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『君たちはどう生きるか』と手触り。

連休明けに出社したら、同僚から「稲田さん、『君たちはどう生きるか』どうでしたか?ぼくはまだ観てないんですけど、難しいとか分からなかったという感想ツイートもよく見かけるんですよね。稲田さんはどうでした?」と聞かれました。きっとこういう会話は日本中で交わされているんだろうなあ…と思いました。

難しい/分からないという気分もわかるけれど、それだけで判断してしまうのはもったいないと思うんですよね。 以前、谷川俊太郎さんが鶴見俊輔の言葉を紹介していたのが印象的で。

「人間っていうのは、どうしても人生にいろんな意味を見つけたがる、意味を追求したがる。だけど、人生には意味だけがあるんじゃなくて、手ざわりというものがあるんだ」
「ノンセンスは存在の手触りをわれわれに教える」

 『かっぱ、かっぱらったか? ことばをあるく9000日

"手触り" はその人だけのものです。あなただけが得たあなただけの感触。それはとても豊かなことだし、言葉や意味の何十倍もの "何か" をあなたに与えてくれます。放っておけばあなたの中で熟成したりもします。本人がもう忘れていた10年後に「あ」と何かを発見することも。古い記憶のように。

『君たちはどう生きるか』もそういう映画でもあり得ると思います。だから映画館に足を運ばれることをおすすめします。まず触ってみる。今ならそれができるんですから。

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