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■キャプテン・アメリカ:ウィンターソルジャー

■Captain America: Winter Soldier
■Writer: Ed Brubaker
■Penciler: Steve Epting
■翻訳・監修: idsam
■カラー/ハードカバー/1,999円 ■ASIN:‎ B09X3WZ246

「マーベル グラフィックノベル・コレクション」第7号は、エド・ブルベイカーが全50号のライターを務めた2005年創刊の『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』の、最初のエピソードである、「ウィンター・ソルジャー」編のクライマックスを単行本化。

キャプテン・アメリカを長年悩ませていた、かつての相棒への疑問がもっとも残酷な方法で答えられる─アレクサンドル・ルーキン将軍の世界支配の企みを追っていたキャプテン・アメリカは、驚愕の事実を知ってしまう。決して癒えることのない心の傷をさらに深くするルーキン将軍の攻撃とは……? (第7号表4あらすじより抜粋)

 収録作品は、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』#8-9, #11-14(9-10, 11/2005, 1, 1, 4/2006)。

 なお、未収録の#10は、当時のマーベルの大型クロスオーバー・イベント『ハウス・オブ・M』とタイインした外伝的な話。本筋とは関係ないとはいえ、エド・ブルベイカーが書いているので、余裕があればフォローしておくのもいいだろう。

 こちらの単行本『ハウス・オブ・M:ワールド・オブ・M フューチャリング・ウルヴァリン』に、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』#10がオマケで収録されている。電子書籍だと550円と安価なのがありがたい。

 なお、「ウィンター・ソルジャー」編は、本来、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』の#1-9, 11-14の全13話で展開された話であるが、「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では、その後半部のみを刊行という、いささか物足りない出し方となっている(そして、「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では、この前後の話の刊行予定はない)。

 正直、「ウィンター・ソルジャー」編をきちんと日本語で楽しみたいのであれば、小学館集英社プロダクションから2011年に刊行された、『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』を買うことをお勧めする。

 こちらは、300ページという、ブ厚い装丁で、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』の#1-9, 11-14を全て収録している。11年前の刊行物ではあるが、現在では電子書籍化されており、容易に入手しやすいのも強みだろう。

 ちなみに、「ウィンター・ソルジャー」編は、元々は全2巻の単行本として刊行されていたが、その後、2冊の単行本をまとめた「ウィンター・ソルジャー:アルティメット・コレクション」全1巻として再リリースされた。「マーベル グラフィックノベル・コレクション」版は、最初の単行本の第2巻を定本に、小学館集英社プロダクション版は、アルティメット・コレクション版を定本にしている。

 ちなみに、Kindle版だと「ウィンター・ソルジャー」編は、「アルティメット・コレクション」全1巻よりも、全2巻版の単行本の方が安い(だいたい半額)。その上、Kindle Unlimitedに加入していれば、無料で「ウィンター・ソルジャー」編全2巻を読める。参考までに。


 さて、その後の『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』は、キャプテンの長年の仇敵クロスボーンズとの対決を描いた「レッド・メナス」編に続く。

 この「レッド・メナス」編については、昔、筆者が書いていたブログ内で取り上げていたので、とりあえずリンクを張る

 上に貼ったKindle版の収録作品は、Amazon.co.jpの書誌情報によれば、『 キャプテン・アメリカ(vol. 5)』#15-21とあるが、多分ページ数的に「レッド・メナス:アルティメット・コレクション」を定本にした電子書籍だと思われるので、特別号『キャプテン・アメリカ 65thアニバーサリー・スペシャル』#1も収録されていると思われる(こちらもライターはエド・ブルベイカーで、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』の本編に関連した話が展開されている)。


 で、この「レッド・メナス」編が終了した直後、2006~2007年のマーベル・コミックス社の大型クロスオーバー・イベント『シビル・ウォー』が開幕する(『シビル・ウォー』については、同作が「マーベル グラフィックノベル・コレクション」で刊行された際に詳しく話す)。


 当然ながら、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』誌も、このイベントとタイインするのだが、少々面倒なことに、『シビル・ウォー』とタイインした分の『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』誌の各号は、『キャプテン・アメリカ』の単行本ではなく、『シビル・ウォー』の単行本として刊行されている。

 要するに、この単行本『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ』だ。収録内容は、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』#22-24と、「シビル・ウォー」のタイインとして刊行されたワンショット『ザ・ウィンター・ソルジャー:ウィンター・キルズ』#1。

 なお、この『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ』は、2013年に、ヴィレッジブックスより通販限定で刊行された後、2016年に一般流通で再販された。


 で、『シビル・ウォー』のラストで、キャプテン・アメリカは、超人登録法に従わないヴィジランテとして当局に逮捕され、ヒーローたちによる内戦は一応の決着を見る。

 そして裁判所へ護送される途中で、キャプテン・アメリカが何者かに暗殺されるという事態が勃発し、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』誌の中盤の大イベント、「デス・オブ・キャプテン・アメリカ」編が幕を開けることとなる。

 全2巻で刊行された、この「デス・オブ・キャプテン・アメリカ」編は、1巻目の「デス・オブ・ザ・ドリーム」編に『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』#25-30を、2巻目の「バーデン・オブ・ドリームス」編に『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』#31-36を収録。キャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)が死亡し、彼の相棒であったウィンター・ソルジャー(バッキー・バーンズ)が新キャプテン・アメリカとなるまでを描く。


 なおこの「デス・オブ・キャプテン・アメリカ」編は、2011年にヴィレッジブックスから、全2巻の単行本として刊行されている。

 先に挙げた英語版単行本を定本としているので、収録内容は同じである。


 なお、「シビル・ウォー」編から「デス・オブ・キャプテン・アメリカ」編までの『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』#22-42(+『ウィンター・キルズ』)は、後年、559ページの超分厚い「ザ・デス・オブ・キャプテン・アメリカ:ザ・コンプリート・コレクション」としてもまとめられている。

 ただまあ、Kindle版などの電子書籍の場合、この「コンプリート・コレクション」1冊を買うよりも、「シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ」と「デス・オブ・キャプテン・アメリカ」全2巻を買う方が安く上がるのだが。


 その後、新キャプテン・アメリカことバッキーの冒険は、続刊『キャプテン・アメリカ:ザ・マン・ウィズ・ノーフェイス』編に続く。

『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』#43-48を収録。1950年代に当時のキャプテン・アメリカ(ウィリアム・バーンサイド)と戦った、中国の工作員ザ・マン・ウィズ・ノーフェイスとの因縁に、新キャプテン・アメリカとネイモア・ザ・サブマリナーが立ち向かうのがメインのストーリーで、それと並行して、死亡したキャプテン・アメリカの復活への伏線が張られていく。


 で、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』誌の最後のエピソード、「キャプテン・アメリカ:リボーン」が幕を開ける。

 こちらの単行本、『キャプテン・アメリカ:ロード・トゥ・リボーン』は、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』#49-50と、『キャプテン・アメリカ(vol. 1)』#600-601(『キャプテン・アメリカ』誌の通巻600号を記念して、ナンバリングを統合した)を収録。

 そして、その後に刊行されたミニシリーズ『キャプテン・アメリカ:リボーン』全6号をもって、キャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)は完全復活を遂げることとなる。

 収録作品は、『キャプテン・アメリカ:リボーン』#1-6。で、キャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)の復活でひとつの決着を迎えた本シリーズだが、エド・ブルベイカーによる『キャプテン・アメリカ』は、#602以降も続いていく(が、さすがに今日はここまで)。


 なお、「ロード・トゥ・リボーン」編と、「キャプテン・アメリカ:リボーン」編は、2014年にヴィレッジブックスから、それぞれ邦訳版が刊行されている。

 つまりは、『キャプテン・アメリカ(vol. 5)』誌は、「レッド・メナス」編と「ザ・マン・ウィズ・ノーフェイス」編以外は翻訳されている訳で、邦訳版の「ウィンター・ソルジャー」編で本作に興味を持たれた方は、以降の邦訳版も探して読んでいくのも良いだろう。


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