2023年12月16日(土)。長野県は南信州、飯島町文化館大ホールに於いて、等身大人形&大正琴の奇跡のコラボレーション「飯島町特別公演 百鬼ゆめひな×心馬・共鏡(ともかがみ)」が開催された。
公演のタイトルとなっている楽曲「共鏡」は、気鋭の若手大正琴奏者として全国を駆け回る心馬氏が、2022年駒ヶ根市のとあるイベントで、百鬼ゆめひな・飯田美千香氏との共演の際に作曲したもの。
この日は邦楽ユニット・羽化連(うかれ)を率いた豪華な「共鏡」の生演奏と演舞に続いて、ミュージックビデオの上映が行われた。
ミュージックビデオを手がけた監督・渡邊世紀氏は、百鬼ゆめひなの師匠である岡本芳一氏の遺作となったドキュメンタリー映画「VEIN-静脈-」も手がけている。ミュージックビデオの上映後、会場に足を運んだ渡邊監督を迎え、羽化連の2人がトークショーを進行。制作における3人の感想や撮影秘話などが、和やかな雰囲気の中で語られた。
ミュージックビデオ「共鏡」の撮影は、須坂市の豪商の館・田中本家博物館にて行われ、現代では珍しくなってきたフィルムでの撮影は、映像の中の時と空間に奥行きを与え、独自の世界観に、より一層の妖しさを与えている。
今回、渡邊監督にとって、共鏡の舞台を生演奏で聴くのは初めての機会であり、さらに、4歳から大正琴を始めた心馬氏にとっても、大正琴でのオリジナルの作曲は初めてのこと。南信州の大自然からインスピレーションを受けて創られた幻想的でドラマチックな大正琴の音色に合わせ、情熱的に舞うヒトカタの可憐な「共鏡」の世界に、会場全体が魅了された。
このほか、百鬼ゆめひなと羽化連の共演する「化身」や、心馬氏の豪華で華やかなソロ「天城越え」、羽化連による「こきりこ節」など、心に染み渡る演奏の数々が披露され、会場に訪れた人たちにとって、大正琴×人形×フィルム映像が生み出す、伊那谷の新たな奥ゆかしい可能性を垣間見た1日となった。
取材・文:北林 南
写真・動画:中島拓也
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