見出し画像

マーケコラム第2弾:広告代理店の平均年収から「稼働工数」を考える。

こんにちは。石川知史です。
初めての方向けに簡潔に自己紹介させていただくと、今年4期目になるマーケ支援会社、株式会社インディゲンスのCOOをやっています。

私自身、今年で社会人歴が6年になるのですが、ずっとマーケ支援会社側のキャリアを歩んでいます。

またありがたいことに、小規模のWEBマーケ会社、大手広告代理店、WEBマーケ会社の起業を経験することができ、マーケ支援会社の組織体制に関してはそれなりに詳しい方かと思っております。

私について知りたい方はぜひこちらをどうぞ。

今回は、広告代理店の平均年収をベースに「稼働工数」について語っていきたいと思います。

ただ、この内容を語る前提として「粗利」の概念を理解している必要があるので、「粗利って何?」って方は下記をどうぞ。

ではいろいろと語っていきましょう。

1.広告費50万円の場合の粗利額と稼働工数

まず、前提条件の整理から進めます。
よく広告代理店が経営のKPIに定めているのが「粗利」という指標です。

月間広告費50万円の粗利額(内掛けグロス)は単純計算で下記になりますよね。

  • 広告費:50万円

  • 媒体配信費:40万円

  • 代理店手数料:10万円

※内掛けグロス費

上記の通り広告代理店の儲けは月間10万円となります。
ここから広告代理店のマインドに踏み込みますが、この場合、広告代理店の営業担当は

「10万円の中で稼働工数を最低限に抑えた上で、どう得意先の満足度を調整するか」

というマインドになります。

個人的に広告代理店側の「稼働工数」と「得意先の満足度」の調整が上手い方が「広告代理店営業が上手い方」だと思っています。

※決して「たくさん受注をとってくる = 営業がうまい」は無形ビジネスにおいては成立しないと思っている派です。

2.広告代理店の平均年収から「稼働工数」を考えてみましょう。

次に、広告代理店の「稼働工数」について考えていきましょう。

なぜ稼働工数を考える必要があるかというと、稼働工数の調整が広告代理店の経営に絶大なる影響があるからです。

なぜかを簡単に解説させていただく前に、広告代理店の平均年収ってご存知でしょうか。
JobQさんの調査によると、だいたい575〜675万円が相場みたいです。

広告代理店の平均年収は575〜675万円

JobQ Town「【広告代理店の平均年収】給料が高いのは仕事がきついからなのか解説

今回はわかりやすく「年収600万円」をベースに考えてみましょう。年収が600万円の場合、月間の額面給与は単純計算で50万円ですよね。

例えば広告代理店の経営者が「1人あたりの額面給与が50万円の会社を作りたい」と考えている場合、考える変数は下記の内容でしょう。。

  • 一人当たりの月収

  • 一人当たりの月間粗利運用額

  • 一人当たりの営業利益率

※営業利益率=(月収/粗利)
※厳密にはPLにある「営業利益率」ではないです。上記の「一人当たりの営業利益率」はPLにはない「管理会計科目」なので広告代理店によって呼び方が異なるかと思います。

わかりやすく数字で表すと、下記のイメージになります。

  • 一人当たりの月収:50万円

  • 一人当たりの月間粗利運用額:??

  • 一人当たりの営業利益率:??

あえて「一人当たりの営業利益率」を??にさせていただいた箇所に関して、広告代理店経営者の経営思想がもろに反映されます。

※正直税金や経常利益(デッドの借り入れ)、新規事業投資などの変数もあるかと思いますが、ノイズになりそうなので一旦外しています。

3.一人当たりの営業利益を具体的に考えてみましょう。

では、具体的に解説していきましょう。

例えば、、「今は従業員へ還元するよりもキャッシュを貯めて、新規事業などの運転資金にしたい」「より提案・顧客の質を上げるために、ツール導入費・家賃・PC環境を整えたい」という経営方針なのであれば、一人当たりの営業利益率は高く設定する必要がありますよね。

仮に目標営業利益率を250%と設定した場合、、

  • 一人当たりの月収:50万円

  • 一人当たりの月間粗利運用額:150万円

  • 一人当たりの営業利益率:250%

  • 一人当たりの営業利益:100万円

この場合、会社には月間100万円の利益が残りますね。
(※正直月間でこの利益を残せる社員さんはマジで優秀すぎると思います。笑)

反対に、、

「離職率を下げるためにも従業員への給与還元は最重要。その分家賃とかは抑えよう」

と考えるのであれば、一人当たりの粗利益率は低く設定しても大丈夫かと思います。

仮に目標営業利益率を150%と設定した場合、、

  • 一人当たりの月収:50万円

  • 一人当たりの月間粗利運用額:75万円

  • 一人当たりの粗利益率:150%

  • 一人当たりの営業利益:25万円

この場合、会社には月間25万円の利益が残りますね。
(個人的には「未経験2~3年の社員」はこの数値を目指していただきたい、くらいの感覚。)

4.会社によって「営業利益目標」は異なり「稼働工数の考え方」も異なる。

このように、会社によって営業利益目標は異なります。
そして営業利益目標が異なるということは「稼働工数の考え方」も異なります。

話を序盤に戻します。

仮に広告代理店営業マンが、月間広告費50万円の案件を担当することになったとしましょう。
その場合、月間の粗利額(内掛けグロス)は10万円です。

さらに前回の条件を当てはめていきます。
仮に広告代理店営業マンが下記の目標を会社から追っているとしましょう。

  • 一人当たりの月収:50万円

  • 一人当たりの月間粗利運用額:150万円

  • 一人当たりの営業利益率:250万円

  • 一人当たりの営業利益:100万円

その場合、月間粗利額10万円は目標としている営業利益のたった6.6%にしか満たないんです。

したがって、この広告代理店営業マンは同規模の会社だけをターゲットに置くとしたら、15案件くらい持つ必要があります。これは流石にしんどすぎますよね、、笑

上記の理由から、

「月間広告費50万円かけているんだけど、広告代理店が全然動いてくれないんだよね、、」
となるその理由がだんだん分かっていただけたかなと思います。

誤解を恐れずにいうと、経営的に考えた場合、この広告代理店営業マンは「動きたくても会社の方針で動けない」んです。

※こういった事態にならないように広告代理店によっては「最低出稿金額」を明確に提示したり、「どうやって組織設計をしていくのか」を考えたりするのは経営者の腕の見せ所だと思っています。

今日はここまで。

次回は「WEB広告会社が月間広告費50万円以下の事業会社様を、経営的にどう捉えているのか」について語っています。

ここからがっつり意見が割れるところかと思いますので、お楽しみにです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?