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仕事と言えない用件

1月19日71日目。

出初式の梯子登りのない年末年始を過ごし、あっという間に慌ただしい日常が戻ってきた。相変わらず積雪は続く。町内の道路沿いの雪壁は例年より高く積み上げられて、山間部の道路幅は1台通るのもやっとの状況だ。

今年いちばんの暴風雪の日。街中であっても数メートル先が見えない。ここいらに住む人たちは慣れたもので、ハザードランプを点灯させながらゆっくりと車を走らせる。風速16m/sの風が吹き荒れ、舞い上がる雪と真横に降ってくる吹雪が文字通り真っ白な世界をつくる。

最果ての地で生きることの厳しさと、雪解けを迎えた解放感のコントラストはこの地で生きる人にしかわからない。緊張と緩和が大切って松本人志さんも言っていた。

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町内での様々な用件をこなしている。そのなかには基本的な仕事の依頼とは別の角度からくるものも多い。本来、除雪サービスは広く受けてはいないものの、高齢独居のおばあちゃんから「ベランダの雪をどうにかして欲しい」と連絡が来たらやってあげないと寝覚が悪い。いざ行って作業を終えて、「屋根の雪も心配」と相談を受けてしまえば、やってあげないと居心地が悪い。

対価の発生しない、仕事と言えないような用件をこなしているときは案外気持ちが良いもので、そんなときは自分もまだまだ甘いなあ、と思う。対価が発生しない用件は気楽なもので、手をつけさえすればある程度感謝されるからだ。

条件を提示され、求められているものやそれ以上のものを渡し、対価をいただく、繰り返し繰り返し日銭を稼いで、自分もその恩恵を享受しながら生きている。やりがいも、充実感も感じられることなのだけれど、そんなことばかりをしていると無償になにも生まない無駄なことをしたくなる。無駄クリエイティブの初期騒動はそんなものなのかもしれない。

今日の一枚。雪の夜の自販機が灯す唯一の彩りにいつも心踊る。

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