使命を持って闘い抜く
無観客試合を行う。
というのは口で言ってしまえば、簡単なことなのかもしれない。
普通の人にとっては、あぁ残念だなというくらいなのかもしれない。
このCOVID-19騒動の中、私が所属する三重バイオレットアイリスは約3ヶ月間、コートでのハンドボールから離れ、各自自主トレという形で活動を行ってきた。
アスリートで、普段から当たり前に毎日トレーニングができて、目標に向かってみんなと高め合える環境から、
毎日練習場所は空き地で、自分でトレーニングメニューを組み、試合が延期されたり、先行き不透明でいろいろな自問自答しながら過ごした日々は、
普段アスリートとして、プロハンドボーラーとして、活動できてきたことがどれだけ幸せなことで、当たり前なことではない、ということを改めて気づかせてくれた。
そしてスポーツに打ち込める日々は、日本が平和で豊かであることの恩恵なのだとも感じた。
そのスポーツ界は、今、大きなチャレンジを迫られていると感じている。
少しずつCOVID-19の脅威が収まってきたけれど、まだまだ予断を許さない状況の中、興行としてのスポーツを、果たしてどれだけの人が受け入れてくれるのだろう。
私はスポーツの持つ力というものを知っているし、今こそ感動や勇気が人々に必要だと思っている。
そんな前に向かう強い気持ちをアスリートが表現し、リードして国を元気にする使命があるとも思っている。
私はいつもサポーターと共闘する気持ちで闘っているので、試合中にサポーターがいなくて自分たちの声だけしかない状況というのはなかなか簡単ではない。
苦しいときのサポーターの応援や、勝った時に分かち合う喜び。
そして、見られている立場だ、ということが、より私たちを限界の上まで押し上げてくれるものだと感じているから。
無観客試合というのは、私たちの大きな翼を失ったような感じになってしまう。
それでも。
いやだからこそ、生半可な気持ちで無観客試合を行うことは許されない。
こんな情勢の中でも、試合をすることが許されるのであれば、
私たち全アスリートは、今まで以上に強い気持ちを持って、
強い使命感を持って、
自分や、目先のことだけではなく、
スポーツを愛するすべての人々、
そして普段スポーツに興味のない人たちにさえも、心に響くような、
そんな戦いをしなければならない。
メディアやネットを通してその想いが伝わるほどに。
これは私たちへの挑戦。
今こそスポーツの、アスリートの価値が試されている。
安定は衰退と一緒。
やってやろう。
1ヶ月先のことも見えないからこそ、
「今」をしっかり生きて、
「未来」を変える準備をしていこう。
石立 真悠子
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