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鎌倉殿の13人 第25回 頼朝のために祇園精舎の鐘はゴーンとは鳴らない

ドラマ中の鈴
「鎌倉殿の13人」第25回の冒頭で、頼朝が夢の中で自分自身の遺体に鈴の音と読経が聞こえる。
またラストあたりでも、頼朝の死が近づいて鈴の音がする。
人が死ぬときに聞こえる鈴ってなんだろうか。

インドの祇園精舎の鐘
インドの祇園精舎ではで、僧が死ぬときに白銀と頗梨(はり)の鈴が鳴る。
白銀は金属のことで、頗梨は水晶(クリスタル又はガラス)のことだから、金属やクリスタルガラス製の、手持ちの鈴やクリスタルベルを想像してもらえればよい。
インドには梵鐘は存在していないので、残念ながらゴーンとはならない。

比企尼の居眠り中のお別れなようなシーンのバックに梵鐘のゴーン。稲毛重成の妻の供養のバックに梵鐘にゴーン。でも頼朝のバックにはチリーン。

平家物語の冒頭
「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり。沙羅雙樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。」だけど、平家が滅んだだけで盛者必衰の真理を示しているっておかしくないか。「平家滅亡」と「盛者必衰の理」では指ししめす範囲が違いがありすぎはしないだろうか。

保元物語・平治物語・平家物語が一つの物語
平家物語は、琵琶法師によって語られるときに、源平合戦を中心とする治承物語と、保元の乱のを基とする保元物語、平治の乱を基とする平治物語が一緒に語られることも多かった。
古い出来事順に保元物語・平治物語・平家物語・(承久記)と完成したのではなくて、承久の乱がおわって平和が訪れてから、同時多発的に完成し同時に語られ始めたことを理解する必要がある

盛者必衰が示す範囲
保元物語は天皇・摂関政治が絶頂にあり、なにをやってもOKだったので、宮廷政治だけではなく、武士の軍事力で意のままにしようとした。
そのことで平清盛や源義朝が台頭し摂関政治が没落する。
しかし台頭した武士の中では源義朝に敗れた父の源為義と幼い4人の弟は処刑は義朝に処刑されてしまう。
平治物語は、勝った源義朝や義平は平清盛と戦い敗れ殺され、頼朝は伊豆へ島流しなってしまう。
平家物語では、勝った平清盛一門が、源頼朝に敗れ滅亡してしまう。
その先は、頼朝一門が滅び、北条氏がそれに取って代わる。

鳴る祇園精舎の鐘
平家物語の世界観では、盛者必衰は平家だけのことではなく、源氏も該当するし、祇園精舎の鐘も源氏にも鳴るのである。


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