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 この世の中にミスをしない人間などいません。ミスを犯してしまったときは、誰かに迷惑をかけたり、誰かからそれを責められたり、自分が情けなくなったりで、落ち込むこともあると思いますが、「次からは絶対に起こらないように気をつけよう」と考えるだけで、結局、日が経つと忘れてしまい、また同じミスを犯すようなケースは少なくないと思います。

 大失敗ならいざ知らず、ちょっとした忘れ物やチェック漏れ、備品の紛失などであれば、多くの人が日常茶飯事ではないでしょうか。気がついたときは「あっ・・・」となりますが、チッと舌打ちしてろくに反省すらされないミス。「ちりも積もれば山となる」の言葉通り、実はこうした小さなミスの積み重ねが仕事を遅くしたり、回らなくしたりしています。また、小さなミスは大きなミスに繋がります。大きな取引の商談に向かう際に、大切な書類を忘れて行けば致命的ですし、チェック漏れで発注数を誤ると大変な在庫を抱えることになりかねません。顧客から預かったものを紛失すれば、大きな責任問題に発展します。

 ミスを犯すことが好きな人はいないと思いますが、ささいなミスについて、改善しないまま放置する人が少なくありません。私は、これはもったいないと感じます。失敗に多くを学ぶことができる仕事において、ミスは嫌なものであると同時に宝でもあると思うのです。そこに積極的に目をつけて、日々改善していくことで、仕事は格段に早く、正確に、より高品位になっていきますし、その積み重ねが自身のスキルアップ、セルフ・ブランディング化に繋がり、会社として取り組めば、競合他社との差別化にもなるのです。

 改善というのは「気をつける」ことではありません。二度と同じミスが起こらないよう(究極的には、気をつけなくてもミスを犯さないよう「具体的な工夫を凝らす」ことです。過去に私が犯したミスですが、もらった発注書に、発注数が「2」と書いてあるものを見落とし、「1」で発注してしまったことがありました。発注依頼者には謝り、不足分を再発注をしてなんとか事なきを得たのですが、冷や汗をかくとともに、「どうやって再発防止しようか」と頭をめぐらせました。発注書は専用のExcelファイルでもらっていたのですが、私は、発注数を入力するセルに注目しました。多くの場合、発注数は「1」なのですが、時々「2」以上の数字が入っていることから、条件付き書式設定で、数字が「2」以上の場合は、セルの背景に色がつくようにしました。これにより、複数個の発注であることはひと目でわかるようになりましたので、以来、発注数を間違えることは全くなくなりました。

 Excelの条件付き書式設定など、改善としてはささいなものですが、こういった「ささいな改善」を毎日1つでも2つでも行うことで、先ほどとは逆の「ちりも積もれば山となる」状況になります(年間稼働日数250日とすれば、毎日1つの改善でも年間250もの改善をしたことになります!)。ミスを恐れ、早くやれとせかされながらなんとか仕上げていた業務が、ミスを気にせずスムーズかつ余裕を持って仕上げられる業務に変わるのです。心理的にも、難しい業務を頼まれて億劫になりながら対応していた状況から、カンタンな業務をホイホイとカンペキに対応できるようになり、当然、周りやライバル企業との差がつき、信頼度もアップし、自信にも繋がります。これなら、ミスを発見して改善しない手はないではないですか!

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