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⑤マネジメントとコーチング

アクティブラーニング
○この仕事に携わって間もない頃、ロッカーにマスクを忘れたので私は上席者に了解を得て離席しようとしたところ、その上席者は私に着いてきました。情報漏洩等のトラブルを防ぐために、設けられた暗黙のルールだということは理解します。そこで「全員に同じ様にしていないと思うが、私を疑っているためですか?トイレ離席の時にも着いてくるの?」と私は意地悪く聞いたところ、トイレ離席時の場合はルールと聞いていないので、私の責任にはならないとの返答でした。
○入架電の際には、上席者が近くに立ってフォローするというケースがありますが、在る方から『電話対応はあまり経験がないから唯でさえ緊張するのに、最近は数人に囲まれて後ろに立たれ余計緊張する、ので何とかなりませんか?』と相談があり、それでは後ろに立たないで座って聞いているので何かあったら合図してくださいと伝えました。しばらくして入電があり打合せの通り対応したところ問題なく入電対応でき、本人も安心したようです。その後のミーティングで他のグループの方からルール通りに後ろに立つようにとの指摘がありました。私から事情を説明し緊張しないよう椅子に座わって対応したことを伝えましたが、それは見ておらず、状況を把握出来ていなかったようです。彼にとって席を立つことにプライオリティがあったようです。

 暗黙のルールのようで必須ではないはずですが、正に形式的な対応で本質は何かを考えず組織や個人の絶対化につながるのではないかと懸念します。

〇読書好きで好奇心旺盛な小学生が中学校受験のため、ある塾で試しに試験を受けたそうです。試験問題に『全身に酸素を運ぶのは?』とあったので、『ヘモグロビン』を書いたら、返ってきた答案用紙は『×』となっていました。不可思議に思い先生に聞いたところ、正解は「血液」で、小学生にはまだ教えていないから不正解と言われたそうです。

 これも答えは一つしかない正解主義のような概念が巻き起こした笑えない話です。
 上記の何れの事例も組織や固定観念に縛られ、そこから抜け出せないと、こうなる。自分で考え判断することをさせなくなるようなチーム環境であり、自分で考え判断しない人材育成につながるように思います。
 本質は何なのか、どこにあるのか、常に考え視野を広げていけば思考力、分析力、判断力は高まっていくはずです。

○ある国立大学付属小学校でのことです。こういった学校は本来新しい教育方法にチャレンジしたり試行する性格を有していると聞きます。テスト問題を先生が作成しないで、生徒に作らせたところ父兄からの疑問や議論を呼んだそうです。なお、その後該当した生徒の問題意識の向上につながるとのレポートがあったそうですが、即効的な学力アップを願う父兄には理解されず驚きしかなかったようです。
○先日、私のグループでもケーススタディ研修を行った際、どういったモデルケースが良いか全員に考えてもらいました。出来上がったモデルケース(課題)を拝見すると様々でした。良い問題が思いつかないからと未提出の方、自分が答えられそうな課題を考えた方、趣旨をはき違えて検討した方、今後増えそうな課題だと熟慮して作成した方など、まちまちでした。それぞれの方の本件に取り組む状況や熟練度がよく分かりました。

 この学習法はアクティブラーニング、つまり主体的に能動的(アクティブ)に自分のこととして学ぶことを目的としており、成果を上げている。

 ビジネスにおいても、アクティブラーニングは効果的な手法と言われています。ただし、環境が整っていなければ成立しません。チーム(組織)のあり方(環境)と効果的な学習や成果は、密接な関係があるようです。

ティーチングとコーチング
 日本のチームスポーツにおいて選手の判断力や想像力が諸外国の選手と比べて極端に弱いと以前より言われてきました。熱血監督・コーチが、指示を出し統率のとれたチーム運営が、これまでの日本のチームスポーツではよくありがちな形態でした。チームとしての戦術はあるもののピッチ上で選手個々の判断が常に求められてきたサッカーやラグビーでは、大きな課題でした。昨年、若くして亡くなったラグビーの平野誠二氏は、改革の旗手としてチームマネジメントの改革を主張していました。組織マネジメントについて専門家や学者と論じることをいとわず関連する書籍まで出版しています。逆に、一部経営者は、スポーツを通しての彼のマネジメント論に興味をもち参考にしていたようです。

白神敬太「コーチングとは?」

 マネジメントは、本来組織を維持成長させるために統率するわけですから指示命令する場面も当然あります。一方、どんな組織においても業務知識・技術や組織のルールは、教育研修(ティーチング、オリエンテーション)からスタートします。次の段階ではティーチングのみでは成長が持続しません。言い換えれば、正解が一つではない問題を解決する情報編集力の向上につながりません。教え魔、指示魔の上司の下で育成される部下が、急速に成長するものの、ある時期(タイミング)から急に成長度合いが緩くなることがあります。ティーチングの段階から次のステップへの切り替えが出来ない状況が原因となっているケースが多い。

 現在、上司と部下の関係が「支配」と「従属」の関係で成り立っている組織は、力は支配する側にあり、従属する側は自ずとただ黙って指示を待つだけになりがちです。指示待ちになると思考は停止し判断力を向上させる云々ではなくなります。軍隊のような組織は、命を懸けて戦う訳ですから命令に絶対服従を求めるのは理解できます。突発的な事故や惨事等の発生時の緊急事態での対応も同質のものがあります。スポーツやビジネス分野では、そういった上下関係から脱却すべき時期だと思われます。

 先日、テレビで高校野球強豪チームの取材番組を観ていたら、ほとんどのチームが練習は選手による自主運営でした。鬼監督のイメージがあるチームでもそうでした。正直、驚きました。以前のやり方では選手がついてこないと監督がコメントしているのが印象的でした。もはや高校野球の方が進んでいるのかもしれません。
 
 昨今、注目されているのがコーチングです。
 前述の通り上意下達の組織では、個々の知識や技術の向上をめざすコーチングはなかなか適合しません。ある程度、フラットな人間関係があり自分自身で考え目標設定できるようになるとコーチングが成立するようです。コーチングとは、その人が持っている潜在的な能力をコミュニケーションによって引き出す(発出する)ことができるようサポートすること。主体は能動的に問題意識を高めた個人であり、サポートする組織環境が存在すればコーチングは成立する。つまり、チーム全体でコーチングマインドのある組織は成長し、成果を上げることが可能となります。

 私は本業務に従事・配属されて愕然としたのは、マネジメント手法がひと昔前だという違和感です。本業務は事故による損害賠償対応であり、少しのミスもあってはならず緊張感をもってスムースな対応が求められる事情、当初から手探り状態でスタートしたため剛健的に指示命令するケースが多かった事情も理解できますが、それを引きずり過ぎていると思います。

 古くは、管理職はポリスマン型で部下のミスを見つけ指摘できることを第一義としていたが、アンガーマネジメント等の理論形成もありティーチャー型の管理職が求められるようになり、現在はコーチング型のマネジメントが声高に叫ばれるようになりました。ティーチャー型の特色は明快に答えを提示できることでしたが、多様性社会に変容し多岐にわたる方向性がある中で結論を見出すためには、自ら考え自身で結論を導きだすことが求められるようになりました。そのためサポートするコーチングこそチームマネジメントだと言われています。

 組織的に環境改善されたらコーチングは可能で、一層のレベルアップが望めるはずです。高校野球の事例でも分かるように現在は、監督・コーチ、先生、親からのコーチングより仲間、友人、選手間によるコーチングの方が効果的のようです。ネットで多くの情報収集ができ問題意識も高いからだと思います。しかし、どうしたら良いか解らず模索している状況が多いのも確かです。まさに、アクティブラーニングの推進が求められます。

セルフコーチング
 セルフコントロールが一時期ブームのように話題になりました。自分の感情・思考・行動を自分で制御し、抑制したり調整することですが、自分自身で自己学習して自身の潜在能力を開発する意識、セルフコーチングも大切で今後心がけたいところです。
 そのメリットは、どこにあるか?
〇自分自身を第三者の立場で客観視して考えることが植え付けられ、自分の特質を認識するようになる。
〇それにより自問自答することにより、考えを深堀することが可能となる。
〇自分なりにのモチベーションアップ方法が、身につく。
〇いつでもどこでも、自分の都合が良い時、あるいは一番タイミングが良い時に実施することができる。

組織マネジメントとセルフコーチング
 組織を統括するリーダーは、常に組織内部の問題点を抽出し、冷静に分析し対策を考え実行していく能力が求められます。抽出した課題の中から優先順位をつけ課題解決していく訳ですが、課題を把握しどの課題から取り組むか、この課題設定こそリーダーに求められる能力と言われています。実行する際には、チーム内の理解促進とメンバーが能動的に取り組む環境作り、成果(結果)を求めるリーダーシップが必要です。人を動かし組織を変えていく。組織全体だけでなく、個々人の目標設定も重要な要素となります。
 上記のようにリーダーが明確に提示してこそ、セルフコーチングが機能します。