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腐海の森へ

(執筆は2023.9.19)
研修1日目終了…

こんにちは
いま『石綿含有建材調査者』の研修中です
三日間缶詰めなのが大変…

私は不動産業担当なんですが、我が社は建築業もやってる関係でこの講習を受けてます
実はかなりギリギリのスケジュールで受けてて、強制施行前に滑り込みセーフです(笑)

ところでここを見てる不動産業界の皆さん、【大気汚染防止法】って知ってます?

『 そんなもん【重説】で説明するアレだろ?
[アスベストの有無を調べてるか?]って説明してるぐらいのコトは知ってるヮ。
( いつも『調べてません』のひと言で終わりだけど…  )

そうです。 アレです。
法律は既に施行されてますが、来月から有資格者による国への報告が強制となるので慌てて研修してます
正直、気付くのに遅れた…

もう少し詳しく説明すると【大気汚染防止法(以下、『大防法』)】の法律自体はばい煙公害のあった昭和43年とどえらく前ですが、アスベスト関連法の加わった改正版の大防法は令和3年に施行。報告義務は令和5年4月から義務、さらに有資格者からの報告義務が令和5年10月から…

そう、来月からなのです

何をしないといけないか簡単に言うと
解体工事なら対象床面積が80㎡以上、リフォーム工事なら100万円を超える受注をとる際に元請けは必ずアスベスト(石綿)の有無を調査して、行政に報告義務が生じるというもの
違反すると30万円以下の罰金懲役がしっかりご用意されてます

不動産の方に関係あるかというと
重説で可能性について、また物件状況確認書でアスベストの調査をしたかどうか話すことになってます
これは きっかけになった国の負けたのアスベスト裁判の判決が平成17年なので、不動産売買の重説には平成17年から説明するように入っています
(知らないの一言でしょうけど)

でも この問題、大半の不動産屋は自分には関係ねーと考えていると思う

実はこれ結構ヤバいのです

アスベスト含有があるかどうか建築業者に見積もりを取るだけで○万円かかり(*1)、もし土地として扱うならレベル1,2(*2)のアスベスト建材が確認されたら除去費用で○百万円費用が上がります
レベル1建材はコンクリート建築物はほぼ対象なので平成18年9月1日以降着工のマンション以外は アウトということになるのです

鉄骨造りの建物も吹付けアスベストが見つかれば除去費用で同様になります

(*1 自社で工事する前提なら見積費用をとらないところもあります)
(*2 レベルの数字が小さいほど危険度が高いです)

リフォーム工事においても同じく該当箇所において費用がかかります

これまでは ふわっとした話で通していたのが具体的な金額の話まで出てくると話が変わってきます

つまるところ今後、具体的なアスベスト処理費用の話をしなければならなく可能性があります

大事なとこなので二度言います
具体的なアスベスト処理費用の話をしなければならなくなる可能性があります』

今受けてる研修テキストによると“ 不動産価格にも影響する ” とハッキリ載っている…

ちょっと待って!?
不動産業者がアスベスト診断して査定に加えるってコト?
お上(国交省)からそんなアナウンスあったっけ?

だいたい仕事に関わる法改正があると、所属してる団体(宅建協会等)を通じて我々の監督官庁である国交省からお達しがあるのですが なぜか特に大きなアナウンスがない
ときたま宅建協会の講習で座学的な話は聞いたけど…
どのくらい価格に反映させるかなんて言ってなかったよね?

逃げた…?

某リフォーム系YouTuberの先生も仰っていましたが、どうもこの法律制定は厚労省と環境省が関わってますが、肝心の国交省が絡んでいないかららしい
マジかー

その作業というのが、まさに、、何というか、、、まるで「除染作業」

出典 [国土交通省パンフレット]より
出典 [環境庁]より

古いRCマンションなんてムチャクチャあるやんみんなアスベストあるのか…
どぉ~すんのコレ…
途方に暮れてると脳内に厨二病気味の映像が…

なにかとダブって見える
汚染された世界にあのツナギ着てガスマスクのようなマスクつけて…

「あれ? これって  ナウシ力の世界やん… 」

アスベストに汚染された古コンクリート建築物という腐海の森に臨む人類

デカくて古い公団の建物見る度、思わず
『王蟲…』と呟く

ユパ様の言葉を借りれば…
「我々人間はこのまま腐海にのまれて滅びるよう定められた種族なのか。それを見きわめたいのだ。」

イメージです

と、ユパ様のモノマネはできないので表情だけ険しく「太陽にほえろ」風の表情でこのセリフを語る

?!

スミマセン、分家の人でしたw

でもこれから義務化されるということなら覚悟を決めるしかない

少しでも気持ちを乗せるために気分をナウシ力の世界に乗せて語らせてもらうと
「しょせん血塗られた道だ」
と、クシ○ナの言葉が頭をよぎる

まてよ…
これが義務なら検査依頼がたくさんくるのかな?
「うだつの上がらない平民出にやっと巡ってきた幸運か、それとも破滅の罠か…」

王蟲…

冗談はこの辺にして、アスベスト除去作業って具体的にどんな風にするのか説明するとコ○ナの時に医療関係者が来ていたようなつなぎ着て、防塵マスクつけて完全防備でヘラでアスベストをこそぎ落としたり、手で一枚一枚剝ぎ取ったりします

そして特殊な袋に詰めて専門の処分業者に引き取ってもらいます

かなり面倒くさい…

建築・解体業界は決定事項なのでこのまま言われた通りにするしかないんですが、とにかく手間がすごいので費用が爆上がりになります

でも一つだけいいニュースがあって木造の一般住宅ではそこまで影響はなさそうです

出典: 国土交通省「目で見るアスベスト建材」

スレート屋根とか少しはあるみたいですが、足場組んで湿潤化して一枚一枚剥ぎ取るくらいで、RCみたいに飛散防止のビニールで隔離養生して建物全体を覆って作業をするということはなさそうです

個人的にはバルサンみたいな噴霧機で簡単にアスベスト建材を湿潤化、カプセル化してクリーンルームや専用のつなぎ、フルフェイスマスクを必要としない技術を開発して欲しいです

まぁしばらくはRC、鉄骨造りは避けよっと

次に不動産ですが、この執筆中にはまだ具体的なことは決まっていませんまず「何を査定額から引くのか」「どの段階で引くのか」「誰がその金額を決めるのか」なんの情報もありません

問題は
この事実を伝えるだけでいいのか?
誰負担の話しなのか?
そもそも除去費用を割り出して引くのか?
そのまま使う人に売主は後々かかるかもしれない費用を保障するのか?
現在 ” 取引事例比較法 ” で査定している中でこのルールが突然混ざったら今後の査定にどう影響を及ぼすのか?

査定額とは別枠にしておかないと混乱するような気がします


買主にとって どこまで必要なのか…
伝え方を間違えるとお客様の導火線に火が付く怖れアリ

でもそうなるとこれから古い中古マンションはキビしくなるかも

除去費用が影響するとなると200万くらい落とさないといけないかも
地方の古いマンションは400万~500万というものありますから…  いったいいくらになるのか

怖くなってきたのでこの辺でやめときます
新情報入ってきたら追記していきます

最後にユパ様のセリフを借りて締めたいと思います
「また村(㍇)がひとつ死んだ。いこう、(お金がないから)ここもじき腐海に沈む。」

p.s.  無事資格取れました



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