ライアーゲームから学ぶ心理戦の演出方法
最近ポーカーが面白くて、世界のヨコサワやらPokerstarsやらの配信を観るのが辞められない。
こんなにやるのも観るのも等しく面白いものって珍しいと思っている。
さらにポーカーは編集次第で恐ろしく動画映えするゲームだとも思っているが、意外とこれを題材にしたドラマや漫画などは少ない。
もっと派手なポーカーって無いのかなぁと思ったときに、ふと昔大好きだったライアーゲームのことを思い出した。
(作中に登場する17ポーカー、ポーカーに理解のある今だからこそ
ルールを作り込んだ作者の甲斐谷さんにリスペクトを覚える)
ライアーゲームは、あらすじで言えば
「馬鹿正直な主人公がある日1億円を自宅に送りつけられ突然マネーゲームに参加をさせられ、天才詐欺師と共にそのゲームを勝ち上がり運営の正体を突き止めていく」というのがざっくりしたところで、
各章で「何喰ってたらこんなルール思いつくん...?」という緻密なルールのゲームを参加者同士で争うのが最高に面白い、漫画原作のドラマである。
下記は古い記憶を辿りながらになるが、ライアーゲームのドラマのどこが面白いのかを自分なりに整理してみて、
殴り合いなどとは異なる人間同士の会話や表情の機微で進行していくドラマの構成が改めて凄いな、と感動を覚えたためその要素のメモになる。
【面白さを構成する要素 ①確定演出】
これについては最早お家芸とでも言えるライアーゲームの美学だ。
心理戦の醍醐味は逆転に次ぐ逆転、敵キャラが勝利を確信して高笑いを始めたり、やりすぎだろ...ってくらい目に見えて調子に乗った言動をしているときに
主人公サイドが静かにニヤリ... などとすると「お、こっから逆転だ!」という展開が分かる。
水戸黄門で「あ、これは印籠出すぞ!」に近い流れである。
(ドラマでは名物の敵役、フクナガ。
役者さんの記事には「この役疲れる」と愚痴が入っていた)
【面白さを構成する要素 ②BGM】
ライアーゲームでは信じられないことに、作中BGMを中田ヤスタカが作曲している。
https://www.youtube.com/watch?v=z_e3OTB7wEM
いや、こんなんカッコいいに決まってるじゃないですか。
このBGMで毎回OPは戸田恵梨香と松田翔太がソファの周りで立ったり座ったりしてポーズを決めているわけである。そりゃカッコいいわ。
さらに、作中でもゲームのチュートリアル、ちょっとコミカルなシーン、
ゲームの盛り上がり所などで毎回BGMがいちいち良い仕事をする。
オンラインで仕事をしているとき、ライアーゲームのBGMは何だか自分は全てを理解している気分になれるから本当にオススメ。
このゲームには、必勝法がある。
とか言いたくなる。
【面白さを構成する要素 ③テンポの良さ】
これは本当に観ないと伝わらないポイントになりかねないが、
本当に編集が細かく、表情のズームアップなどが適度にくどいのに全く不快にならない。
また、カットが細かく恐らく役者さんは直立しているだけにもかかわらず画面に動きを感じるのが工夫を感じる。
毎回ゲームを説明するのがこういった仮面の男になるのだが、
普通にゲームの説明をしているだけなのに
目元のクローズアップや急な引きなど、全く飽きないように作り込まれる工夫を感じる。
【面白さを構成する要素 ④ゲームの深さ】
前述のとおり、各章ごとにゲームの内容が大きく変わる。
投票により少ないほうが生き残る少数決、
プレイヤー同士の接触で一定数を超えないとならないが人狼との接触が出来ない、天使と悪魔ゲーム (原作では感染ゲーム)、
最終のエデンの園ゲーム等。
パッと聞いただけでは入って来ないルールも多いが、理解するとなかなかに楽しい。
他にもいろいろな要素があると思うが、
やはり画角そのものに大きな動きのない心理戦において
テンポ、BGMは非常に大事な要素だな... と改めて感じた。
是非まだ観たことのない人にもオススメした作品だ。
ぶっちゃけゲームの内容はちゃんと理解してなくても、
役者の皆様が素晴らしいのでリアクションなどだけでも結構楽しい。
ライアーゲームも完結からいつの間にか結構経ったし、何か心理戦が面白い作品があれば色々観て行きたい所存 (*グロはダメ!)。
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