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性格を変えることはできませんが、靴をそろえることはできます。

しみついた性格というのは、特に年齢が上がるにしたがって変えることが難しくなっていきます。もし「直したいと思っても直らない」と感じていても、基本的には悩みながら付き合っていくしかないものだと思います。

そもそも、例えば「内向的な人が外向的になる」みたいに、がらっと性格が変わることが良いことだとは一概に言えません。性格というのは一つ一つの思考や行動の積み重ねですので、もし変わってしまうと、思考や行動に大きく影響してしまいます(短所だけでなく長所も失われる可能性があります)。急に性格が変われば、周りの人もびっくりするでしょうし、そこから人間関係も大きく変わってしまうでしょう。急に暑くなったり寒くなったりするだけで体調を崩すのが人間ですから、このような急激な変化には普通は耐えられないわけです。しかし、それでもどうしても性格を変えたいと強く願うのであれば、方法がないわけではありません。行動(習慣)を変えれば性格の軌道修正をすることはできます。

「いや、そんなことはわかっている。人見知りを克服するために、挨拶する習慣を付けようとかそういうことだろ。それができない(続かない)んだよ」と言われるかもしれません。もちろん、そのような克服方法でも良いかもしれませんが、人見知りの方が挨拶をする習慣をつける、というのは急激すぎて難しいんです。「挨拶するのがそんなに大変なのか?」と思われるかもしれませんが、自然と挨拶できる外向的な方が、挨拶しないよう習慣づけようとするのと同じくらい大変と言えばわかりやすいでしょうか。

行動を変えるというのは、「靴をそろえる」みたいな本当に単純なものだと思ってください。いつも靴を脱ぎっぱなしにしている人が、必ず靴をそろえるというだけの話です。単純ですが、これは意識しないとできません。でも、意識すればできます。そして、特に最初の数日、数週間は、特にそれに意識して取り組みます(「靴をそろえなければこの世が終わる」くらいの意識で良いと思います)。そろえられた靴は、脱ぎ捨てられた靴よりも見栄えが良いですので、最初は、それを見て小さな達成感を覚えられますが、ほどなくその達成感は薄まります。次に襲ってくるのは「なんでこんなことしなきゃならないんだ?」という感覚です。実はこれ、自分の体が「元の習慣に戻そう」と必死に抵抗しているんです。風邪を引いたら、体がウィルスと戦って追い出そうとするのと同じです。ここは、意志の総司令官である頭が「靴をそろえるんだ!」と意思決定していることでその抵抗を抑えて通過します。意思決定がなければ、こんな簡単な習慣づけのための行動ですら挫折してしまいます。

そして、それを乗り越えると、今度はそろえられなかったときに「しまった!」と思うようになります。靴がそろっていないことに違和感を覚えるようになるんですね。しかし、ここで「まあ、いいか。1回くらい」と放置してしまうと、抑えつけられていた抵抗が勢いを盛り返して結局挫折してしまいますので、どうか、この世が終わらないよう、なんとしてもそろえに戻ってください。そして最終的には、意識しなくても体が勝手に靴をそろえにかかっていることに気づきます。そうすると、今度は「靴をそろえない」という行動に対して体が抵抗を始めるようになるんです。小さな変化ですが、確実な変化ですし、自分が変わったと感じる瞬間でしょう。

そして、「自分は変われるんだ」ということが実感できると、人は自然と次の変化に対して前向きになれるようになります。そのような小さくて地道な努力を積み重ねていると、いつの間にか大きく変わっている自分に気づくことができるでしょう。

どうしても変わりたいのであれば、小さなところから始めましょう。



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