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PERFECT DAYS「SNS時代へのカウンター」

ただの個人の映画感想文で、制作にまつわる情報など一切チェックせずに書いてるので、その点ご了承ください。

【SNS時代へのカウンター】


自分なりのPERFECT DAYSを大切にしていこうと、あの映画を観たら思うよね。

ただ生産性を向上させるようなルーティンワークとは違い、見方によっては無意味なもの。でもその人にしかわからない心地よい時間の流れがあって、それを特に誰と共有するわけでもなく日々が過ぎていく。

•人からみたら無意味だけど、本人にとってはかけがえのない時間。
•それを共有、シェアするわけではない。

この2点はSNS時代を生きる人達みんなに投げかけられてるような気がした。
もはや言語化もしない平山は、彼にとっての幸せを自分の中に留めてる。

でも生活の中で避ける事が出来ない、フィジカル的に接点のある人達との中では、時に振り回されたり、寄り添ってみたり、はたまた自分の中に留めておいた心地よいモノたちに反応してくれる人や共感者が生まれることもある。(自分からシェアすることはないとこがまた良いよね。これ良いよーとか言わないもんね笑)

平山は仕事や家族、いきつけの店、風呂。彼は繰り返す日常の中で、いくつもの他人との接点を持っている。意外と1人じゃない。
ネットの中で誰かとやりとりする訳ではなく、リアルに外に出て人間模様を感じてる。
僕たちが繰り返す日常の中でも、沢山の人との接点があるはず。平山が日々、そんな人間模様の一幕や、この星における光と影が生み出すマジックに心惹かれるように、僕らも目の前にいる人との一期一会を興味深いもの、大切なものとして受け取る事もできるかもしれないね。
金銭では測れない豊かさを間違いなく沢山の人が感じたのでは無いだろうか。

所持するカセットテープが高額で取引されてても手渡さないのは、彼が金銭以上の価値を彼の中だけに感じているのも勿論だけど、自分の大切なものに金銭的な価値がついたり、経済的指標で評価されることに興味がないとも受け取れた。
自分だけが心地よいと思うものや、それに触れたり感じる時間。その価値を決めるのは決してお金じゃ買えないのよね。やはり豊かさとはと深く問われたような気がする。
改めて素晴らしい映画だった。

これを含めて、どう生きるかを改めて考えさせられる。
自分の大切にしている物が、金銭的価値の上(人に評価される前提)で成り立ってるか否かと考えてみるのも一つ。
身の回りにいる人や出会う人達との時間や縁を大切にしようと思ってみたり、でも沢山の彩りで満たされている日々の生活が第一で、あくまで無理のない程度に(多少はイレギュラーに振り回されながらも)っていう距離感というか温度感みたいなものも良いなと思う。
余計なものを削ぎ落として、日常をパターン化、ルーティン化してみる事って僕は大好きだし、とても心地よいと感じるんだけど、その土台が出来てるからこそ繰り返される日常の小さな変化に気づくというのもポイントだよね。
考えてるだけでワクワクしてきた。


【自分にとってのPERFECT DAYS】


ルーティンを見直したり、自分の大切なものを書き出したり、なぜ?それが必要なのかを考えるのは僕にとって気持ちいいもの。
音楽を作る時間も、その音楽の意味を熟考するのも、こうして文章としてアウトプットするのも気持ちが良い。1時間が5分に感じるというか、時間感覚が完全に湾曲してしまうほどに没入できてしまう。
だから僕は豊かさの現段階での明確な指標は持っている。

だがこれを経済に繋げなければいけないなら、きっと楽しみの純度は下がってしまう。
評価されることから逆算して行動しないことが、自分だけの心地よさを守る一つの視点かもしれない。
経済はまた別の部分で切り離して考えれば良い。必要ならトイレ掃除するなどして働けば良いし、もしかすればその中でも自分なりの楽しさを見つけられるかもしれない。

楽しみを外的な価値基準で評価しないというのがここでの一つの結論としよう。


【完璧はないってこと】


そんな日々満たされているマンの平山も、親の話しのあとに泣き出すし、色々と抱えているものはありそう。

ラストの表情だけのロングカットも、彼が笑っているのか泣いているのか、それはわからない。演技が素晴らしかったのは勿論だけど、これだけ豊かさの指標を自分なりに持っている平山でも完全に満たされる事はないのかもしれない。何て複雑な表情だったのだろう。
でもそこが良いのだろうね。

ただ自分の心地よさをキープし毎日同じルーティンで動くのはある意味では、自分なりの生産性という価値に基づいて稼動するロボット的にも見える。
でも簡単に嬉しいとか、悲しいとかでは片付けられない複雑性、言い換えるなら「人間くささ」みたいなものを僕はラストカットから感じた。

満たされてても葛藤は生まれることってあるし、生きている限り自問自答は終わらない。他人との関係性の中でそれはより顕著に現れるし、人間って簡単じゃないよね。
綺麗事だけでは片付けられない事って沢山あるし、でもこの複雑性こそ人間の面白さかもしれない。
そう思うと、完璧なんて絶対にないと思う。

完璧なんてない。
だから自分なりの暫定的なPERFECT DAYSを紡いでいくしかないよね。

不完全だけどそれが人間。
でも自分なりの幸せや豊かさの価値観を大切にしながら、出会う人達との時間もできるだけ噛み締めながら日々を楽しんでいこうと思う。

ありがとうPERFECT DAYS!
って感じ。今。

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