Windows におけるサーバ仮想化の進化
村松です。2016年、Windows Server 2016 がリリースされました。
リリースされたサーバ OS には、Windows コンテナと呼ばれる、新しい仮想化技術が導入されました。
これは、仮想化技術の進化と言えるでしょう。
今回は、Windows における仮想化の進化と今後を取り上げてみたいと思います。
仮想化の歴史
Windows OS の仮想化は、Windows 2000 のリリース頃にさかのぼります。
Windows 95時代のマルチタスクは、16ビットの古い方式のマルチタスクでしたが Windows NT以降では、本格的なマルチタスクが可能となりました。
OS自体のマルチタスクが可能となったことで、OS の仮想化が実現しました。
技術自体は、大型コンピューターで進化した仮想化技術があり、それをダウンサイジングしたイメージです。
OSの仮想化が始まったとはいっても、初期のものはパフォーマンスの劣化が激しく、運用サーバの実現には向いていませんでした。しかし、テストや開発環境としての利用は可能であり、サーバ構築の手法が大きく変わりました。
運用レベルになったのは、ハイパーバイザー型の仮想化が登場してからでした。
パフォーマンスの劣化が抑えられ、運用ツールも整備されてきたことから、サーバの仮想化が急速に進展しました。
仮想化の進化とクラウド
現在、クラウドファーストが浸透し、「クラウド」を活用している企業が増えています。
インターネットの拡大・浸透と仮想化の進化が、「クラウド」とよばれるネットワークを通じたコンピューティングサービスの提供サービスにつながったといえるでしょう。
現在、マイクロソフトは『クラウドファースト』のスローガンのもとに、クラウドのための技術開発やサービス開発を行っています。
その一部を Windows Server OS への機能を追加する形で実装してきています。
Windows Server OSの機能のいくつかを見てみましょう!
■複数サーバ管理が可能なサーバマネージャー:
クラウド管理された多数のサーバを、1台1台にログオンして管理するのではなく、1台のサーバから集中管理できるようになりました。
■サーバコア:
サーバが集中管理できるのであれば、管理サーバ以外にはGUIは不要なので、GUIモジュールを除外できるようになりました。
■Hyper-V レプリカ:
仮想ゲストサーバを停止させずに遠隔地へのレプリケーションを行うことで、SLAの大幅向上を実現できるようになりました。
■ストレージレプリカ:
Hyper-V レプリカに加えて、ストレージ共有型のHA構成(High Availability)であっても、遠隔地への常時レプリケーションが可能になりました。
■記憶域スペースダイレクト:
ネットワークに接続された他のホストにつながったストレージを、まとめて一つのストレージとして利用することができるようになりました。これによりハイパーコンバージドと呼ばれる。サーバリソースを高いレベルで集約化できるようになりました。
■Nanoサーバ:
Windows OS をゼロから再構成し、無駄を徹底的に省いた単機能・高性能サーバを可能にしました。
■Windows コンテナ:
Hyper-V のような OS 仮想化ではなく、OS そのものは共有のまま、アプリケーションリソースだけを分離して複数のサービスが稼働できるようにしました。これにより、超高速での立ち上がりや、プログラムでコントロールされたアプリケーション構成の展開が可能になりました。
■パスポート認証等のサポート:
Kerberos のような閉じた環境の認証だけではなく、クラウドサービス間での認証に使われる SAML 等のクレームベース認証のサポートが強化されました。
これからの仮想化
仮想化の対象はサーバだけではなく、ストレージもネットワークも仮想化が急速に進んでいます。
そして、それらが統合した結果、インフラの仮想化が進み、ユーザはオンプレとクラウドの垣根を意識することなくシステムを利用するようになることでしょう。
さらに、それらが進展すると、インフラだけではなくサービスの仮想化が進みます。つまり、ユーザはどのサービスを使っているかを意識することなく、組み合わされたサービスの結果だけを享受することになるでしょう。
それがいつなのか?それが実現したときにどのような世の中になるのかは分かりません。
しかし、変化が加速している現代では、案外早くその時がくるのかもしれませんね。
総括
柔軟性や可用性の高さにより、今後も「クラウド」「サーバ仮想化」「ストレージ仮想化」などのニーズは高まるでしょう。 これとともにWindows サーバ がどのような進化をとげるのか興味深くみていきたいと思います。
2016年12月26日記
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