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息子に関する10年前の日記と10年後の息子
10年前の日記です。
息子に関する10年前の日記
そういえば今朝、六歳の息子が楽しみにとっておいた食パンの切れ端に、彼がトイレに行っている間に味噌汁をこぼして台無しにしてしまったのだった(二歳の娘を諌めようとしてぼくの手が当たった)。
彼は優しい人間なので、最初それを知ったときに「えー!」と笑っていたけれど、本当に悲しかったらしく、笑い顔がどんどんシワシワになって、ついには我慢できず「エーン!」と泣き出した。
ぼくは彼が笑い顔で堪えていたほんの数秒を見ながら、「ああ、こいつはいい少年だなあ」と思った。人間性がどのように育つのか、どうしてそれぞれが違う人間に育つのかはさっぱり分からないけれど、とにかく彼はこういう人間らしく、それはそれでこれから苦労もするだろうけれど、とにかくいい奴じゃないかと思った。何となしに北原白秋の『薔薇二曲』を思い出した。
一
薔薇ノ木ニ
薔薇ノ花咲ク。
ナニゴトノ不思議ナケレド。
二
薔薇ノ花。
ナニゴトノ不思議ナケレド。
照リ極マレバ木ヨリコボルル。
光リコボルル。
朝の食パンに味噌汁をこぼした話から、えらく飛ぶけれども。
ぼくたちは命の不思議さと、生きることの不思議さを毎日から学ぶ。それがたとえ慌ただしい食卓の上からでも。
明日はお詫びに約束したフレンチトーストを忘れずに作らねばならない。彼らはフレンチトーストだと半斤ペロリと食べるのだ。
10年後の息子
六歳だった彼は高校一年生になりました。
先日、珍しく長電話して楽しそうに笑い声をあげている高一息子。中学時代の友人5人と1年ぶりにLINE電話しているらしい。 電話が終わり、興奮冷めやらぬ趣で居間にきた息子が、「見て。楽しすぎて体が震えてる」と。見ると本当に手も足も小刻みに震えている。楽しすぎてブルブル震える人を初めて見ました。
コタツに入りながら、「中学の友達と話すの、何でこんなに楽しいんだろう…」と不思議そうに呟くので、「そういうのを『仲間』っていうんだよ」と返すと、一瞬目を見開いて、「ああ!」とすごく納得してました。 仲間って作ろうと思って作れるものじゃないから、大切なんですよね。一生に何回もない。
noteにもまとめていますので、よかったらご覧ください。
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