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オファーレターだけ送りつけて、「はい、決めて」はもう止めにしませんか?「オファー面談は大事だよ」という話。

本業でも大変お世話になっているキャスターさんにお声がけいただき、名だたる有識者の皆さまと共に、採用 Advent Calendar 2021の企画に参加させていただくことになりました。(光栄です!)

しかも2番手での登場です。
野球だと、バントをしっかりと決めてチャンスを広げる黒子役!
バスケだと、3Pをガンガン決めるシューティングガード!(三井寿のように)
とにかく、次につなげるための重責を仰せつかりました。

note自体は個人のアウトプットとして活用し、以前から細々と書いていたのですが、今回は会社の人事という役割も担っているので少しプレッシャーもありますが、あまりかしこまらずに普段どおりに書かせていただこうと思います!

まずは、簡単に自己紹介と会社紹介をさせてください。

【自己紹介】
大学卒業後、新卒で損害保険会社に入社し、営業職や企画職を経験。
その後、キャリアカウンセラーの資格取得をきっかけに、人事職として楽天グループのFinTech企業へ転職。グループ内数社で人事業務全般を担当。
2020年より現職の株式会社KDDIウェブコミュニケーションズに入社し、人事企画領域を担当。「フルテレワーク×フルフレックス」の働き方で、地元沖縄から本社業務に従事。プライベートでは三兄弟の父親で、子育てに奮闘中。
Twitterも頑張っているので、フォローしていただけると嬉しいです…!


【会社紹介】
株式会社KDDIウェブコミュニケーションズは、1987年に設立され2007年にKDDIグループ入りをしたIT企業です。
ホスティング事業やWebサービス事業などサービスの柱を複数持ち、「ITで明日のビジネスにある当たり前をつくる」をミッションに、中小企業のビジネスを支える便利で分かりやすいサービスを提供しています。
このようなご時世となる前からもリモートワークを導入し、現在もリモートワーク中心の働き方で、従業員も全国各地に点在しています。共通の想いを持ちながら、別の場所で働く。そうした働き方が定着してきています。
関東圏にこだわらず、全国各地から一緒に働く仲間を探しています。興味を持った方はぜひ当社のリクルートサイトを覗いていただけると嬉しいです!


さてさて、そろそろ本題に入りましょう。
「採用」に関するテーマであれば何でも良いとのことで、どのようなアウトプットをしようか悩んだ結果、今回は採用プロセスの最後に行われる「オファー面談」に着目してみることにしました。

私はこれまで人事として採用に関わっていく中で、たくさんのオファー面談を実施してきました。
また、一方ではひとりの求職者として、いくつかの企業様から内定をいただくこともあり、オファー面談を受ける機会もありました。

オファー面談を実施する立場としての話は後述するとして、受ける立場として感じた課題としては次のとおり。

・オファー面談が片手間で行われていないか(形骸化していないか)。
・ただの労働条件通知書の読み合わせの場になっていないか。
・そもそもオファー面談は行わず、労働条件通知書の通知のみになっていないか。

自身の転職活動でこれまでいくつか内定をいただいた中で、オファー面談が行われた会社は半分ほど。
残り半分は労働条件通知書が送られてきて、「気になる点があれば問い合わせをください」といった対応でした。
オファー面談が行われた会社でも、丁寧に色々と説明くださり、こちらの質問にも時間の許す限り誠実に応じてくれた会社もあれば、淡々と労働条件通知書を読み上げ、ささっと終了した会社など様々でした。

選考プロセスの最後となるオファーのタイミングで、会社によってこうも対応が違うのかと驚いたと共に、内定承諾の可否を判断する上で実はすごく重要なイベントだったと、実体験を通して感じたこともあり、このテーマを取り上げました。

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1.オファー面談とは

オファー面談は、「条件面談」や「処遇面談」とも言われ、内定後に労働条件や入社意思のすり合わせを行う、企業と内定者による面談です。
求人票や面接を通して伝えてはいるものの、改めて労働条件通知書に基づいて、労働条件や各種制度等に関する説明を行い、内定者が内定承諾の可否を判断するための重要な面談となります。ただ、オファー面談の実施は義務付けられてはおらず、労働条件通知書の通知のみでオファー面談を行わない場合もあります。

2017年と少し古いアンケート調査となりますが、リクナビNEXTの記事によると内定後のオファー面談の実施状況は以下のような結果となっています。

・毎回オファー面談を行なっている:35%
・場合によってはオファー面談を行なっている:43%
・オファー面談は行わない:22 %
引用:転職活動を成功に導く条件面談のコツ

「場合によっては」を含めると8割近くの会社がオファー面談を行なっているものの、2割強の会社では行われていない実態のようです。

2.採用選考におけるオファー面談の位置付け

最終面接を経て内定が出るまでは、応募者はどうしても「選ばれる側」の立場が強くなってしまう傾向にあります。
もちろん、選考中であっても応募者も会社を選ぶ立場であることは変わりないですが、採用の可否判断を企業側が有していることは事実です。
内定を獲得し、晴れて入社の権利を得たときに、応募者側も選択肢を持つことになり、ある意味で個人と企業が対等な立場で話せるようになります。オファー面談は正にその機会なのです。
応募者としては、面接の中では気になっていても遠慮して確認出来ていなかった質問など、入社を決める上で必要な情報を率直に聞くことができます。また、企業側も応募者のどのようなところを評価し期待しているのか、ストレートに伝えることができる場でもあります。

3.オファー面談で心掛けていること

当社では最終面接の合格決定後、原則オファー面談を実施しています。
事前にヒアリングしていた希望条件と社内の規定に準じて条件を策定し、オファーレターを作成します。(当社では「内定通知書」と「労働条件通知書」を作成しています。)
オファー面談の日程が確定後、遅くとも前日までにはオファーレターを送付し、事前に内容を確認いただくお時間を設けています。その際、意識している点としては「あれ?」「これはどういう意味?」といった疑問を抱かせてしまうことを極力無くすことです。
分かりやすい表記や補足説明、確認がありそうな事項については事前にお伝えしておくなど工夫をしています。
そうすることで、オファー面談の場では枝葉のような細かな確認に時間をかけるのではなく、意思決定をする上で必要となる、重要な確認や質問に時間を使えるようになります。

オファー面談では、人事だけでなく採用部署の上長も必ず同席します。場合によっては現場で一緒に働くメンバーも入ります。時には社長にも出てきてもらいます。

前半は採用部署の方から、面接で評価させていただいた点や入社後に期待していることなど、丁寧にお伝えしてもらいます。
内定者がどのような点を評価されて内定に至ったのかを認識することにより、期待値に対してのギャップも防げ、理解も深まります。
続けて内定者からの業務に関する具体的な質問をお受けします。入社後の仕事の進め方や担当する領域等、疑問や不安が無くなるまで些細なことでも良いのでクリアにしておきたいことは徹底的に聞いていただくようにお願いしています。

後半は人事より改めてオファーレターを提示し、内容の確認をしていきます。ただ読み上げるのではなく、適宜ご質問もお受けしながら理解が深まるように進めていきます。条件面は意思決定をする上で重要であるので、ここも時間をかけて丁寧に対応します。

一通り説明と質疑応答を終えた上で、回答期限と前向きにご検討いただけるようお伝えし、オファー面談を終了します。
本来ならその場で承諾の有無を確認したいところではありますが、内定者に取っても非常に重要な決断となるため、即答は出来る限り求めずに期限までの回答をお願いしています。

極々当たり前のオファー面談の進め方かとは思いますが、人事のみで行うのではなく採用部署も巻き込んで想いを伝え、時間に余裕を持って丁寧に対応することを心掛けています。

テクニック的なところでは、人事業界では誰もがご存知の青田努さんが著書『採用に強い会社は何をしているか』(ダイヤモンド社)の中で提唱されている「クロージングに必要な5要素(C・L・O・S・E/納得・感動・タイミング・戦略的かけひき・安心)」の考え方を取り入れています。詳細は割愛しますが、気になる方は本を手に取ってみてください。とても勉強になります!

4.(良くも悪くも)大逆転があるのがオファー面談

企業側で時折やってしまうのが、希望する人材とようやく出会え、面接を経て合格基準を満たし、内定を出せたことにホッとひと安心してしまうことです。
選考プロセスでアトラクトができておらず、またオファー面談も人事任せで片手間にやってしまい、内定承諾をいただけずに他社に行かれてしまう。
選ぶ側だけの視点で進めてしまい、選ばれるためのことを怠ってしまった結果です。

「オファー面談で内定企業の優先順位が変わった」「入社企業がオファー面談で変わった」という事例が多くあります。
希望条件を提示できることで安心してしまい、辞退されることは無いだろうと高を括った結果、「必要と感じてもらえていない」といった理由で辞退されることはよくある話です。

実際、当社でもこのような事例がありました。
内定出しはしたものの、志望度としては当社が二番手の状況でした。
条件面は同水準ではあるものの、内定者の希望する業務内容としては他社の方がより近かったのです。
そこで、オファー面談に一緒に働くメンバーも数名同席してもらい、ざっくばらんに話をしてもらいました。
詳細な業務内容のことだけでなく、部署の雰囲気やメンバーの様子も知れて、「働くイメージが沸いた!一緒に働きたいという気持ちが強くなった!」という理由で、最終的には当社を選んでいただきました。
志望度の高かった他社のオファー面談では、お一人のみの対応でサラッと行われてしまい満足するものではなかったというのも、当社を選ぶ要因となったようです。

最後の最後で行われるオファー面談には、良くも悪くも大逆転の可能性があるのです。

5.まとめ

やってもやらなくても、法的には問題のないオファー面談。
選考プロセスでお互いに時間を割いて、内定までたどり着いた状況は同じでも、しっかりとしたオファー面談をやるかやらないかで、企業側のこれまでのプロセスが水の泡となってしまうことも。

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たかがオファー面談、されどオファー面談。
オファーレターだけ送りつけて、「はい、決めてください」はもう止めにしませんか?

それでは3番バッターのもなきさんにバトンをつなぎます!
明日以降の採用 Advent Calendar 2021もお楽しみに〜♪

*INAZUMAN*



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