マガジンのカバー画像

社会には自分と他人しかいない

33
人間関係の記事をピックアップしていきます。不定期。
運営しているクリエイター

2023年5月の記事一覧

むっつりスケベ

誤解といえば善人ムーブ以外にもひとつ思い出した。 僕はたぶん性的なことに興味がないと思われている。80億人もいるんだから性に関心を持たない人間のほうがよほど少ないと思うが、その圧倒的少数派に数えられていた節がある。というか、そう見られるように振る舞っていた。 小学生までは無邪気に下ネタやエロ話をしていた。中学に入ってもそれは続いたが、ある日クラスメイトの一人からこう言われた。 ○○君はそんなこと言っちゃいけません! え、なんで?他の子はいいの?あなたは僕のお母さんな

月が見たい

ある冬の日の夜、コンビニを出て家に向かう途中で月が出ていることに気づいた。雲ひとつない濃紺の夜空に煌々と輝く銀色の月。ひんやりと澄んだ空気を吸い込むと月の光が全身に巡るような感覚を覚えた。 見上げればきっといつもより綺麗な月が見られる。歩きながら揺れる視界の端っこで捉えるのではなく、立ち止まって正面からじっと眺めたい。たったそれだけのことが僕にはできなかった。 ほかに通行人がいた。僕が足を止めることでその場に緊張が走るのが嫌だった。夜道を向こうから歩いてくる人影が突然立ち

善人ムーブ

困っている人がいたら手を貸す。 はたから見れば善人に見えるだろう。 もうほとんど人付き合いをしていないが、おそらくこれまでに出会ってきた人の多くは僕のことを善人だと誤解している。最近まで自分でもそう思っていたくらいだから無理もない。あとたぶん善人顔なのだと思う。 困っている人を助ける人が必ずしも善人とは限らない。 助けた後で見返りを求めて、それが断られると 助けて損をした などと言い出す人を善人とは呼びたくない。 善人だと思われたくて人を助ける人も善人ではない。自分が