地上種、惑星種、天使たち。ミナトが住んでいる不思議な世界の日々を短編、掌編、詩で。(主人公ミナトは名前と自称「ぼく」以外、性別も年齢も不明です。読み手が考える人数分のミナトが存在…
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2020年4月の記事一覧
星の舞う夜に/ミナトシリーズ
7月7日、星舞いの夜。ミナトはここ、明かり採り《あかりとり》名所【銀の谷】に来た。
目的は明かり採りでも観光でもない。明かり採りの名人で幼なじみの七夕(しちゆう)が、すごいものを見せてやるから来いと言うので、来た。理由を聞いても内緒の一点張りで、行かないといえばしょげる。けっきょく、ミナトは七夕に負けて誘い出されたようなものだった。
「まあいいけどね」
釣り竿を持って明かり採りに来た人たちの間
願事宅配便/ミナトシリーズ
‘想い宅配便 ~その願い・叶えます~ ’
玄関に大きく貼り出されたポスターには、天使の翼をモチーフにした文字でそう書かれていた。並んで受付締切日、営業時間、そして。
‘場所:水晶森の南風のとなり エンジェル館’
ポスターに目をやるたび、ミナトは苦笑する。ミナトはそこでバイトしていた。
「この名前は詐欺だよなあ」
『想い宅配便』は天使が行っている事業だから、単純に‘エン