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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.049 映画 ダグラス・サーク「悲しみは空の彼方に」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 ダグラス・サークの「悲しみは空の彼方に」(1959/米)についてです。

黒人差別とアメリカのショービジネスの世界を描く女性たちの友情ドラマ。

1934年に「模倣の人生」という映画の再映画化。

ダグラス・サークは他の作品は未見だが、ドイツ出身でメロドラマを多く作っている。

そんな彼のハリウッド最後の作品。

ベテラン監督らしく、安定感があり、職人技が光り、抜群の映像とアイディアに溢れている。

映像的にもロングやクローズアップ、移動撮影などちゃんとコントロールができているところが実は凄い。

そして内容も、同居する家政婦の黒人女性と女優の白人女性との対比がものすごくまさに光と影のようなコントラストが凄い。

映画の邦題は「悲しみは空の彼方に」と少しお洒落な雰囲気だが

原題が「Imitation of Life」(模倣の人生)、結構直球だ。

光り輝くスターの白人女性、家政婦として働く黒人女性。

どちらの人生を言っているのかは映画を見ればわかります。



物語は、人の多い海辺で白人で女優の卵であるシングルマザーは娘とはぐれてしまった。

少し離れたところでお黒人の女性の娘と自分の娘が一緒に遊んでいるところを見つけ安心する。

黒人女性の娘は白人で聞くと父親似で実の娘だとわかる。

黒人女性はシングルマザーで住む場所もなく困っていることを聞き、

同情し、自分も裕福ではないが娘を預かってもらい家政婦として一緒に同居することになる。

ちょうど海辺で娘たちが遊ぶ写真を撮ったカメラマンが尋ねにくる。

彼の紹介でブロードウェイのプロデューサーを紹介されたが

役を餌に言い寄られて、逃げて帰ってきた。

それでも黒人女性と白人女性とその娘たち2人、遊びに来るカメラマンの日々は貧しくても楽しい日々だった。

白人女性は少しづつモデルや小さな役を得て、それを黒人女性が家のことをサポートする。

2人の友情は確かなものに。

カメラマンもどんどん仕事が増え、ある日女優の卵の白人女性に求婚するが

ちょうどその頃新進気鋭の劇作家に見出され女優として活躍し始め、カメラマンの申し出を断った。

白人女優はどんどん成功し、豪華な邸宅に住むようになる。黒人女性も一緒に。

娘たちも成長したが、黒人女性の娘は見た目は白人だが黒人の血が流れているという理由で恋人に捨てられてしまった。

それが原因で黒人女性と娘は喧嘩別れになり、黒人女性は病気になり、娘はナイトクラブで働くように。

女優として成功した白人女性は「結局むなしい、何かが足りない」と無常感に苛まれる。

黒人女性が息を引き取る前に豪華な葬式をしてほしいと頼み、葬儀の日に娘が駆けつけ母の柩の前で泣きくづれる。



結構壮大なメロドラマ。

ついメロドラマなんてと思いきやここまでしっかりと社会問題や人生を描くとは。

いろいろと考えさせられました。

黒人女性が「人生で大切な日は結婚式と最後の日だ」と言う。

女優として成功した女性より、白人との間に娘をもうけ、家政婦として女優を支え、

最後豪華な葬式で亡くなった彼女の人生こそが、偽りでない人生だったかもしれません。



印象的というか好きなシーンは、ファーストシーンで海辺で映画の主役である2人の親子と会うカメラマンが女優の卵の白人女性が子供を探しているところや悪戯している子供たちの写真を撮るところです。

今の時代個人情報や肖像権で、なかなか人のスナップは撮れませんが

おおらかな時代で良いですね。

またそれを後日写真を渡しにいくとは!

自分と同じ職業が映画の中に出てくるとワクワクしてしまいます。

今日はここまで。



「自分を恥じるのは罪です。自分を偽るのはもっと悪い」
/「悲しみは空の彼方に」より

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