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『Il Cantico del Sole』誕生秘話


第3話  送られた楽譜


 2012年、カルツァス氏から突然楽譜が送られてきた。その楽譜が、音高合唱部のために書き下ろされた「Magnificat」であった。書き下ろし楽曲の初演ということで、その初演は合唱部の20周年記念としてだけでなく、国立音楽大学90周年事業の一環として取り上げられる大規模なものとなった。

 2015年に行われた音高合唱部20回定期演奏会において、「Magnificat」はカルツァス氏の指揮で世界初演、その後のリトアニア演奏旅行において荒木氏の指揮でヨーロッパ初演を果たした。

 その演奏旅行に合唱部OGとして同行していたのが、コーラス・インフィニ☆の指揮者である湯田佳寿美である。湯田は演奏旅行の中でカルツァス氏と話をする機会を得たときに「あなたが作った他の曲や、リトアニアの合唱曲の楽譜が見てみたいので、楽譜屋さんを紹介してくれませんか」と頼んだ。カルツァス氏は「楽譜屋が休みなので、僕がセレクトした楽譜を送ってあげる」と応じてくれた。帰国後ほどなくして、約束通り楽譜が送られてきた。しかし、それは予想を遥かに上回る大量の楽譜であった。送られてきた30曲以上の楽譜に湯田は衝撃を受けた。湯田はカルツァス氏の人柄と生み出される音楽の素晴らしさを改めて感じ、リトアニアへの強い憧れを抱いた。そして、「いつかインフィニとして、リトアニアに演奏旅行に行きたい」と思うようになった。 

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