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『Valimai』 作品に関する情報集積

2022年2月24日に、アジット・クマール主演第60作品目の『Valimai(The Power)』が、インドで公開されました。製作の経緯と俳優に関する情報を集積しました。作品解説はありません。

[Valimai 作品情報]

Valimai (The Power)
[あらすじ] 
チェンナイでは、オートバイ・ギャング集団による窃盗や殺人事件が多発していた。事件の首謀者を捕らえるべく、警察官のアルジュン(アジット・クマール)はマドゥライからチェンナイにやってくる。
[ スタッフ ]
監督・脚本:H・ヴィノード
製作:ボニー・カプール(『Mr. India』)
[キャスト]
アジット・クマール(『永遠の絆』)
フマー・クレーシー(『英国総督、最後の家』『カーラ 黒い砦の闘い』)
カルティケーヤ・グンマコンダ
ラージ・アイヤッパ
音楽:ユヴァン・シャンカル・ラージャー
インド公開:2022年2月24日
上映時間:2時間58分
タミル語
©️Bayview Projects LLP, ©️Zee Studios

Valimai ロビーカード

Valimaiの注目ポイントその1:アジット自身がアクションに挑む

本作の一番の見どころは、オートバイ・ギャング集団とのバイク対決。オートバイのアクションシーンは、吹き替えなしにアジット自身が演じている。アジットは過去の作品でも、代役を使わずにアクション・シーンを演じてきた。

過去のアジット主演作『Arraambam』(2013)でアクション監督を務めた米国人スタント監督・俳優のリー・ウィテカーは、アジットのバイクや自動車の運転技術と知識を激賞した。リー・ウィテカーは、カマル・ハーサン主演『Vishwaroopam』(2013)のニューヨークでの撮影でスタント監督を務めた縁で、インド映画でも活躍するようになった。ラジニカーント主演『リンガー』(2014)、『バーフバリ』シリーズ2作品でもスタント監督を務めている(本作には関わっていない)。

アジット・クマールはモータースポーツ好きで知られ、カーレーサーとして世界のレースに参戦した経験もある。2003年のフォーミュラBMWアジアでは12位、2004年にはイギリス・フォーミュラ3選手権に参戦し、7位となった。2010年にはフォーミュラ2のレースにも出場した。

『Mankatha』(2011)のバイクシーン。

モータースポーツだけでなく、アジット・クマールは射撃の腕もトップクラス。2021年には、タミルナードゥ州の射撃選手権にチームで出場し、金メダルを含む合計6個のメダルを獲得した。

Valimaiの注目ポイントその2:アジット・クマールの出演作、最高製作費をかけたアクション大作

本作はタミル語版のほか、テルグ、カンナダ、ヒンディー語版も同時公開され、汎インドのマーケットを狙った大作となった。製作は、2019年10月に開始された。

だが2020年に入ると、コロナ禍のロックダウンにより撮影が中断となる。さらには一旦は決まった公開日がコロナ禍で延期となり、結果として、製作費用はアジット・クマールの出演映画の中では最大規模となった(一説では、製作コストが15億ルピー≒約23億日本円まで嵩んだとされる)。

Valimaiの注目ポイントその3: アクションだけでなく、ソング&ダンスシーンにも注目

本作の音楽は、人気音楽監督ユヴァン・シャンカル・ラージャーが担当した。『Naanga Vera Maari』『Mother Song』の歌詞は、『俺だって極道さ』の監督で作詞家でもあるヴィグネーシュ・シヴァンが手がけた。人気歌手シド・シュリーラムやラッパーのアリヴなども参加している。

「インド初の女性スーパースター」との縁

本作を製作したボニー・カプールは、『Mr. India』(1987)等々のヒンディー語ヒット作を手がけた映画プロデューサー。アニル・カプールの兄で、2018年に急逝したシュリーデーヴィーの夫だ。南インド映画、北インド映画双方で活躍し、「インド初の女性スーパースター」と称されたシュリーデーヴィーは、ボニーとの結婚を機に映画出演から遠ざかっていた。『マダム・イン・ニューヨーク』(原題:English Vinglish / 監督:ガウリ・シンデー/ 2012年/ 日本公開2014年)の主演で、映画に復帰した。

同作では、大俳優アミターブ・バッチャンがヒロインの「機上の隣人」を演じたが、タミル語版でその役を演じたのがアジット・クマールだった(日本ではヒンディー語バージョンが公開されたため、スクリーンには登場していない)。この共演をきっかけに、シュリーデーヴィーはボニーに、アジット主演のタミル語作品を製作してほしいと願っていた。

ボニーはシュリーデーヴィーの願いを受け入れ、アジット主演のタミル語作品の製作を準備していた。アミターブ・バッチャンが弁護士を演じる性暴力をめぐる法廷ドラマ『ピンク』(監督:Aniruddha Roy Chowdhury/ 2016年/ ヒンディー語)が話題になっていた頃、アジットがこの作品を見たと話すと、シュリーデーヴィーがリメイクを提案、即座に決定した。だが作品の完成を見ることなく、シュリーデーヴィーは親戚の結婚式に参列するため家族で滞在していたドバイで、2018年2月24日、心不全による溺死で急逝。享年54歳だった。その翌年8月、『PINK』のタミル語版リメイク『Nerkonda Paarvai』が公開され、大ヒットとなった。

『Nerkonda Paarvai』は、H・ヴィノード監督により原案に新たな要素が加えられ、アクション俳優であるアジットのキャラクターを活かすストーリーに仕上げられている。アジット自身が演じるバイク、カーアクションシーンもあり、見どころも満載。

同作の大ヒットを受け、H・ヴィノード監督、ボニー・カプール、音楽監督のユヴァン・シャンカル・ラージャーは再びタッグを組み、『Valimai』を完成させた。ボニー・カプールは本作の見どころを「アクションだけでなく、エモーショナルなドラマも盛り込まれている」と話している。

前述の通り、『Valimai』はコロナ禍で完成が遅れ、一度は2022年のポンガル(タミル新年の収穫祭)大作シーズンの目玉作品として、1月13日からの公開が予定されていた。しかしながらインドでのコロナ感染拡大が急増したため、公開は延期となる。改めて設定された公開日は、奇しくもシュリーデーヴィーの命日、2月24日だった。

Valimai 上映日告知ポスター

[Valimai 上映情報]

2/24(木)〜27(日)にかけ、東京(キネカ大森)、千葉(イオンシネマ市川妙典)、群馬(イオンシネマ太田)、愛知(名古屋ミッドランドスクエア シネマ)にて借館上映(主催:SPACEBOX)。チケットの予約はSPACEBOXウェブサイトにて受付。
※ タミル語版、英語字幕での上映(日本語字幕なし)。

▼チケットのご予約は「SPACEBOX」のサイトにて受付中。
(料金:おとな2,500円/ 子ども1,000円)

http://www.spaceboxjapan.com/

(2月25日時点の情報です。上映回によっては満席になる回がある可能性もありますので、お早めにご予約ください)





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