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【藍探求】藍染の貝灰をこだわってみる

※基本的には藍染の知識のある方向けの記事です

藍染の過程で発酵を促進させるために使用される貝灰(もしくは石灰)。この貝灰を実験的に少しこだわってみました。

貝灰について

こだわった内容の前に、まずは簡単に貝灰の説明を。

貝灰の役割としては以下のことが考えられます。
(基本的に大事な役割は①です。③は"このように考えている人もいる“程度の情報です)

①アルカリ性の調整
貝灰はアルカリ性であり、藍染の発酵液のpHを調整する役割があります。適切なpH環境を整えることで、藍の発酵がスムーズに進み、染色の質が向上します。

②ミネラルによる活性化
貝灰に含まれるミネラルは、藍の発酵を促進します。発酵が進むことで、藍の色素がより活性化され、鮮やかな色を布に定着させることができます。

③脱臭効果
発酵過程で発生する特有の臭気を抑える効果が考えられます。


藍染で無塩貝灰を使う

そして本題。
結論からいうと、うちの工房では無塩の貝灰を試験的に使用しています。

藍染工房の立ち上げの際に、使用する貝灰についてもう一度考え直し、貝灰の一般的な使用例について調べると、アルカリ性洗剤、壁などに使う漆喰などが見つかりました。また畑の肥料としても使われます。

この畑の肥料としての使用方法をさらに詳しく調べていると、貝灰には塩分が多く含まれているので、使用量を間違えると塩害がおこり作物が育たないということを知りました。

このときに思ったのが発酵と塩分の関係。

藍染に発酵は欠かせないですが、基本的に塩分は発酵を抑止する作用があります。正しく言うと菌の繁殖を留める力を持っています。

ただ、発酵食品などには塩を使う場合もあります。いろんな発酵食品の作り方を調べた結果、発酵には、出来上がるまで長時間放置する発酵と、定期的に混ぜる必要がある発酵があり、放置する発酵には多めの塩分を入れる場合が多く、定期的に混ぜる発酵には塩分を控える傾向があることがわかりました。

これは予想ですが、放置していると別の腐敗菌も育ちやすくなるため塩分を使用するが、混ぜる場合は腐敗菌が生まれずらいからなのかと。

藍の場合、乾燥葉を蒅に変える際の発酵はもちろん塩は使わないですし、藍染の液にも塩分は少ない方がいいのではないかと思いました。


琵琶湖の淡水貝の貝灰

僕の工房がある滋賀県には琵琶湖があり、ここには多くの淡水貝がいます。淡水ということは、海水を吸ってないので無塩の貝です。

さらに調べると、農業の塩害を防ぐために淡水の貝灰を作っているところがありました。

滋賀県という土地のモノを活かせるのも最高なので、これからはしばらく無塩の貝灰を使って、藍染の液にどのような変化があるか試してみたいと思います。

特に使用感に違和感がなければ、このまま無塩の貝灰を使っていこうと思います。

また、このnoteで経過報告していきます。


嶋田 拓真
1996年生。大学在学中に藍染に興味を持ち、藍の産地である徳島県で3年間勉強をした後、2024年に独立。現在は地元である滋賀県で藍の栽培から染色までをおこなっている。
Instagram(@takuindigo)


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