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【短歌】東京の思い出 1

※この記事は2013年5月にアメブロにて書きましたが、noteに一本化するためにこちらに持ってきました。

初めての出社これから書くソース機械語になる夢から醒めた

このボタン押ささんないって北海道生まれの新人SEの声

社会人始めてみれば目を合わせ話せるあなた以外大体

新しい土地で物語のしっぽ見かけましたが続くでしょうか

休憩をしてる背中を見てしまいコーヒー買ってデスクに戻る

札幌の開花はさつき 東京の弥生すらまだ寒いってのに

好きなんだ笑ってしまうこの恋が叶わないってすぐにわかって

風花の頃は大学生だった 軟骨のピアスホールよ埋まるな

飲み会で隣になったばっかりに知るのが怖いことが増えゆく

こっちではあっちではなんてふるさとをどっちで言うのかねえ教えてよ

憧れが矯正されても楽しくて苦くてふわふわビールはまずい

泥というよりも水辺の砂のごと眠る 泣きたい気持ち追い越し

「押したげる」強制終了ためらった私の隣に来てくれた朝

見た目より気さくなリーダー 思い出が潜むピアスに「いいと思います」

仕事用眼鏡を外し忘れがち 好きのすみかをレンズにしても

よくお菓子交換をする兄さんの前の元気な私が本物

同郷でやさしい人が昼ごはんひとりで食べてる私もひとり

仕事している顔が好き 夕方に同期と笑う後ろ姿よ

まず先に他の人より厳しいと教える人はたいてい優しい

手を振った気がして背中が冷たくてあなたが定時にあがるとわかる

公園で子どもと日焼けた手で閉じたあなたのパソコン私そのもの

パソコンの近くじゃ溶けると笑われたキットカットはそれでも割れた

新人の成長を待つ暇さえもないのに交わす他愛ないこと

優しさは優れた人のなせるわざ だから私は結構イジワル

暗闇で踏めば色づく階段を集めどこまで行けるんだろう

「街コンに一緒に行こう、嫁さんを騙して」とあなた父親役で

かなうかなわないじゃないな感性が嬉し泣きする 後悔しない

ふるさとを離れて会える本当の私にさくら上野のパンダ

ポンコツの貸与PC再起動するたびどうか笑ってほしい

忙しいからダメですと笑いつつ助けてくれる人に囲まれ

(最終稿 2013年5月)

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