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屋上効果

少し前に、坂道グループのアイドルにハマっていた時期があった。

今でもSNSでちょくちょく情報を見たりするが、以前のようにCDが出たらすぐ買いに行ったり、出演番組を徹底的にチェックしたりというようなことはしなくなった。
「人より少し詳しい程度」だと思ってもらえればいい。

熱狂的なアイドルのファンをやっていると、心臓に悪いゲリライベントが時々発生する。

スキャンダルである。

スキャンダルが発生すると、ライブ当日とかメンバーの卒業発表とかと同じくらいSNSが活発化する感じがある。もちろん中身は全然違うが。

たいていお決まりのパターンで「恋愛禁止破ったから許せない派」と「恋愛の自由くらいあっていいだろ派」と「これ見よがしにネタにする変態」が次々と投稿して騒がしくなっていく。

アイドルの恋愛が良いか悪いかなんて、本人たちの裁量に任せればいい。
大事な時期に恋愛に現を抜かすことを怠慢とするならば罪として罰を与えればいいし、恋愛も心の安定を保つ上で必要ととらえるなら相手に迷惑をかけない範囲で認めればいい。
それでも「御意見を述べずにはいられない」のが、アイドルファンの性質らしい。

結果、スキャンダルに遭った本人がブログやSNSで「不快な思いをさせてすみませんでした」と謝る。これも大体お決まりのパターンだ。

私はこのことに対して、思っていたことがある。

「謝るくらいならハナからやらなきゃいいじゃん」

これは御意見というか、疑問だ。
アイドルのスキャンダルは、良し悪しは別として少なくとも当人の印象を良くすることがほとんどない。卒業まで何もなく過ごして、卒業後に俳優とかスポーツ選手と結婚したほうがよっぽどいいのに、なぜ在籍中にリスクを伴う方に進んでしまうんだろう。
(まあこれも、凡人のつまらない価値観なのかもしれないが。)

このことについて長い間疑問に思っていたが、最近私は自分の中での答えを出すことができ、勝手に納得した。




―私は高校生の時、屋上で昼ごはんを食べることに憧れていた。晴天の下、広い屋上で伸び伸びと過ごす昼休み、今でもしてみたいくらいだ。

しかし私の高校の屋上は特別なことがない限り使用することはできず、いつも鍵がかかっており、こっそり出ることすら叶わなかった。

文化祭の後夜祭で屋上に出ることができたので、屋上がどんなところかは分かっている。あそこで昼休みを過ごせたら気持ちいいだろうということも想像がつく。

生徒が屋上のフェンスを乗り越えて落下するようなことがあったら危険とか、諸々の理由があったのかもしれないが、当時の私にとって「屋上立ち入り禁止」というのは、意味が分からない規則であった。誰にも迷惑はかけないし、とにかく屋上で昼休みを過ごしたかった。

高校を卒業してかなりの年月が経ち、今高校の屋上を思い出すとき「立ち入り禁止じゃなかったらどうだっただろう」と冷静に考えられるようになった。おそらく、立ち入り禁止じゃない屋上は、何の特別感もない当たり前の場所だろう。何回かは行くが、そのうち飽きて「屋上暑いし、普通に教室で過ごせばよくね?」とか言い出すのが目に見える。

「通常は入ることが出来ない屋上」こそ至高なのである。屋上への”ちょっとした好奇心”を「入れない」ということが何倍にも膨れ上がらせる。

社会的には何の問題もない(ここ大事)のに、なぜか自分たちにだけ禁止されていること、そのラインを踏み越えることは、禁止されていない時と比べものにならないほどの快楽を感じるようだ。
これを「屋上効果」と呼ぶことにした。




さて、アイドルの恋愛に屋上効果を当てはめるとどうだろう。

一般に恋愛は何の悪でもない。限られた領域の中でのみ禁止されているものだ。そして禁止の理由を正確に説明することは困難である。屋上効果の適用条件がそろっている。

そして「恋愛をしたい」という感情の根源は”ちょっとした好奇心”なんかではない。
人間の三大欲求の一つ、「性欲」である。

ひょっとしたら、アイドルという立場で、禁止状態におかれた上でする恋愛は、我々一般人からは想像もつかないレベルの快楽を含んでいるのかもしれない。週刊誌に撮られるとか、そんなこと気にならないくらい楽しいのかもしれない。
そう思った。

それからというもの、私はアイドルを応援するのをやめ、自分自身がアイドルになることを目指すようになった。

嘘だけど。

おわりに

今回はおリンが担当しました。

今回展開した「屋上効果」については、何か心理学的にも似たような現象・学説がありそうだと思ったので、インターネットで調べてみました。
「校則違反 心理学」で検索。

出てきた記事にこんなことが書かれていました。

「ルールには必ず理由があります。守る理由が分からないというのは精神年齢が低いからです。」

うるせェ!!みなまで言うな!!

…取り乱しました。以上。

アイドルと周辺スタッフは一般の目に触れないところでも様々な仕事をしているので、メンバーの加入時に恋愛に関するルールやその設定理由も説明しているかもしれません。だとすればそのルールは守られるべきです。その辺の透明性を確保していったほうがいいかもしれません。私に御意見があるとすればそのくらいですね。

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次回は生糸が担当の予定です。お楽しみに…!


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