【音楽感想】Changeling〜2人の未来〜

(いつもの: この記事は個人の感覚・感想で公式なものではありません)
M3-2020秋にB.rose&crownからリリースされた「Changeling〜2人の未来〜」の感想です。

どんなアルバム?

歌も歌える作曲家のrujouさんが多くの女性ボーカルに参加してもらって制作した作品です。参加したボーカルさんはなんと14人!?  作詞の多くはrujouさんですが、4名作詞の参加者もいるので、スタッフは総勢18人となるようです。
ジャンルとしては民族音楽・物語音楽と思われます。changelingという言葉のとおり、妖精と人間の運命の交差・悲劇、として再起を描く物語です。参加しているボーカルさんが、先日書いた感想で紹介した「お月さま交響曲」とかでよく見る方々なので、こういった系統が好きな人は間違いなく好きになると思います。

感想

1. 母との別れ
ピアノと二人のボーカル・コーラスで奏でられる悲しい歌。
「白雪の刹那/柔く儚い/願いは溶け」
その詞のとおり、白雪にしんと溶けるような静かさで紡がれます。歌曲のように台詞的で、でも詩的な歌詞を、二人のボーカルがそれぞれに響かせるように歌っています。

2. アニと妖精王
「アニ」はあらすじに書いてありますが、歌われる物語における(妖精の?)女王です。琴が伴奏する歌は少し感情を切り離しているようで、まるで弔いです。そしてこの歌はきっと、命尽きる女王の最期の歌なのでしょう。

3. のこされた2人
オルガン調の音に伴奏され、孤独を歌います。1番と2番は二人の主人公の孤独をそれぞれに歌い、最後に声を合わせ歌うのです。
「孤独な命はただ進む」

4. 分け合う羽
少し温かみのある曲調になり、1番と2番はお互いのコーラスに支えられながら互いへの信頼を歌っているようです。前のトラックと異なり、最後は二人のボーカルが重なり希望を輝かせるような詞を紡ぐところにぐっと来ます。

5. 森の祝福
造語(と思われる)の歌ですが、歌詞カードには訳が書いてあります。曲名のとおり、二人の主人公を守る森の歌なのでしょう。一人のボーカルによる重唱で、厳かに祝福が歌われます。
「2人の魂に祝福を」

6. 妖精の光と影
長調と短調をゆらぐような、不思議な、不安な歌です。歌詞が意味深長すぎる……あんまり引用してもあれなので説明が難しいんですが、呪うようで祈るようなそんな歌です。
「1つの心/2つあればさまよう」
「森の風よ/2人をつつもう」

7. 2人の未来
ここまでのトラックから、ぐっと演奏の音が増え、歌詞の言葉も増えます。クライマックスですね。しかしボーカルは囁くように、悠遠に響くように、決して強く歌うわけではない。しかし演奏に負けているわけではなく、溶けあうように音は響くのです。それはメジャーの音楽シーンではなかなか聴くことのない音です。

8. 希望
これも造語の歌のようです。ダウンロード版だとアルファベット表記との対訳はないですが。春を迎えるような、笛の優しい旋律と歌が、ああ終わったんだなあという気持ちと、これから先への希望で胸を満たしてくれるようです。


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