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【音楽感想】零月レセプション

(いつもの: この記事は個人の感覚・感想で公式なものではありません)
M3-2020秋に幻覚アリアからリリースされた「零月レセプション」の感想です。

「幻覚アリア」とは

ゆっき(yukki#)さんが主宰する音楽サークルです。基本的にyukkiさんが曲を作り、それを別のサークルとかで活動する女性ボーカルさんたちに歌ってもらうという形でずっと活動しています。
作る曲は基本的にゴシックメタルって感じですね。私はゴシックロックみたいのが好きなのでそういう音楽を買い漁っているわけですが、幻覚アリアはそのなかでもヘヴィな部類だと思っています。幻覚アリアの曲は物語音楽というわけではないでしょうが、各アルバムごとにはっきりとしたテーマがあり、毎度その世界観が楽しいです。また、アルバムごとにどれか一曲には「幻覚」とか「アリア」とかが入ってたりします。この単語が好きなんでしょうね。
この「零月レセプション」は幻覚アリアのアルバムとしては6番目です。

感想

1. 蒼月シンフォニア
第一曲にして衝撃感のあるメタルサウンドとゴシックなメロディーの絡み合った旋律から始まります。歌うのはnayutaさん。悲劇的な声音で歌う世界観は「Resurrection」「孤独」――
「新月の夜に見失い 心 曇りガラスが消えない」
その詞で迎えるラストサビへの間奏は打って変わって静かで、曲の緊張感を一層高めます。

2. 永遠への夜想曲
チェンバロからメタル、メタルから男性コーラスと王道的な展開ではじまるセカンドナンバー。気品と迫力を併せ持つKOKOMIさんの歌声が、夜に狂い酔いしれる詞の世界を彩ります。またこの曲はメロ・サビといった通常のJpop構成から少し外れて、Aメロのあと少し間奏があってからBメロ、サビ、そのあとたっぷりと演奏を挟んでCメロ的な部分に入ります。目まぐるしく色を変える旋律と、それに巧み合わせる歌がポイントかなと思います。

3. 零月レセプション
荘厳なイントロから一息のピアニッシモを挟み、この表題曲の歌は爆発的に幕を上げます。叫ぶような諦念、怒りのような悲しみ。花たんさんが張りのある歌声で、見事な抑揚をもって歌い上げます。
「さぁ最後まで零月レセプション」

花たんさんは私としてはボーカロイドの歌ってみたが印象に強いです。そして美少女ゲーム「すきま桜とうその都会」の主題歌が最高に好きです。優しい歌も格好いい歌も映える、強い声の人だと思ってます。

4. Reborn -from ash again-
ここまでテンションの高めの曲が続きましたが、ここでちょっとだけおとなしめの曲になります。とはいえゴシック&ヘヴィな曲調は維持されます。イントロからずっと、要所要所で奏でられるピアノは、まるで狂気の途切れのようで、しかし詞は引き返せないほどの終末的な狂気に満ちています。
「焼き殺して生まれ変わろう/Reborn -from ash again-」

歌っているのは柿チョコさんです。柿チョコさんは私の聴く範囲では幻覚アリア以外では見かけませんが、逆に幻覚アリアでは4番目のアルバムから続けて参加されているので、幻覚アリアといえばこの人かなという印象があります。(nayutaさんとめらみぽっぷさんも同じく4番目のアルバムからですが)。影を感じさせる歌声がダークな世界観にあってると思います。声が低いわけでもなく、引き裂くような高音も素敵です。

5. Like a ref'rain'
雨音とオルゴールの音色。そのままエンディングを奏でる……わけではなく、やはりメタルサウンドと閃光のようなめらみぽっぷさんの歌声でこの曲は奏でられます。歌われ続けた狂った世界に、最後まで救済はもたらされることはなく。
"Like a ref'rain'...."
その詞とフェードアウトで終わります。フェードアウトで終わる歌ってあまり好きじゃないんですが、この世界観的には結末もなく終わってしまうのでしょうから、これがあるべき演出なのでしょう。このもやもやこそがこのアルバムの世界観なのです。


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