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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.022 映画 ニコラス・レイ「大砂塵」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 ニコラス・レイの「大砂塵」 (1954/米)についてです。

ジャンルは西部劇ですが、普通の西部劇と違います。

男たちの戦いではなく、女の戦い。

女ガンマンではなく、酒場の女主人と町の地主の女との戦い。

女主人役の大女優のジョーン・クロフォードの強烈な意志の強さを秘めた顔と、

地主の女役のマーセデス・マッケンブリッジの徹底した悪役ぶりっが強烈過ぎる。

こんな西部劇観たことがない。

主人公は一応男で、ギターを背負ったジャニー・ギター!

小林旭ですか!と思いきや、渡鳥シリーズがこの映画の影響を受けたみたいです。

映画の中でちゃんと哀愁の名曲「ジャニー・ギター」が奏でられる。

異色な作品だが、他の登場人物も映像や脚本はしっかりと作られている。

女同士の戦い以外はちゃんとした西部劇。

ダイナマイトは炸裂するは、炎をあげて燃える建物、大追跡、人間関係と見どころがある。



物語は西部の各地に鉄道が建設始められた頃、

この谷間の街にも鉄道がやってくるということで街は何やら騒がしい。

ある賭博場がある酒場にふらりとギターを背負った男がやってくる。

彼を雇ったのは酒場の女主人。

そこへ地主の一団が保安官を連れてやってきて、

地主の女が兄を強盗に殺されたのは、

この酒場に出入りする一味の仕業だと決めつけて、

彼らを引き渡さないと共犯として女主人共々保安官に逮捕してもらうと。

一触即発の空気になる。

そこへ一味がやってきて、役者は勢揃い、

というオープニングからなかなかの展開。

ギター弾きと女主人は元恋人同士、一味の頭は女主人に好意を抱いている。

地主の女は女主人を憎んでいて、一味の頭に恋している。

四角関係で、想いと憎しみが複雑に交差して、どんどん大変なことに。



監督のニコラス・レイは「理由なき反抗」などを撮る人間模様を描くのが得意なベテラン。

四角関係のドロドロがどんどん物語を加速させる。

登場人物が全員キャラ立ちしていて、すごくわかりやすい。

濃淡がはっきりとしてるというか。



特に悪役の地主の女は稀に見る悪役だ。

鉄道が来たら真っ先に儲かる酒場の女主人。

好きな男もその女主人に向いて、憎い憎い!

地主の女はまあ魔女狩りの一番最初にあいつを殺せ!っと叫ぶタイプ。

一味が追い込まれ銀行強盗をしたときに、偶然その場にいた女主人を共犯にして

一味の若い少年をかくまったら、それ見た事かと酒場に火をつけ縛り首にしようとする。

こんな悪者なかなかいないのでは。

この悪役を見るだけでもこの映画は価値があると思います。

最後に女主人と地主の女の対決が文字通り行われる。

男たちはただ傍観するのみ。

いや〜強烈でした。

ただ今作はヌーベルバーグのゴダールたちが持ち上げすぎて名作になってしまったが

芸術的な名作というより、女性活躍の意欲作と言った方が良いのでは。

今日はここまで。


「金銀を欲しがる者、土地や家畜が欲しい者、
酒と女を欲しがる者。。。
だが本当に欲しいのはタバコとコーヒーさ」
/「大砂塵」より











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