不知火黄泉彦「武器ではなく、楽器を」
ライフルの音が響いた。
タカタカタン。タカタカ、タカタカ、タカタカタン。
五連符と十三連符だからファイヴストロークとサーティーンストローク、いや、遅めのアレグロだからシングルストロークのほうがクリアに鳴らせる、と反射的に考えてしまった自分が自分で嫌になる。
見ると、迷彩服姿の人々が重なって倒れている。二〇人まではいないだろうか。微塵も動かない。ゴムのようだ。アスファルトに散った血痕のシルエットのほうが、よほど生命感がある。
「またかよ」つまらなさそうに弟が言うと、
「