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誰かに宣告してほしい

乱視なのかもしれない。そう自覚したのはだいぶ大人になってからだった。30代も後半だったと思う。だって誰も教えてくれないんだもん。

自分の見ている赤他人の見ている赤と同じであることを証明する方法はない。ググってみたら漫画のタイトルみたいなワードが出てきた。

乱視も自分で気づくしかないわけだが、健康診断の視力検査は乱視を鑑別できるように作られていない。映像はぼやけているのではなく、二重に見えている。この状態だと輪っかの切り欠きの位置くらいなら大体わかる。

おかげで高校までは両目とも視力1.5、調子の良いときは2.0だった。今ほどではないにせよ当時から世界はブレていたと思う。僕にとってはそれが当たり前でほかの見え方を知らなかった。

日常生活で大きな不自由はなく、それだったら問題ないとも言えるし、そのせいで見過ごされてきたとも言える。今思うと読書嫌いの原因のひとつだった気がしなくもない。

50歳を過ぎて視力は0.1まで下がった。老化は甘んじて受け入れるつもりだが、目の衰え方が結構いやらしい。離せば見える老眼以外に、明るいとよく見えたり、朝は見えて夜は見えにくいなど、状況に大きく左右される。

つまり、騙し騙し生活できてしまうのだ。眼科に行くとかメガネを作るといった判断を客観的にできないので一生このままの可能性がある。