見出し画像

私の楽器歴(ギター編)

私はただの酒好き、スパ銭湯好きではなく、本当にやりたいこと、もしくは楽しいと思えることは音楽を作ることである。

そもそも自分が音楽を作ることに目覚めたきっかけは他愛もないもので、学生時代にたまたまカラオケに行ったら歌を褒められたのがきっかけだ。
もともと自分が音楽を演奏したりライブをしたりするというのは、そのときは考えたこともなかったが、暗い青春時代を送り、何一つ取り柄のなかった自分にとって、ようやく(ちょっとではあるが)人に褒められることがあったというのが嬉しく、そのまま図に乗ったという形である。

それが今や一過性ではなく、40を越えた年齢であっても同じようにギターを握り、ときにはベースを握り、PCと格闘しながら音楽を制作している。

でも最初は楽器は弾きたくなかった。
なぜなら覚えるのが面倒くさいし、歌だけでいいやと思ったが、それだけだとバンドのメンバーは集まらない。
バンドではなくソロでいいじゃんとも思うが、そうすると曲を作ってアピールしなければならない、でも曲というのは何かしら楽器を演奏することができてからという、くるくる回る車輪の中に閉じ込められたハムスターのような気持ちで鬱々とした日々を過ごしていたら、ひとつの目の覚めるようなきっかけがあって真面目にギターを弾くようになる。

きっかけとは、これも単純なのだが、自分は小学生の頃はいじめられっ子であり、いじめっ子の代表格のような体格のA君に、毎年一度は病院通いさせられる怪我を負わされて、小学校時代はいつも泣いて家に帰っていた記憶しかない。

その人とは中学までは一緒だったが同じクラスにはならず、また高校以降は疎遠ではあったのだが、高校を卒業して学生になるとなぜか同じ田舎を出たもの同士で連絡を取り合うようになる。

自分にとってはいつも苦い思い出ばかりだったが、たまに遊んだり遊ばされたりしながら過ごしていると、あるとき自分が住んでいた仙台のアパートにきてギターをつまびき始めた。
なぜかその当時、自分のアパートにアコギがあった。
当然飾りのようなもので何も弾いてなかったが、そいつが慣れた手つきでチューニングをすると、「ゆず」とか弾き始めた。

その頃、自分はそいつに内緒ですでにバンド活動をしていたのだが(voとして)、なぜだか無性に悔しくなった。
自分の中で誇れるものがいとも簡単に乗り越えられる気がして、ここだけは譲れないと思ったのだろう。
私はニコニコしながら「へえ」とか「すごいね」などと言いながら心の中では煮えたぎる思いでそれらの演奏を聴き、そいつがアパートから出ていったあとで急いで教則本を買いにいき、そこからは毎日ギターを練習した。

その当時買った教則本が「一週間で覚えるかんたんギター」みたいなタイトルのやつで、当然一週間で覚えられるはずないのだが、メソッドが1日ずつ組まれてあり、その通りに練習していったら、7日目にはB'zを弾けという(曲は忘れた)無茶振りで、多分それは今でもできないかもしれないが、ひととおりコードを覚えたので、今度は自分ではじめて作曲をしてみた。

まあギターを始めて一週間でB'zは弾けなかったが、曲を作れるようになった(とこれは今でも思っているし覚えているし歌えるし弾けるけどはずかしいのでやらない)ので、それはそれで収穫になったな、というお話。

なお、そのいじめっ子のことは今はそんなに恨んでいない。
むしろきっかけを与えてくれてありがとうという気持ちが強い。
お互い大人になったし、泣かされていたことが半分懐かしい気持ちもどこかにはある。

そう。
同窓会で酔っ払った私を車に乗せて家まで送ってくれて、ありがとう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?