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おやまあそび立田基地\木村邸/

はじめまして。シェアハウス+コワーキング「木村邸」は、三重県最北端・いなべ市藤原町立田地区にある、おやまあそび・リサーチ拠点です。

令和のおやまあそび―立田地区の場合

ヤマは、山に生きる人びとの生活を支えてきた。戦後直後まで、炭焼きは立田村の主たる換金生業であり、またそれを補う、養蚕、水稲・畑作、狩猟・漁労、食用野生植物の採集などを組み合わせた生活文化が育まれてきた。

さて高度経済成長期以降、産業構造の転換によって住民の雇用確保と所得増大がもたらされた結果、山稼ぎは姿を消した。燃料革命および拡大造林により薪炭二次林の減少と放棄が進んだ。

山には、かつて無数に存在した炭焼き窯の痕跡が残る

時は進み令和の現在、「伝統的な」おやまあそびは壊滅状態にある。近年の台風に伴う豪雨の影響により林道が崩壊し、また長年の林業不振により組合は解散した。かつて、炭焼きや季節の採集行事が行われたヤマに分け入る人はいなくなった。その記憶を生活の中で維持する最後の世代が後期高齢者になり、体力上の問題から辞めざるを得なくなった。さらには、シカやサル、イノシシなどによる獣害の深刻化。今や、ウドやタラノメなどの山菜は庭で栽培されるのが一般的である。

民家庭園で栽培されるタラノキ

しかし、山に入る人が絶えたわけではない。舗装路を抜け出して、「山の土を踏みたい」と毎週のように昔の炭焼き道に入る人たちがいる。「あそべる森や耕す畑がほしい」と村の空き家に引っ越してくる人たちがいる。彼らはヤマもイエも、ハタケすら持たない、20代から40代の都市出身者である。

村の新たな住民たちは、だれも入らなくなった荒れた山をうろつき、新鮮な発見を重ねていく。趣味だからこそ、全力で楽しむ。彼らはいわば、令和版「山に生きる人びと」なのかもしれない。

なぜシェアハウスか?

なぜシェアハウスか、それはずばり必要に駆られて、である。広い田舎の家を維持・管理するには、人手が必要である。いくら空き家があっても、よそものの独身者、とりわけ20代の女性は借りにくいのが現実である。そのため、「みんなで助け合って暮らす」ことを前提とした新しいイエが、集落には必要なのだ。

立田基地が目指すもの

土地の自然・歴史・文化を尊重しながら、過去に縛られず、大人も子供も、森で遊びながら学ぶ、新しい山村の未来を作っていくための学びと交流の場。山に関わるさまざまな趣味や専門性、経験を持つ人たちの住み開きの実験場。

図書室・パントリー併設の客間は、小規模なワークショップや会議に利用できます

シェアメイト+ご近所

木村邸に関わる人びとは、多様なおやまあそびの趣味を持っている。
・マウンテンバイク
・釣り
・野草、山菜料理
・ヤマイモ堀り
・山歩き
・自然保育
・畑
etc.
「興味ある!」から「自称ベテラン」まで、経験のレベルも様々である。

共通しているのは、「自転車でいけるような近所で、朝2時間くらい、出勤前にできるような季節のあそびを、日常的に(週2-3回)できたらいいよね。」というスタイル。いわば、朝の散歩+αである。働くおとなが無理なく続けられるあそび方、これがまず第一。

そして、「自分とは違う趣味をもつ友達と出会うことで、いろんな遊びをつまみ食いできるのは美味しいよね」というちょっとした欲。

あるいは、「とにかく時間があれば山にイキタイ…!」というひたむきさ。

週末は員弁川の源流を求め、山へ

建物「木村邸」

いなべ市藤原町篠立にある、築100年あまりの古民家である。4年前まで、昭和3年生まれのおばあさんがひとりで住まわれていた。増築を繰り返しており、登記簿には約183平米とある。つまり広くて古いイエである。

集落の隣には鉱山跡がある。1921年(大正10年)から1969年(昭和44年)まで、炭酸カルシウムを生産する工場があったのだ。もともと山間にあって田の少ない村、男子は老いも若きも大半が土方や工員として働いた。会社は、大勢に対して料理を出したり寝泊りをしたりできるような「料亭」を持っていた。その建物を譲り受けたのが木村家であった。

篠立の集落は緩やかな斜面地にある。そのため集落中心部であっても、目線がずれるため、以外とプライバシーが保たれている感がある。このあたりでは、本家のことを「オモヤ」、分家のことを「シンヤ」という。この家は集落の一番上にある木村家のシンヤである。シンヤにとってオモヤは、何かあったときに相談すべき存在だという。

集落で暮らしていくにあたって重要なクミも、そのシンヤのオモヤがどこかによって決まる。つまりみな親戚なのである。篠立では、近年集落内の空き家によそものが入ることが増えたが、その場合も同様にクミに入ることが望ましいとされる。

クミに入るということは、代々続いてきた集落のイエイエの地縁の仲間に入れてもらうということ。ここで生きていくことは、シェアメイトたちのみならず、近所のみなさんとも共に生きていくことを意味する。

進捗

2023年4月22日、ご近所の斉藤家より紹介いただき、現在の持ち主である長男さん夫婦と顔合わせ。5月20日より、斉藤家の全面協力のもと、片付けを始める。5月31日、入居。6月4日、同じクミの10件ほどに挨拶回りをする。6月10日、モモパーティ。6月11日、ついに粗大ごみ出し完了。掃除へシフト。6月18日-19日、ご近所の協力のもと、和室床下補強工事。7月14日、スパイスから作るカレー会。このころから、部屋を快適な空間に整える余裕が出てくる。押入デスク、図書室の作成。7月31日、noteはじめる。

和室床下補強工事を実施

noteについて

今後は、シェアメイトや木村邸に関わってくれるご近所さんたちが、

・最近はまったおやまあそび
・季節の自然のこと
・木村邸の暮らし
・立田のこと

などについて、ゆるーく更新していく予定です。
そして、木村邸は現在、シェアメイトを募集しています。
いなべ市でおやまあそび拠点をお探しの方で、木村邸に関わってみたいという方は、どうぞお気軽にご連絡を!
詳細は別投稿を参照ください。

ご興味をお持ち頂ければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

管理人 拝


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