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「学校・保護者間の連絡手段のデジタル化」についての改善案【その1:個人情報の代わりにニックネームやIDを活用する】

先日、↓の文科省のツイートを見ました。これが学校・保護者間の連絡手段のデジタル化の後押しになると良いと思います。それにプラスして、この図中のAfter の流れのところでもう少し改善できるかなと思いましたので note します。


学校・保護者間の連絡手段の Afterの流れ
1.教員がアンケートフォーム作成
2.QRコードやURLの生成
3.学校→保護者へメールで回答URLを送信
   or 子供経由で保護者に配布
4.保護者はスマホやPCで回答
5.自動集計

※引用元https://twitter.com/mextjapan/status/1318486066706272258/photo/2

改善案1 氏名など、個人認証のための入力項目を簡単にしたい

およそ全てのアンケートや申込書では児童や保護者の氏名を記入しますが、これは以下の環境において省略できます。

省略可能な環境
●アンケート対象が”特定少数”(学校のクラス単位など)
●さらに、次の内容の名簿が既にExcelなどのデータで手元にある
 1. 所属(クラス名など)
 2. ID(出席番号など)
 3. 氏名
 (できれば)4. メールアドレス 


省略の方法の前に、そもそもなぜ、アンケートや申込時に児童氏名や保護者氏名が必要なのでしょうか?

あたりまえですが、いったい誰がそのアンケートを書いたのか?が必要だからです。それからもうひとつ”なりすまし”を防ぐ役割があります。だれでも他人の名前くらいかけるので、だれが書いたか分かるのと同時に”本当にその人か?”というのもポイントになります。ハンコや手書きの署名はある程度の信用をもたらします。

アナログの時代にどれだけなりすましがあったかは分かりませんが、たんに誰が書いたかわかれば良いのであれば出席番号だけで十分のはずです。そうでないのは番号だけでは間違いやすいというのと、やはり文書としての信用といったところでしょう。

翻って、今回の連絡手段デジタル化 After の流れにはアンケート結果や申込の”信用”には触れられていません。手書きの文字と違ってデジタルの文字は誰が入力したかをそれだけでは判断できないわけですから、本来はデジタル署名が必要になります。でも、そこまでやるには現時点ではちょっと敷居が高くなるからでしょう。

それに、特定少数に対するアンケートの場合、その配布や窓口が狭いことで、ある程度のセキュリティを担保していると言えなくもありません。※Youtubeの限定公開のように。

では、このことを踏まえて以下の具体的な流れを確認します。

●省略の方法1 個人情報の代わりにユニークなニックネームを使う

1.アンケート対象者にユニークな(面白いではなく、重複しないの意)ニックネームを割り当て
2.そのニックネームと氏名の対応表を表計算ソフトのシートに作成
3.アンケートフォームには氏名の代わりにニックネーム欄を設け入力を促す
4.集計時にそのアンケートフォームに入力されたニックネームと2で作成した対応表を表計算ソフトのVlookup関数で結びつけその他の情報(児童名、保護者名、クラス等)を追記

1は、幼稚園などでも象やキリンなどのキャラクターを園児一人ひとりに割り当て管理していますが、その要領で楽しく、いじめがないように決めましょう。一文字違いで同じになってしまうニックネームなど区別しにくい名称は避けましょう。

2は、例えばA列にニックネーム、B列以降に出席番号、氏名、保護者氏名などをいれて表を作成しましょう。

3は、ニックネームを忘れた場合には氏名でも良いなど最初は柔軟に対応できるとよいでしょう。しかしながらニックネームは、突き詰めれば国家のマイナンバー並みのインフラになる可能性もあるので出来るだけ学校生活に浸透するようにしましょう。

4については、Vlookup関数が扱えることが前提になってきますので、学習しましょう(このnote でも近いうちに)。一般的な表計算ソフト=ExcelやGoogleのスプレッドシートなどには備わっています。

集計時にそのアンケートフォームに入力されたニックネームと対応表を表計算ソフトのVlookup関数で結びつけその他の情報(児童名、保護者名、クラス等)を追記してアンケート結果を完成させます。


●省略の方法2 アンケートフォーム自体を回答者別に生成して配布する

1.アンケートフォームを作成する際にID(出席番号など)を予め入力したものを設定します。
2.名簿に1のアンケートフォームへのURLを追記します。
3.Wordの差し込み印刷または差し込みメールで配布または送信します。
4.集計時にIDと名簿を表計算ソフトのVlookup関数で結びつけその他の情報(児童名、保護者名、クラス等)を追記

1と2について、

Googleのフォームには予め特定の入力項目に対し、URLのパラーメーターで入力値を設定することが可能なようです。

ですので、以下のようにIDを設定したURLを人数分作成し、名簿の列に追加しておきます。IDが出席番号など連番ならオートフィルで一発です。

グーグルフォームのURL諸々 + ID欄のパラメータ = ID   +  その他のパラメータ

3は、Wordの差し込み文書、または差し込みメール機能を利用し、配布する文面を作成し、既存のリストとして2で用意した名簿を指定します。

差し込み文書で紙で渡す場合、QRコードはアドインなどがあるようですが、配布のミスなども考えればできればメールアドレスは収集しておいて差し込みメールで対応できればと思います。ただ、このメールアドレスの収集というのは簡単ではないと思うのでこれにつては別途 note したいと考えてます。

4は、方法1と同様です。ニックネームがIDに変わっただけですので、それでVlookup関数で名簿と結びつけ、仕上げます。


まとめ

【改】学校・保護者間の連絡手段の Afterの流れ

1.教員がアンケートフォーム作成
  →個人情報はIDやニックネームを利用し楽に安全に

2.QRコードやURLの生成
  →ID利用の場合は個別のフォームへのURLを生成

3.学校→保護者へメールで回答URLを送信
   or 子供経由で保護者に配布
  →ID利用の場合は差し込み印刷やメール機能を活用

4.保護者はスマホやPCで回答
  →ID利用の場合は入力不要。ニックネームの入力は簡単

5.自動集計
  →Vlookup関数を活用して個人情報と結びつける


今回の改善のポイントは、作業の流れ自体は変わりませんが、個人情報のやりとりをできるだけ避けることで、

1.アンケートに答える保護者側は入力などを簡単に行える
2.アンケートを受け取る学校側はプライバシー保護といったセキュリティ面も意識できる

という一石二鳥のところです。

デジタル化の改善はたいてい導入時にはちょっと負荷がかかります。新しいことを覚える学習コスト、新しいトラブル、拒否反応などなど…。

でも、手間をかけておくと後が楽なことは結構あります。美輪明宏さんも苦労の先取りと話していました。

それに、それがそうなることでいったい”誰が”楽か?という視点も大切です。

今回は前提条件は色々ありますが、学校側も保護者側も楽になるんじゃないかと思います。


さらに今回はもう一つポイントがあります。それは、MicrosoftやGoogleなどは社会的信用のある大企業ではありますが、あくまで私企業です。

公の業務を私企業のツールに、頼るのは良いのですが、依存してしまうのは危険です。いつでも代替案は用意しておくべきだと思います。(これはこれでまた別途 note します。小規模のアンケートなどはいつでも紙にもどれると思うので大丈夫だと思いますが)

それに、生徒の情報をクラウドに預けるというのはどうなのでしょうか?法律上はよくわかりませんが、もし学校側が第3者に預けるのであればきちんとしたプライバシーポリシーが必要に思います。保護者への連絡でそのようなものが今のところ無いようなので(私が気づいてないだけかも…。それだったらすみません。)。

デジタル化と効率化ということであれば、GoogleやMicrosoftのアカウントを保護者全員が持ってしまうのがその後の仕組みもとても楽ですし、セキュリティ的にも安全性が高いと思います。

それでも、やはりどうかと思います。

すでに運動会の写真の配布などは特定のサービスを使うことが多くなっていますが、結果として私企業に個人情報を抜かれているという考え方もできます。

この辺りはデジタル化の面倒な側面ですが肝の部分です。しっかり整えていく必要があると思います。


最後に、先にあげたツイートの書き方もそうですが”デジタル化”が目的になってしまう危険があります。

よく考えれば情報機器は道具でデジタル化は手段です。あくまで作業の全体、私もあなたも、未来において作業が効率的・効果的になるのが大事だと思います。

それと、決してデジタル>アナログではありません。アナログな方法であっても合理的で効果的な考え方もあり、デジタル的な方法であっても非合理的で手間のかかる方法もあります。

それでも、以前、私のエンジニア養成講座を受講した生徒さん=この方は金融業界で大きな仕事をされていた方なのですが、なぜ不自由のない、下世話な言い方をすれば儲かる業界をすて、IT業界を目指すのですか?と尋ねたところ「ITには希望があるからです」とおっしゃいました。

確かに。

アナログとデジタル、良き関係でいきたいものです。


令和2年12月7日 この歳、この時期、夕日の沈む反対側の空もなかなか良いこの頃







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