見出し画像

膝カックン

新作アニメを観ていると、登場人物の一人が膝カックンをしていて、少し心がざわついた。膝カックンとは、立っている人の後ろから相手の膝裏に両膝を当てて、体勢を崩すという他愛もないイタズラだ。

僕も子供の頃にやったし、やられたりもした。大人になってからはさすがにない。たまたま、そういう人付き合いがなかっただけかもしれないが、どのみち、膝カックンをするような大人とは仲良くなれないと思う。

コミュニケーションの一環なのは理解している。怪我の心配をしているわけでもない。アニメや漫画にそういうシーンを含めるな、と言うつもりもなくって、ただ、自分の神経の過敏さに驚いたのだった。

極端に言えば、背中を足で蹴るのと大きな違いはないように思える。靴を脱ごうが、アルコール除菌していようが、人を足蹴にすることには抵抗がある。実害の有無は問題ではなく、その行為自体が攻撃だと感じるからだ。

たぶん、多くの人間は戯れにアリを殺すような嗜虐性を備えていて、同時にそれを抑える理性も持ち合わせている。膝カックンには「これくらいなら大丈夫」という嗜虐性の現れが見える。

僕は精神的に脆くなったのだろうか。それとも危険を早めに察知して回避する力が強くなったのだろうか。