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日本の藍染めを大切に守る

 これから植物のタデアイや染め物の藍染めについて、思いつく限りの角度からお伝えしたいことを書いていくことになるので、常に私の中で「前提」としていることについて文章にしておきたいと思います。

1、個でありながら全体を意識します

 日本の徳島県でタデアイの栽培・加工・染色を営む一藍業者としての取り組みを通じて、「タデアイが持っている可能性」をいかに引き出し「日本に伝えられてきた藍染め」を健全に次の世代に渡していくかを考え、行動し続ける、という事が私の思索・探索・発信の大前提となります。

 ですので、ここでは特定の業者さんや職人さんを非難して自分を正当化するという事をするつもりはありませんし、「誰が一番」、「何が一番正しい」、という極論めいたことについても触れるつもりはありません。

 そもそもそんなことを言っていられる業界ではありません。
 誰が一番かなんて、はっきり言って興味ありません。
 藍染めそのものが産業として既に成り立たない状況にある中で、そんなマウントを取ったり取られたりする事自体、面白くもおかしくもない無駄な事。

 発信することで、藍に携わる方々や藍染めのファンでいてくださる方々のヒントになるような、もしくはせめて元気になれるような情報を心掛け、業界全体がまずは活気を取り戻せるように少しでも役立つことができればと考えています。

 

2、日本の藍色を元気にしたい

 現在、百貨店で藍染め商品を販売するときには「色移りの可能性」についてアラート掲載しなければ、棚に置いていただけないという状態です。
 ですが、本来の藍染めは色移りをしません…色移りのする藍染めには、染色過程に何らかの「伝統的でない」工夫が施されているか、本来経るはずの過程が抜けているかのどちらかの可能性が高いです。

 藍染めは強い。色移りしない。
 そう言っても信じていただけない現状は、歯がゆく残念です。

 世界的にも「藍染めは色移りする」ことが一般的だとされているなら、伝統的な「日本の色移りしない藍染め」は大変魅力的な技術であると、改めて見直すことができると思います。
 ここを皆さんと共有し、大切にしたいのです。。。

 少しずつでも、日本の藍色が本来の元気で強い色としてもう一度日々の暮らしに寄り添う素材になるには、皆さんにどんなご提案やご案内をしていけば良いのかな…ということを常に念頭に置いています。


3、夢は「すくも」の全国品評会開催

 「マウントを取るつもりはない」などと言っておきながら品評会とはこれ如何に!?と思われるかもしれませんが、これはとても大切な夢なのです。

 現在、藍染めの染料である「すくも」を生産し全国に向けて販売に当たっている職人さんは非常に少なく、品評会を開催するような規模ではありません。
 ですがここ数年、全国各地で藍の栽培と「すくも」の生産にトライする方々が散見されるようになり、業界全体の動きとして大変すばらしい流れに入っていると感じています。

 この流れを止めたくないです。

 染料の品質向上や技術の向上には、切磋琢磨する健全なライバル関係が不可欠だと考えています。「阿波藍」の特産地とされている私の地元の徳島にとっても例外ではないと思います。
 まずは業界全体が互いに助け合い少しずつ元気に賑わいを取り戻すこと。そしてその先に、更なる切磋琢磨を重ねる事。そうなった時に、かつて江戸時代・明治時代に開催されていたようなすくもの品評会を復活させることができたら、どんなに素晴らしいだろうと思っています。

 私が生きているうちに叶うのかな…分かりませんけれど、もし私がこの世にいなくなった後からでも、すくもの品評会が復活するようなことになれば、十分にうれしいことです。

 ということで、「こんなつもりで書いてます」のご案内でした。
 どうぞ、お付き合いよろしくお願いいたします。 

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