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陥りがちな罠〜キャラ萌え〜

 漫画をたくさん描きたいと思ってる人は多いと思う。それが難しいと感じる人もまた多いと思う。特に専業でもなく社会生活を営みながら趣味や副業で創作するのは限られた自由時間の殆どを費やさない限り、形には出来ないものだ。

 好きなら描けると口で言うのは簡単だけど結構難しいよ。

 折角それを費やすのなら目的を見失わずにブレず創作したいよね、というオハナシ。


 漫画を描くには魅力的なキャラが必要不可欠だろう。

 エロ漫画にもキャラ作りの苦労はあって、自分の考えるイケメン(僕はBLなので)がセックスするという基本骨格は動かないのと、同じ人が描く以上、どうしたって似通ったデザインになる。自分でも「またこういうキャラデザか」と思わないでもない

違いは髪型のみ

 それでも何とか性癖(エロ漫画はまずココから)、髪型から体型、口調などを決めて、読者から見たら同じような絵でも作者的には前作と勝手が違うため最初はギクシャクしながらも、ようやく手が覚えてきて描き慣れた頃、キャラへの執着が発生する。

 いわゆるキャラ萌えは良い面もあるが問題の方が多いと思っている。なぜか。

 僕は漫画を出来るだけ量産したいからだ。描きたいプレイも性癖の組み合わせも沢山あって、しかも折角描いたなら出来るだけ多くの人に使ってもらいたい。

 それなりに試行錯誤してようやく描き慣れた自作キャラに愛着、この記事ではもう、執着と言い切ってしまうが、それが生まれるのは僕も経験上すごく良くわかる。

 わかるんだけど、その次に何が起こるかも経験上知っている。掘り下げだ。

 もうどんどん掘り下げてしまう。漫画には描いてないのに「実はこういう身の上があって」とか、「こんなサブストーリーがあった上で結ばれてて」などだ。それを漫画でアウトプットできればまだ良いのだが、漫画も描かずに語ってしまうようになるともういけない。

 その世界だけが大切で違う漫画の量産はもうしない、付いてきてくれる人と狭いコミュニティで生きていくというなら全然構わないと思う。
 でもドンドン漫画描きたいと思っているならそれは単なる停滞だ。その間にも歳をとる。人生は有限。

 自分で書いて耳が痛い。僕もやっちまった経験があり、自分に言い聞かせてる側面もある事を了承頂きたい。

スピンオフ、しかも前編という何様デパート


 pixivで延々4年も連載ゴッコをしていた事がある。それなりに何百ページも描いていたから「これは自作に酔ってる訳じゃない!」と自分で自分にキレ散らかしていた頃だ。その時点で酔い酔い。
 側から見たら知らない人の無名漫画が続き続きで垂れ流されていたわけで不親切極まりなかった。基本設定を知るには最初まで遡る必要がある。無理筋だ。

 一体誰が、何人が、聞いたこともない漫画屋のためにそんな事をしてくれるのか、という視点が抜けてしまう程に自作キャラ語りは気持ち良いものだ。

 自分が読者側だったら素人の漫画にそこまで付き合うだろうか?付き合わないだろう。
 絵も話も二流三流の漫画屋の作品を追う唯一のシチュエーションは読切が量産されている時のみだと今は思っている。

 表紙とか、せいぜい1ページ目でたまたま目についた短編だけ読む。キャラは使いまわしてあっても良いが、他の話を読まないと理解できない作りはダメで、そのハナシだけで完結されていて初めて開いてもらえる。

 特定のキャラに執着しているうちに自閉していき、新規読者獲得のチャンスをドンドン失っていく。

 繰り返すが、キャラ萌えが創作の目的なら全然良いと思う。それが好きな人もいるしコミュニティも形成されていて否定するつもりは毛頭ない。
 漫画を沢山描いて、出来るだけたくさんの人に手に取ってもらう事を目的とするならそれは見失って迷走してるよね、と自分の愚かな経験からお伝えしたいだけだ。

 こんな事を語ってる今、正に僕の創作も停滞しているとも言えるわけだが、振り返ってみて本当に勿体無い時間だったと悔いている事をこれから同人始めようとする方にもし届けばこれは無駄じゃないと思い記事にしてみました。

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