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「柔よく剛を制す」のほんとうの意味

あなたは「柔よく剛を制する」と言ったら何を思い浮かべますか?
おそらく、男性だっら真っ先に柔道、女性だったら自分たち女性を
一般的にイメージするのではないでしょうか?

しかし、この認識はだいぶ怪しくなっています。
戦後の柔道においてはもはやこの言葉は通用しなくなったのでは
と思われます。それが決定的だったのが、1964年の東京オリンピック
で日本が最重量級でオランダのヘーシンクに負けたあたりでこの神話
は崩れ去ったと言えます。

女性に関しても現代の女性は決して弱くはありません。社会的には
どうかわかりませんが、家庭内では明らかに女性の方が強いと言って
いいでしょう。

「柔よく剛を制する」の定義は、
柔軟性のあるものが、そのしなやかさによって、かえって剛強なもの
を押さえつけることができること。

老子のイメージしている柔は水です。上善如水と同じように水ほど
柔らかくて弱いものはありません。そのくせ堅く強いもの打ち勝つ
ことができるのは水に勝るものはありません。

水は心深く静か、与えるに分け隔てがありません。おさまるべき
ところに必ずおさまります。動きに無理がなく変動して窮まる
ところがありません。

老子は、弱さ(柔らかさ)に徹することで弱者が強者を打ち負かす
ことができると語っています。

1 人と争うな
2 無理をするな

その後の兵法書の三略においては、柔とは他者を包み育む徳であり、
剛とは他者を傷つけ損なう悪にほかならないと言い切っています。
そのため、弱者は誰からも擁護されるが、強者は常に狙われる宿命
を負っているとのこと。

とは言っても、ただ、柔のみを金科玉条のごとく鵜呑みにしては
いけません。柔と剛、弱と強を兼備した上で、時宜に応じて硬軟自在
に対処することが肝要です。

処世法においては、柔と剛を両方兼ね備えよという三略ののほうが
柔に徹せよと言う老子よりも理解しやすい。戦術的手段として意味
が濃い。イソップ物語の北風と太陽が、まさに北風の寒さ(剛、強)
と太陽の暖かさ(柔、弱)をうまく使い分けることで勝利への道が
切り開けるたとえになります。

しかし、弱者であると自覚したときは老子の言うことの深い意味
がわかってきます。

自分はダメだと弱音を吐かず、弱者なりに徹することで活路を見い
だすことができると老子が応援してくれていますので、弱きことを
武器にして強者に立ち向かっていきましょう。




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