【短歌】東京の思い出 4
※ この記事は2017年にアメブロにて書きましたが、noteに一本化するためにこちらに持ってきました。
3割の片言少しの間だけ近くにいたって覚えてる耳
後ろから英語を訳す何度でも君の背中を追いかけるよう
照れている自分が邪魔なランチ後はオフィスグリコにBest regards
肩並べ歩く笑顔のぎこちなさ会議室から見えた"20:00"
東京で雪降る週の胸騒ぎ To Doリストは云わば長旅
網棚に置き去りにした寂しさを月から金まで迎えに行った
ぼんやりと視界の端に映る顔 茫洋とした会話の中に
無自覚にノイズも言葉に代えていた私が紙(きみ)に晒されている
「本日は家庭の都合で休みます」受信リストに届く春雷
お土産が毎回不評な君だけどクリスマスには何を贈るの
曖昧なミドルノートは出発の朝の小さな決意や祈り
つま先で傘ぶつかり合うデスク下 キーボードから雨音がする
笑われるつもりじゃなかった げそ天とぶっかけうどん食べて忘れた
退社時の彼の私情がこめかみに当たった気がして眼鏡をはずす
余裕なくただ会いたいと言ってくれ 東京タワーがここから見えるよ
薄情な雨が通った跡を踏む 残業をした今日は昨日に
借り物の言葉を何度も並べてはふたり目を見て首をかしげる
しんとしたカフェテリアにて涙する ひざかけみたいな言葉の後で
空いているドアから乗り込む終電車 目配せひとつでドラマみたいだ
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