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1.PETBOTTLE ROCKET/ピーナッツくん

Vtuberとは?自分の曲の多くでそのテーマに迫っているピーナッツくん。
その中でも「Vtuberの世界」に対して,ピーナッツくんの本音が聞ける曲。そのように感じています。

リリックや曲調,そしてMVの印象も相まってどこか懐かしさを感じます。リリック面では「あの時のペットボトルロケットのよう」「ピカピカ太陽光 つま先で立って受け止めんだ」「机の中にしまうBADDAY みんなは口々に言うよ勝手」「とめどもない毎日 君とは友達」「窓を開けて 風を浴びる」…非常に身体性の高い,聞いているおともナッツが自身の幼い頃(若い頃)を思い出す構成になっており,大変気持ちいい。

ビートはnerdwitchkomugichanの渾身の音圧を感じます。ピーナッツくんのフロウを活かしたAサビへの加速は圧巻。そして筆者がもっとも衝撃を受けたAサビラストのブレイク。何本ものペットボトルロケットを落としてきた(活動の失敗)ことを最高の形で表現。ここからのピーナッツくんのリリックの巧みさが光ります。加速するビートと加速する日常。Vtuberとしての自分を強くイメージしているのが伝わります。(Vtuber面の考察は後述)

ラストはより力強い音圧と,ここまでに積み重ねてきたリリックの強さで吹き上がっていきます。AサビのBサビの重なりと同時に,中に篭っている決定的に違う力強さが心に響く。どこに飛んでいくかわからないペットボトルロケットは彼の住むYoutubeの世界に投影されています。リリックの「行き当たるはずさどっか」は,不安から不安定なものへの挑戦へと昇華されました。清々する言い回しは仲間と進むことへの希望も感じます。

上記のほぼ妄想ともいえる感想に確信を持っている理由はKAI-YOUさんが公開している動画,ピーナッツくん×nerdwitchkomugichanの対談動画からビシビシと感じます。(マジで見てほしい)
曲を聞いたMV作者の人造人間ジンゾウさんが提供したMVのイメージが,ピーナッツくんとnerdwitchkomugichanの音楽にさらに加速をかけた様子は,ジンゾウさんの生放送からよくわかります。動感をもたらしているのはエフェクトを付けたブキさんの功績に他なりません。アーカイブを残してくれていますのでこちらも視聴を是非もなくお勧めします。

正直に言うと,この曲を聞きはじめた時にはこの曲に内包している彼の世界をきちんと理解していませんでした。曲から彼に触れ始めて正直「音楽一本でもやっていけるんじゃね?Vtuberというよりはラッパー。マジかっけーじゃん」と思った当初の筆者は完全に理解不足。ラッパーとして何を表現しているか,が彼の持っている最大の魅力。その「何」がVtuberとしての自分。もっというと,Vの世界も音楽の世界も好きな一人の人間。

ピーナッツくんを好きになって,ぽんぽこちゃんねるを好きになって,ぽんぽこ24を好きになって,Vtuberがどれだけ頑張ってるかがわかるようになって。そこでリリックの「24時間を抜かして 続きの続きを進んでった」がどれだけの推進力だったのかを知ったとき,比喩でなく震えました。

この曲はピーナッツくんの物語だけど,それだけじゃないんだ,VirtualYoutube全体にも重なる応援歌なんだ,とわかってしまった。ぽこピーがどれだけの思いで動画を作ったり生放送をしたりゲストで参加したりイベントを開いたりしているのか。現実的な収益性や利益判断は当然あろうにせよ,それだけではあの活動量は説明がつかない。筆者もかなり仕事をする大人だが,それでもあの仕事量は異次元。兄妹揃ってバケモンです(豆と狸で正真正銘バケモノでした)。

MVには滋賀の甲賀市(ぽコピーの地元)を思わせる原風景が表れています(ジンゾウさんは甲賀市ではないと言っていますが)。ですがMV上ではぽんぽこちゃんねるの動画にある生き物が多数出てきます。ぽこピー(ピーナッツくん)は架空の存在ではなく,今生きているこの世界と重なりあう生きている存在。そこで頑張る彼らの物語はファンタジーではなく生きている人間のエネルギーに満ち溢れています。生命感と躍動感。それがペットボトルロケットという無機物との対比で表れているのがなんともニクい。

ラストは動画のコメントでもよく言われていますが,アルバムツアー「Walk through the stars」のライブに用いられた風船が。どれだけ神ライブだったかがよくわかります。筆者はハマりたての頃このライブの存在を知らなかった。ライブするんやー,くらいの認知…。ライブDVD絶対に出してほしい…言値で買うから…

アルバムではつながる曲が「Walk through the Stars」。飛び立っていったペットボトルがどこに飛び立っていったのかを示しています。アルバムの表紙を見ながらにやにやしてしまう。

全編通して素晴らしいの一言です。アルバム代表曲にふさわしい。他の曲もいい曲ばかりなので,理解度が深まった時につれつれ語っていきたい。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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