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ジャック・アマノの “アメリカNOW" イエローストーン国立公園の東にあるコウディーという街

 景色が楽しめないから夜は走らない。そう決めているツアーだが、イエロー・ストーン国立公園内が混んでいたのと、泊まり先のコウディーって街が思ってたより随分と遠かったので、到着が夜になった。

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イエロー・ストーン国立公園へのアクセスは、コーディから。つまりは東側からが最も景色が綺麗かも。こんなダイナミックな景色の中、川沿いをグイグイ上がって行く

 町の入り口にはロデオ用スタジアムがあった。ビッグ・イヴェントが1週間ほど前にあったと、掲げられていた看板で知った。ロデオ、一度間近で見てみたいもんだが、そのタイミングで来てたら、この町にホテルは取れなかったかもしれない。

コウディーの街で存在感を放つイルマホテル。右側の増築した風の別棟にフロントはあるのだろうか?(タイトル写真)

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夜、目についたネオンサインが「イルマ・ホテル」だった。この入り口を入るとバーがあって、左側がレストラン

 メインの通りは、もう人出がほとんどなかった。ちょうど信号で止まった交差点に、”グリル”という赤いネオンサインを光らせているホテルがあった。レストランのアウトドアの席ではバンドがライブ演奏していて、お客さんが数人だけ見えた。
 自分のホテルは街をほぼ通り抜けたところにあった。

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イルマ・ホテルの脇道側はカフェのようになっている。二階のテラスでバッファーロー・ビルはよく寛いでいたという

 暗い中でも西部劇の舞台感が満ち満ちていた通りだけに、あくる朝、公園に戻る前に散歩してみた。例のホテルはイルマ・ホテルといって、コウディー氏が建てたものとわかった。町の名前と同じ苗字。コウディーが作った町ってこと……ではなく、彼にちなんで名前がつけられたってことのようだ。イルマは彼の末娘の名前。ホテルは1902年創業というから、100年以上も前だ。

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ホテルの横の木陰にバッファロー・ビルが座っていたので、記念撮影

 コウディー氏、実はニック・ネームの方が有名。それはバッファロー・ビルという。アメリカの西部開拓時代のヒーロー。南北戦争でも活躍。何をしたか? 鉄道を作っていた人たちに食料としてバッファローを供給したのが始まりで、地域の地形や気候に詳しいことで軍隊にも貢献。その後、西部開拓ストーリーのショーを全米で披露し、人気を博したという。ヨーロッパでもウケたっていうから驚きだ。このショーのタイトルが、”バッファロー・ビルのワイルド・ウェスト”。自分が西部ツアーにつけた名前の元祖がいた街に来ちゃったってことだ。
 やり手だったコウディーは、儲けたお金を西部が発展するようにと投資した。ホテルもその一環。それで彼、地元で英雄と崇められるようになったようだ。街には彼の博物館、それもかなり大きなものが建てられていた。先住民たちが住んでいたエリアへ白人が入って行って、彼らを西へ西へと追いやった。その際には当然フリクションが発生、戦いにもなった。ショーをやっていた頃のコウディーはインディアンとの交流も深かったらしいが、彼はインディアンの敵だったと捉えている人々もいるようだ。

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ホテル二階の廊下には部屋のリストがあった。

 イルマ・ホテルの従業員さんに声をかけたら、「中を自由に見ていいよ」と言ってくれた。恐る恐る入ってみると、ちょっと暗くて、分厚いカーペットが敷いてあって、歴史がたっぷり染み込んでいる感じ。壁には鹿の頭の剥製とか、古い写真が数多く飾られていた。
 バーも覗かせてもらった。カウンターの向こう側になぜかガラスケースがあって、昔の銃がズラッと並んでいた。もう使えないだろうけど、何か近寄り難い。バーテンはカウボーイの格好をしていた。

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今度は夜に来てみたい。100年以上の歴史があるイルマ・ホテルのバー

 またコウディーに来て、ホテル・イルマに2、3泊してみたい。ロデオも見に行って、夕方からバーでちびちび飲んで、ディナーはステーキ。ただし、部屋は30もなく、夏はいつも満員という話だ。

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泊まり先の隣りにあったモーテル。こちらも西部劇テイストが横溢

 ホテルから通り1本隔てた店は馬のサドル(鞍家)屋さん。その隣りにフライ・ショップがあった。釣り用の毛針専門店なんて、初めて見るかも。思い切って入って見た途端、もしかして……と思いつき、「ガイドつきツアーってやってますか?」と尋ねてみた。「日曜日に行きたいって言ったら、空いてます?(この日は木曜日)」と続けて質問。すると、「1日コースがお薦め。空いてますよ」との答えが返ってきた。道具は全部貸してくれる(料金に含まれる)。ガイドさんが釣れる場所にボートで連れてってくれて、釣り方の指導もあって、お値段560ドル。天然のニジマス、それも40cm級とかが釣れちゃう期待・大で! 「行きた〜い」と一気に盛り上がったが、悩んだ挙句、今回は断念した。ガイドさんとマン・ツー・マンでも、他のお客さんが合流するにしても、濃厚接触になっちゃうなぁということで。
 観光もいいけど、こういうアクティヴィティも次回は絡めたい。
 あー、やっぱりフィッシング・ツアー、行けばよかったか?

以上 Story 31 終了 

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