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オーストラリア先住民が運営する「Purple House」が起こしている奇跡

前回のnoteで、オーストラリア先住民による社会企業の取り組みを紹介した。今回は、その母体となっている「Purple House」について書く。

前回の記事はこちら↓


腎臓病のケアを、自分たちの手で。

オーストラリア先住民のアボリジナルの人々は、オーストラリアの他の人種に比べ、糖尿病、腎臓病になりやすい遺伝子、体質を持っている。そのうえ、植民地政策の影響で、食生活を変えざるをえず、あまり食べていなかった小麦・砂糖・塩・脂を多量に摂取したことで病気のリスクが高まった

そんな中、腎臓病が悪化し透析治療が必要となったアボリジニの患者は、慣れ親しんだコミュニティを離れ、透析施設への長期入院を強いられ、精神的にも負担が大きかった。

こうした状況を解決すべく、2000年に、アボリジニのアーティストが自分の絵の売り上げを寄付し、アボリジニが自分たちで運営する腎臓病の透析施設「Purple House」を開設。ここに来る患者は独自の文化を大切にしながら、治療できるようになった。

その効果は大きく、オーストラリア中央部のアリススプリングスに開設した当初は地域の透析患者の生存率が国内最悪だったが、今は最高レベルになっている

事業を拡大


Purple Houseは現在、透析施設の運営に加え、下記のような取り組みをおこない、患者が自身の文化や地域とのつながりを断たずに病気とつきあっていける状況を作り上げている。より詳しくはこのページを見てほしい。

●透析ユニットを載せたトラックによる患者の帰郷サポート

●病気の予防や進行を遅らせるための健康相談

●患者とその家族の継続的な雇用、アボリジニの知恵の伝承を目的に、The Bush Balm® social enterprise(ブッシュバーム社会企業)設立

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↑私がブッシュバーム社会企業からオンラインで買った、オーガニックのクリームとバーム。すべて自然由来の原料に、昔から伝えられてきた薬草を加えて作られている。

自分たちの手で、問題を見つけ、解決していく。

私がこの取り組みを調べる中で感銘を受けたのは、アボリジナルの人たちが自分たちで問題を見つけ、解決するサイクルを繰り返している点だ。

アボリジニの失業率は18.4%で、アボリジニ以外のオーストラリア人の失業率(6.8%)の2.7倍にも上る。貧困率も高く、病気になった時の治療費の捻出も大きな課題としてのしかかっている。世界各地の他の先住民族も同じように、高い失業率、貧困の連鎖に苦しんでいる例が多い。

こうした中、私の目には「Purple House」の取り組みは奇跡のような成功事例にうつる。こういったチャレンジが世界の先住民族の人々に広がることを、心の底から願っている。

https://www.purplehouse.org.au/


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