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いつもいつでもうまくはいかない

この記事は

傷つかない方法(著者・武藤清栄)

の読書記録となります。

①バリアを張る

 自身を守ろうと思ったら、誰もが無意識に防御に徹します。 
 無言なり我慢なりしてその場をやり過ごそうとしますが、残念ながら外的要因は絶えず発生します。生きてれば何度も遭遇する、言わばゴキブリのようなものです。
 そこで3つ、うまい防御――バリアの仕方を紹介したいと思います。 

 1つ目はそもそも近づかないことです。
 嫌な人との接触は最小限にして、それ以外の関係は一切断つというなんともまあシンプルなものです。難しいという人は無言の圧力を出してもいいかも知れません。相手はその意図をなんとなく察してくれるはずですから。
 2つ目はいじけてみるです。
 怒られたら内心退行してみるということです。退行という行為は防衛機制の1つにも挙げられていて、とても有効な手段と言えます。
 言葉にしたら関係が険阻なものになってしまうかも知れませんが、心の内でならなにを言おうが勝ってです。とことん拗ねてやりましょう。
 3つ目は逃避です。
 SNSなんかで予期せぬ反感を買ってしまったとき、いちいちリプライしてたらストレスが肥大するだけです。そんなときは、SNSから離れましょう。そして好きなことに没頭しましょう。
 無視や放置は一見間違いのように思えますが、実は時間療法としてとても効果的なのです。激情に身を任せるのは誰でも疲れますからね。熱りが冷めるのを待てばよいのですよ。

②上手に往なす

 ここでも有効な手段を3つ紹介させていただきます。

 まずは柳に風を受け流すこと。
 どこ吹く風で会話を聞き流すということです。
 といっても毎度この手段を取っていては明らかに人望が落ちてしまいます。この方法が有効なのは、主に自分がとばっちりを喰らっているときです。売上が悪いのは君のせいだ! などといった唐変木なことを唐突に言われたときですね。 
 理不尽に真面目で挑んでも絶対に勝てません。なぜなら、原因が存在しないのですから。
 それ故に、不真面目に挑むことが有効になります。滅茶苦茶なものには滅茶苦茶なマインドで立ち向かうのです。始めから勝てない無理ゲーに真剣に臨むのは愚行でしかありません。
 次にあえて会話べたになること。
 具体的には言葉を拾ってオウム返しで会話を成り立たせるのです。
 これは実際やられたら面倒なやつですね。話を聞いてくれてはいるけど、聞いてないみたいな状態で相手は会話に乗り気になれないでしょう。
 相手にそう思わせたのなら作戦成功です。
 勿論これも理不尽な状況に陥った際に関してのみ有効な手立てです。友達にやったら友達激減キャンペーンまったなしです。
 最後に健全なドMになるです。
 これだけ趣向がだいぶ違いますが、その場しのぎのキャラを作るということです。
 揶揄われても強く反論しない、あえてポンコツキャラを演じる。
 そうすることで相手の気分を害さずに事を収束させる術です。
 しかし我慢はストレスの原因です。ここで溜まったストレスは趣味で消化します。そうしないとパンクしてしまいますから。
 行き過ぎたらいじめに発展しそうで怖くもありますが、候補としてはありでしょう。実際、本当の顔を隠して世渡りしてる人なんて何人もいますし。

③まとめ

 遊び心をもって嫌な事態をやり過ごす、という本著で一貫して確立されたスタンスが面白かったです。  
 真面目な解決策を提示するのもいいですが、こうやって手軽な解決策を提示するスタンスもありかな、と思います。
 しかし、そんな書物が無数に世に出回ってしまうほど、世知辛い社会になっているのですね。みんながみんなを慮れればなんて思いますが、こんなものは理想にすぎないのでしょう。個人は個人のためにしか身を焦がせない。個人が集団を幸せにできるほど、社会は簡単ではないのですから。
 処世術は知っていて損はありません。
 いつかけったいな事態に直面したら、話半分に聞き流してみるのもいいのかな。けどなんか申し訳ないな……
 と、悪に徹しきれない優しい人が多いから、日本人の不満は消えないのでしょう。これは長所……なのかな?

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