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『Il Cantico del Sole』誕生秘話


第2話 カルツァス氏初来日

 ヴィリニュスでのコンサート、そしてカルツァス氏との出会いの翌日、ホテルのフロントにはカルツァス氏の合唱曲集が預けられていた。その中には女声合唱曲「Missa Brevis」も含まれていた。そこには、「ピュアな声でハーモニーが綺麗だった。音楽の作り方が自然だった」などと、演奏会の感想が細かく英語で書かれていたという。

 日本に帰国する飛行機の中で、荒木氏は「Missa Brevis」の楽譜を眺めていた。これまで見たことのないタイプの曲だと思った。その頃、合唱部は15回目の定期演奏会を間近に控えていたため、周年企画はこれしかない、と感じたという。

 演奏旅行の翌年である2010年、音高合唱部は15回目の記念演奏会に初の海外ゲストとしてカルツァス氏を招聘し、リトアニアで受け取った作品「Missa Brevis」を作曲者本人の指揮で演奏した。その時、高校生として参加していたメンバーが、現在も6名ほどインフィニに在籍している。 

 記念演奏会の終演後、大人だけの打ち上げが行われた。驚くことに、カルツァス氏はそこで沈み込んでいた。その様子を見た荒木氏が「どうしたの」と尋ねると、カルツァス氏は「私にとって人生最高の日が終わってしまった」と答えたという。荒木氏は「そんなことはない。15周年の次は20周年があるよ」と言って、20周年のときには曲を書いて、その曲を初演しようと話した。

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