなされない.あと黒澤,春田に結婚式から逃げられておいて普通に接してるのもおかしくない?後腐れないものなの?まじで?)

地域住民の意向をないがしろにしたこの再開発事業には営業所の面々も反感を覚えながら,建設着手を急ぎたい本社チームによるプレッシャーに屈して,地上げの説得は続きます.ドラマ版であらゆる性犯罪に手を染めた例の危険人物・上司黒澤ですが,本社での会議で沢村とホモエロティックな対立をしたかと思えば,会議後に足を滑らせて階段から転落,病院に搬送されます.怪我は軽症でしたが,「春田のことだけが思い出せない」記憶喪失であることが判明しました.再び春田に恋をする兆しを見せる黒澤.遠くから凝視してくるあたり,ドラマ版のストーカーが帰ってきた感じがして怖気が走りました.
(3角関係に戻すための苦肉の策ですね.春田と牧は浮気騒動と多忙ですれ違いを起こさせ,黒澤は都合のいい記憶喪失で二人の間をかき乱す.脚本自体がキャラクターの成長に向き合うつもりがないことが露呈していますし,不快でした.)

さて,本作の宣伝でプッシュしていた「5角関係」は,追加の2名・沢村一樹とジャスティスが,実は両名とも異性愛者であることが終盤明かされるんですよ.だから厳密には3角関係のままなんです.でも,身体的接触や言動,ボディランゲージは性的なほのめかしを存分に含んでいます.沢村は牧を自分のもののように扱い春田を遠ざけては嫉妬させますし,春田にもさも体を求めているかのような振る舞いをします.ジャスティスは春田に過度になついて身体的接触を憚らず,黒澤を嫉妬に狂わせることになります.でも,実際は沢村もジャスティスも「性的に牧や春田に興味を持っているわけではない」んです.あくまで前述した「観客にそう思わせておきたいだけ」の映像です.こういう手口,許しちゃいけないと思う.

牧はプロジェクトの業務で多忙を極め,会話の弾まない春田は一段とギクシャクしていきます.去年のプロポーズも本気で言っていたのか?など売り言葉に買い言葉で同棲解消する事態に.牧はホモフォビアの父がいる実家に帰っていくのでした.
同棲解消に具体的な対処する様子もない春田は,地道な地上げ活動を通じてジャスティスと親交を深めていきます.中でも手ごわいうどん屋の説得に難航していました.
上司黒澤も出向いて説明に向かい,地上げの話をする以前に,先ずはうどん屋の手伝いをしようと言い出します.春田に恋をしている黒澤はジャスティスの馴れ馴れしい言動にいちいち腹を立て,ジャスティスを平手打ちし,腹を殴りと暴行を加えました.映像ではコメディになっていますが,ただの傷害事件です.一悶着あって春田がうどん粉を頭から被り,おひらきに.三人で銭湯に入りました.サウナで語らうジャスティスと春田.
ジャスティスは春田の耳に息を吹きかけたり,後ろから春田の乳首を触ったりして,セクハラの数々をこなしていきます.
(ノルマでもあるのかよ)
家族の話になりかけて退室するジャスティスに変わって,記憶喪失黒澤が入場してきます.再びの春田への告白でいよいよ不穏な空気が流れたところで,沢村と牧もサウナに現れるのでした.閉館のアナウンスが入るまで,口論になってしまいました.
(このサウナシーンの締りの無さときたら!沢村と黒澤のホモエロティックな張り合い,沢村の牧への独占欲的な振る舞い,牧と黒澤の春田争い,特に役割のないジャスティスと春田,この五人でグダグダ口論するだけ.しんどかった.切り上げ方も見失って,どうにもならなくなって館内アナウンス入れたんでしょ?)

帰り道,普通に過労で倒れる牧.事情を知らず牧の家を訪問した春田に,ホモフォビアの父が牧の入院を伝えました.なぜそんなことも知らないんだ,と叱責されました.病院に駆けつける春田ですが,ちょうど牧の退院に付き添う沢村を見て声をかけず立ち去ります.
(しかし牧,君よく倒れるね?)

日を跨いで,普通に楽しかった花火デートもそこそこに,口論になり別れを切り出す春田.用意していた指輪を川に投げ捨てたりして,それを見ていたジャスティスに「ちゃんと気持ちを伝えなきゃ後悔する」と諭されます.無事に指輪も見つかり,それで牧を追いかけるのかと思いきや,一旦話は途切れるのでした.
(沢村への嫉妬もあって口論の中で春田は「ジャスティスといた方が楽しい」とかいい始めるんですけど,それは何?恋愛対象として?友人として?ひいては牧との関係もその程度のものということでは?と疑問ばかりが浮かんできました.)
(ぼうっと佇むジャスティスが映り込むカット,ITのペニーワイズ的な恐ろしさを感じた.極めて私的な会話を立ち聞きしていたことも気持ち悪いけど,普通に入れ替わりで話し始めるのも不自然だった.で,ジャスティスは「数年前に両親と兄を交通事故で亡くし,兄に言った最後の言葉が"うるせえな"だったことを悔いている」ので「ちゃんと気持ちを伝えなきゃダメだ」と叱ってくるんです.家族愛のジャスティスと,まだ恋愛の段階の春田では根本的に話の方向性がズレていて,その例持ち出しても響かないだろ…と身も凍る思いで冷めていたんですけど.両隣のお客さんはグスッと来ていました.)

そう,ここで話は不動産のほうに戻りまして,沢村が突然鳳凰山との提携を打ち切るんですね.沢村は地上げを急かしてきていたのに,なんか色々怪しいぞ…ってんで春田とジャスティスで本社に乗り込んだら,「鳳凰山がこっちの会長の娘を人質に取っているらしい」と雑な話が始まりました.
時間を開けて春田をわざわざホテルに呼び出し,バスローブでお迎えする沢村は,妙にエロく語り出します.春田はまだ沢村が牧を狙っていると思い込んでいますから,自分の身を捧げて牧から手を引かせようと考えるんです.沢村のほうは当然そんな気は全くなくて,なぜホテルに呼び出したのか,なぜ春田に迫って見せたのか,これは観客にもわかりません.
実際は「鳳凰山がドラッグ取引に手を染めていることがわかり,先の事業も麻薬の温床にされる恐れがあった.わが社に非はなくとも,鳳凰山の悪事が表沙汰になればわが社の信用にも傷がつくので,提携打ち切りを言い渡した.ところが,鳳凰山は"そのまま提携を続けろ"と会長の娘を人質に取って脅迫してきた.牧と対処をするから,春田は余計なことをするな」と話をしたかっただけなんですよ.
(この辺から話が瓦解していくので,もはや書くのも馬鹿らしいんですけど,沢村はゲイじゃないんですよ.なんなの?この一連の無駄なシーン?で,何その超展開?中国企業が人質を取って提携継続を恫喝?再開発終わるまで何年越しの話ですか?脚本の人は何考えてるの?)

翌日当然のように単身で鳳凰山日本支社に乗り込み,話を付けたがる春田.銃を突きつけられまるで無駄に終わり,会長の娘と同じ場所に監禁されてしまいました.電話で営業所に助けを求める春田は,壁の隙間から所在地の特徴を伝え,電源が切れてしまいます.
(屋内とは言え日本国内で平気で銃を構える中国企業が出てくる時点でちゃんちゃらおかしいんですけど,監禁するのに私物を取り上げもしないんですか.劇中でも長すぎる滑りコントの後に突っ込まれるんですけど,ケータイ持ってるなら最初からGPSで場所わかるでしょ…尺の無駄ですよここ.)

気の強い会長の娘は時限爆弾を解除しようとしてタイムリミットを縮めてしまい,すんでのところで春田と協力して爆弾を外に投げ飛ばします.爆煙で営業所の面々も集まり始め,救出劇が始まりました.
(なんで人質が時限爆弾イジれるように置いてあるんだよ,見張りはいないのかよ,そして投げ飛ばしたくらいで無事に済むのかよ,じゃあ絶賛連鎖爆発してるのはなんだよ.などなど,ツッコミどころのオンパレードで楽しくなって来ちゃった!)

牧は春田が人質に取られたことを知るや真っ先に駆け出していましたが,春田のおおよその所在地に見当がついている黒澤と偶然合流し,二人で燃え盛る廃工場に突入していきます.我こそは先に春田を救うんだ,と互いを妨害しながら進んでいき,綱渡りとか雲梯とかやってました.口論の最中に牧が足を滑らせ落ちそうになったところを,黒澤が救う茶番もありましたね.
(牧,よく行き先わかったね??春田レーダーですか?「かっこ悪いところも全部見せ合えるのが,本当の愛じゃねえのかよ」と啖呵を切る黒澤は一見まともなことを言っているし,かっこいい気がしてくるんです.ただ,黒澤はストーカー性犯罪オヤジなので,「いやおまえが言うと自分の正当化にしか聞こえねえよ?」と冷静になりましょう.騙されてはいけない)

とりあえず会長の娘の救出に成功し,気を失っている春田に人工呼吸する役割を巡って騒いだ黒澤はI'll be backと言い残し去りました.取り残された春田と牧は,二人で脱出を試みます.降りかかる瓦礫に行く手を阻まれたりしながら,都度ピンチを演出したり,遺言めいた対話をする二人.先の黒澤の発破を受けて,牧もようやく本音を吐露し始めます.春田と牧はお互いの気持ちを再確認して,脱出の決意を新たにするのでした.
(っていうか壁を鈍器で殴れば出られるなら最初からそうしてくださいよ.まともな密室になってないじゃないですか.)
(牧は肝心なときに何かと強がっては本音を隠す傾向にあること,逃げの姿勢が性格上の欠点として描かれているんですが,ドラマ初回でしでかしたシャワー侵入からの「巨根じゃダメですか?」との整合が取れないよね.まぁ,映画を通して向き合ってこなかった春田と"死にかけてようやく"初めて対話をするのでした.)
(春田は牧に劣等感を覚え,意欲的な仕事ぶりに嫉妬していた.反対に牧は仕事とプライベートの両立が難しかったこと,ひいては現実的な"二人での"展望に向き合うことに恐れを抱いていた.ということらしいんですが,だったら最初からそれを主題に一本撮ればいいじゃないですか????)


なんやかんやで皆が助かりました.めでたし.エピローグでは各キャラクターの着地が描かれます.
黒澤は武川が靴を履かせてくれたことで記憶が蘇りました.武川とようやく芽生えたようです.
再開発事業は地域に寄り添う姿勢を忘れずに,一からの見直しが決定.提携先は香港の伏線(笑)を回収して解決しました.
そうそう,偏屈なうどん屋の息子は沢村だったのです.ジャスティスは会長の娘と結婚しますし,ついでに沢村は5人の子持ちの愛妻家であることが明かされました.
"クソ失礼な今時の若者"キャラだった後輩マロと黒澤の元妻の恋愛も,マロが黒澤に元妻の許しを請うてめでたく結ばれました.
今度は牧のシンガポール出向が決まり,春田と牧は初めて下の名前で呼び合いキスを交わして,再会を誓ったのでした.おしまい.
(ツッコミ所が多すぎてついていけないんだけども,まず武川の足ドンや黒澤の春田との妄想など,様式美にされているがなんらかの暴力でしかないので止めていただきたい.)
(次,うどん屋と沢村の親子関係.しんみりさせようとしてくるけど唐突だな?!んでだから何?主張のない展開でしたね.)
(ジャスティスと会長の娘との結婚は,なんだ,何がしたいんだ."会長の座も狙っちゃいます"とか耳打ちされてもこの場面に至ってはノイズでしかない.)
(特筆すべきは武川が黒澤に宣う「愛されるより愛したい」の恐ろしさですよ.今まで恋愛対象から合意を得る素振りを全く見せて来なかった武川が,今後さらに暴走する大義を得た瞬間なのでは?ハラスメント常習者同士の武川と黒澤でよろしくやってください.おめでとう)
(マロが黒澤の元妻に求婚するのに黒澤に頭を下げる画面,もう何が何だかわからなくて)
(ようやくせっかく向き合うことにしたのに,また片方が日本を離れるオチには閉口するしかありませんでした.)

つぎ,演技について.
春田の中の人が,役どころとはいえ男性としょっちゅうキスするのには乗り気じゃないんだろうなぁ,としか思えないんですよね.
恋人関係にある牧との身体的親密さを映すことをことごとく回避している脚本ですから,手を繋ぐ,キスをする,程度しか起きない.キスも口を押し付けるだけで,BL作品のわりには主演の二人でエロスを表現する意欲が感じられませんでした.
コメディ要素はモノローグ付きの顔芸か叫ぶばかりですし,ドラマ要素は顔をぐちゃぐちゃにして絞り出すのがやっと.与えられたキャラクターで表現できる精一杯でしょうね.役者として新しいことをさせてもらえないもどかしさが見えました.


牧に関しては今回大して独立した役割を与えられていないんですよ.だから,黒澤への対抗心を燃やすところや,沢村による高圧的振る舞いに満更でもない様子くらいしか目立つところがなかった.
春田とのすれ違いに激昂したり,後で一人涙する程度で,これまた新しいことはしてない…可愛ければ良いのか?

黒澤は脚本の都合でもう一回ストーカーをやってるのでいつも通りなんですけど,相変わらずサイコ・ホラーでしたねえ.ホラーを純愛として描く制作陣の神経が一番こわい.

沢村・ジャスティスについては,新キャラなんだけど必要ないんですよね.尺稼ぎのためにそこにいる人たちでした.
沢村は素がエロいのでサマになってるんですけど,受けた演出自体は純度100%のまやかしですし,「悪役かと思いきやイイヤツでした」なのは大変おいしい役どころだし,沢村自身は楽しく演技していたんじゃないだろうか.
ジャスティスは"セクハラサービス要因だけどノンケ"で,精神的に未熟なあどけなさと家族を亡くした痛ましさ,両面を演じたのが新鮮でした.どちらも説得力はなかったけども.大枠を見ると彼には役割がないので,ノーコメント.

総論です.
そもそもなんですが,おっさんずラブシリーズは続編ドラマが完結編として制作されることが既に決まっているんです.
つまり今作は"中継ぎ"なんですよね.シリーズにおけるこの映画自体の立ち位置が,プロットの薄さを助長したんだと思います.
しかし,根底にあるのは制作陣の作品自体への,あるいはBLというジャンルへの熱意の欠落だったり,経験とリサーチ不足であったり,ひいては責任感の欠如なんです.
こんなクオリティで完成品として世に送り出してしまったのは,作り手も受け手も「これでいい」という認識でいるからでしょう.
作品の熱心なファンこそ「これじゃ許せん」と怒るべきところなのに,"BLの尊さ"に目が眩んで中身の杜撰さに気付かないでいる.あるいはあえて目を背けて,もてはやしてしまっている.嘆かわしいのはこういうファンダムの稚拙さの方かもしれません.(だって俺ファンじゃねえよ?嫌いだもん,この作品の手口)
もはやメインストリームの娯楽作品として大ヒットしてしまっていることも含めて,双方に目を覚まして欲しい.


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