ベイクドモチョチョ
あんこが入った例のお菓子のこと。僕の地元では「今川焼き」と呼ばれていたが、地域によっていろいろな呼び方がある。あまりにも混沌としているので全国的に通用する名称として誰かが提唱したらしい。
本気で統一を目指していないことは語感からわかる。
モチョチョに意味はないようだ。これは北のほうで使われている「おやき」という呼び名が長野では別の食べ物を指すことを揶揄しているのだろう。モチョチョならおそらく他の何とも重複しないからね。
縁日のようなイベントでは「大判焼き」もよく見かけた。まんまるな形は大判のイメージと違うが、黄金色だし景気も良いしで結構すんなり受け入れられたと思う。
まあ、美味しければ名前なんてどうでもいいと思っていた。
あの名前を知るまでは。
「御座候」
やばい転校生が来たと思った。脳内で教室がざわついた。他のお友達とは明らかに様子が違う。
まず焼いていない。「回転焼き」や「甘太郎焼き」などにも「焼き」の文字は含まれていた。ベイクドモチョチョでさえ英語で焼かれている。
そして名詞ですらない。ござそうろうとはございますの意味だ。食べ物の名前が「ございます」ってどういうことなの……
これを「御座候」だと思って食べる人がいるんだと思ったら、今後食べる時に楽しくなってしまうじゃないか。