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ロシアの経済が意外と底堅いのはほんとうですか?

2022年2月24日のロシアのウクライナ侵攻から丸一年経過しまし
した。戦争は終わるどころか長期化の様相を呈しています。
西ヨーローパを中心に米国など主要先進国G7の諸国はこの侵攻
に対して経済・金融制裁を科されているにもかかわらず、ロシアの
経済は堅強であるとの見方が一部で広がっています。

実際、ロシア連邦統計局の発表によると、ロシアの2022年の実質経済
成長率は前年比2.1%減と、2020年(同2.7%減)以来のマイナス成長に
なっていますが、当初予想されていた2桁のマイナスにはなっていません。

それは、主要国から科された経済・金融制裁が思ったほどの効果を
発揮していないのではないかという懸念と評価があります。
2021年のロシアの実質経済成長率は同4.7%増で2020年のマイナス
成長の反動で増加しとはいえ、意外と堅調でした。

いっぽう、2022年の米国の成長率は前年比5.9%増から同2.1%増に低下
し、欧州連合(EU)の成長率は同5.4%増から同3.5%増へ低下してい
ます。成長率は低下しましたが、プラス成長を維持している点に注目
してください。

そこで、この2022年のロシアのマイナス2.1%という経済成長率をどう
捉えるべきでしょうか?

そこから考えると、世界経済が拡大局面にある中で、ロシアは縮小を
余儀なくされたことを物語っています。
ロシア経済は、このまま戦争を継続することで、主要国から経済・金融
制裁の悪影響は今年2023年からなお一層の経済の悪化に拍車がかかる
と見て間違いはありません。

プーチン政権は2019年から2024年までの6カ年で総額25兆7000億
ルーブル(約46兆円)の大規模な国家投資プロジェクトを準備していま
したが、コロナショックとウクライナ戦争で頓挫してしまいました。

クリミア侵攻の際にも、経済制裁がかなりロシアの経済に悪影響を
与えたことをプーチン大統領自身がいちばん認識しているでしょう。

人、もの、お金のなかでまず、人は多くの若者が国外に脱出、招集に
より労働人口の不足が起っています。
ものは、制裁によってロシアの輸入の約半分を占めた欧州からの輸入
がほぼ半減しています。つまり、供給力は構造的に低下しているのです。

お金の面では、石油や天然ガスの価格の低下によって想定して額を
下回ることで歳入が減り、軍需を満たすために戦時経済体制に準じる
旧ソ連時代の計画経済のシステムになっていることで、徐々に国力は
損なわれていくことでしょう。

できる限り早く戦争を終わらせないとロシアはますます衰退していき
ます。




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