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4時間歩いた

こんにちは。一人称です。

今日は4時間歩きました。張り切って朝ごはんを作って、2時間歩いて、面接を受けて、2時間歩いて帰ってきて、YouTubeを見て、授業を受けて、ご飯を作って、現在。

私は練馬区に住んでいるのですが、本日の面接がまさかの対面ということで、新宿まで片道2時間歩いて行きました。目的としては電車に乗ることによる感染の防止、運動不足の解消、そして町並みからのインスピレーションの獲得です。私は普段から結構なんでもない町並みを歩くことが好きで、建築を愛でたり、看板のフォントに感動したり、道の形に愛を感じたりします。

ということで今日は4時間歩いたなかで見つけたものをたくさん紹介していこうと思います。長くなります。画像も多いです。

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ここは豊玉中2丁目11。錆だらけの看板自体もよいですが、歴史を感じられる「ここは」のフォントが特に良いですね。大塚犬猫病院は今でもあるようですが、この古さだと「いぬねこ」病院ではなく「ケンビョウ」病院と読みそう。

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江古田の森公園です。森です。

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「かごめ」などのわらべうたの石がありました。これ同じものが地元の公園にもあったことを思い出して、自治体が作っているというわけではないんだなということがわかりました。「かあごめ かあごめ かあごのなかのとりは」なんですね。cargoでも間違ってなさそう。

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別の公園です。遊具は彫刻作品、あるいはインスタレーション作品としても見ることができると思います。魚の目が抜かれているのがグロテスクです。サイケデリックな色遣いは荒川修作っぽさがありますね(というか荒川修作が遊具っぽいのかもですが)。数字がちゃんと揃っていることから民度の高さがわかります。

続いて、写真はないのですが、一軒家の庭で庭仕事をしている母親と女の子がいました。私が通りかかると女の子が突然「スケソウダ↑ラ♪」って言い出して、「(あ〜〜〜わかるよ〜〜〜)」となりました。スケソウダラ(スケトウダラとも言いますが)の名前の響きってかなり良いし、かまぼこやちくわやはんぺんなどの練り物がそんな面白い名前の魚から出来ていると知ったときは私も結構嬉しかったです。お母さんはこの「スケソウダ↑ラ♪」の面白さをわかってくれたのでしょうか…。

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今回の往路のルートは「距離が短くて川や公園のある道」を自分で選択して歩いているのですが、川(涸れてるけど)を渡ったときに案内板がありました。江戸時代からある道ということで、私が小中学生時代に養った「昔の街道のルートを探す」能力が自然と活かされていることを感じます。東京郊外の道は住宅街の発達により南北東西に直線の道が多いのですが、その碁盤の目から外れた「ナナメのライン」はだいたい昔からある道であることが多いです。神社や地蔵などがあれば重要な道として使われていた可能性が高いです。今回は北西から南東に進むルートなので、自然と旧街道筋を通っていたようですね。みなさんも家の周りの古地図などを見てみるのもよいのではないでしょうか(今昔マップなどで)。

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これは良い路肩ガーデニングです。路肩ガーデニングの是非については議論しません。

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住宅街に突然現れる「質」。最初「贄」(いけにえの贄)に見えて「にえ!?」と驚きました。質屋って結構面白いシステムだとは思うんですけど、現代ではどうなんですかね。メルカリなどがその代替品なのでしょうか。

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川です。妙正寺川という名前です。真ん中に鴨がいます。しばらく川に沿って進みます。

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東京都中野区立江古田公園です。とぼけたようなフォントが良いですね。「東」の縦画がはねているところ、「都」のおおざとがカクカクなところ、「江古田」の「凸凹凸」なところなどがよいです。ちなみに江古田という地名は練馬区にもあるのですが、武蔵大学や武蔵野音大、江古田駅がある練馬区の江古田は「えこだ」と読み、新江古田駅がある中野区の江古田は「えごた」と読みます。エコシステムを大切にするか、エゴイスティックな生活を大切にするか、つまり利他主義と利己主義が区境を跨いで揺らいでいます。嘘です。

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哲学堂公園です。哲学堂公園の写真はこれしかないです。左下の黒い紙が「重篤化すれば死に至る可能性がある」「ご賢察いただき、のちのち大きな後悔とならないよう」など、かなり良いです。

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妙正寺川の遊水池の運動場と、日照権に配慮したマンションです。私の地元には比較的大きな川があり、よく川沿いを自転車で走ってはこのような遊水池を眺めていたのですが、練馬区に引っ越してからは川がないので懐かしい気持ちになりました。ドラえもんの舞台は練馬区(月見台すすきヶ原)なのですが、大きな川がないのでそこだけ多摩川がある登戸が舞台になっており、このことを普段の生活で実感しています。妙正寺川はそんなに広くもなく、有名なわけでもない(と思う)のですが、こうして遊水池や運動場、公園が整備されているのを見ると中野区にとっては重要な憩いの地なんだろうなということが推察…いや、賢察できます。

日照権に配慮したマンションは個人的にめちゃくちゃ好きです。等間隔に部屋や窓が並ぶ無機質な建物に現れる有機的な斜めのライン。人のエゴや思いが形として表現されているこの姿は、山の稜線に匹敵する美しさがあると思っています。

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鷺です。水があまり綺麗ではないですね。

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遠くに目的地の新宿が見えてきました。練馬の家からも新宿のビル群は見えるのですが、比べるとずいぶん大きく見えます。

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今日歩いていてたくさん見つけた消火器なのですが、日本語・中国語・英語の順番なのが意外だなと思っていました。あと中国語の「灭」という字、物理的に火を消している感じが表されてておもしろいなと思います(消ではなく滅の簡体字らしい)。もしくは集合みたいですね(ド・モルガンの法則とかのあれ)。

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銭湯の看板です。「遠赤外線ガスサウナ…」と口に出して読みたくなりますね。「風」のはねの部分が浮足立っていてかわいいです。「電」の異字体はあんまりかわいくないです。

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またドラえもんの話ですが、歌の「ぼくドラえもん」(ホンワカパッパのやつ)に「出前迅速落書無用」という歌詞がありますよね。私は「出前迅速」という四字熟語に小さいころ馴染みがなく、イマイチ意味がよくわかってなかったのですが、最近は看板でよく見つける気がします。「迅速」、いいですね。「随時受付」の「随時」も昔良くわかってなかった記憶があります。みなさんが小さいころ奇妙奇天烈摩訶不思議だった看板はなんですか?

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カオスで良いですね。また銭湯です。

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なんとも言えない感じの文字です。ラベンダーの香りがする生姜漢方の湯、それはもはや薬膳スープなのでは。

この中井〜落合〜東中野のあたりはかなりたくさん銭湯があり、人々の暮らしが垣間見えます。広い道路やタワーマンションの影に細い路地や小さなアパートがちぐはぐに存在しているのがこのあたりの面白いところですね。

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さっきのところから徒歩2分の山手通りです。東京メトロ(東西線の落合駅)が主張しています。

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人生の岐路。

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神田川につきました。バイク乗入禁止がかわいいです。

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東中野をすぎるともう新宿は目の前。

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青梅街道が神田川を渡る橋が淀橋という名前でした。淀橋といえばヨドバシカメラですが、昔はこのあたりは淀橋区と呼ばれていて、今の西新宿副都心にあたる場所には淀橋浄水場という浄水場がありました、というところまでは知っていたのですが、本当に橋があったのは知らなかったですね。この小さな川を渡る橋が巡り巡って全国有数の家電量販店の名前になるんだから地名って面白いです。橋の名前ってあんまり地図にも書かれてないので、歩いてみないとわからない。

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ということで新宿に到着。2時間程度でした。

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SOMPO美術館の新しい建物が完成していました。先ほどのマンションとも同じですが、無機質な表面に有機的な形というのがとてもよいですね。

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ここの通り、猥雑な新宿ごしに清冽な新宿が見え、「新宿!!!!」という感じがします。

ということで面接。歩いてきたという話、人をダメにするソファの話、さびれた温泉街の話などをしました。終了。

帰りはどうしようか迷ってたのですが、面接官に「帰りはどうするの?」「あ、歩いて帰ります!」と言ってしまったので歩いて帰ることにしました。

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西新宿ってゲームの中にあるような町並みが興味深い一方で、単調なので歩くのはあまり楽しくないなという感じがします。あとアスファルトの照り返しなのか、なんとなく蒸し暑い気がする。この通りは特にゲームだなあと思いました、やったことないけどGTAとかこういうイメージですね。

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㈱永谷。株も永も谷もよいですね。永も谷も一文字だけ取り出したら文字として認識できなそうな気がします。

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新宿は細くて閑静な路地でも振り返ると突然の超高層ビルがいらっしゃるのがなかなか強烈です。歩くぶんには楽しいけど住むってなるとなんか監視されてるような気がしそう(まず高くて住めないですが)。

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西新宿五丁目駅(清水橋)の看板です。大江戸線の駅ですね。西新宿五丁目はその名の通り新宿区にあるのですが、渋谷区との区境に位置しており、渋谷区としては「清水橋駅」としてもらいたかったようで、副駅名として採用されています。この看板は渋谷区側にあるために(清水橋)が付いており、その結果、ただでさえ長い駅名が更に長くなってしまっている、というどうでも良い知識を皆様に授けておきます。

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渋谷区だの新宿区だのというとオフィスやタワーマンションを想像してしまいますが、こんな普通の路地もあると思うとなんだか安心できます。

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これはいい道だと思って撮りました。なにより、起伏が目に見える。通学路の古びた看板と、スクールゾーンの道路ペイントがあり、木が生い茂り、奥には町工場が見える。これは良いです。中野区に入っています。

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中野新橋駅前です。中野新橋駅は東京23区の中でマイナーな駅ランキング上位に入っていると思いますが、丸ノ内線の支線の駅です。気取らない感じが良いですね。

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氷川神社がご鎮座しておりましたので就職活動の成功をお祈りしておきました。

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こちらとてもかわいいお医者さん。クリニックとかじゃなくて「診療所」なのが良いです。かかりつけたい。

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いかつい屋上のあるアパートがあると思ったら、テニスコートでした。すごい。この形式は初めて見ました。西日に向かって歩くのが暑い頃合いです。文も切れ切れになってきました。

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東高円寺駅前、蚕糸の森公園まで来ました。鴨です。たくさん人がいました。

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このくらいの規模感の公園良いですね。徒歩5分にほしい。

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高円寺の町医者です。今もやってるんでしょうか。さっきのが診療所だとしたら、これは「醫院」という感じ。「ほねつぎ」もかわいいですね。

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ということで高円寺。急に色がビビッドになりました。改めて2mって結構な間隔だなあと思います。

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小杉湯。噂には聞いていましたが実際に見たのは初めてでした。小杉湯自体がおしゃれなのかと思っていましたが、そういうわけではなく、横にある「小杉湯となり」がおしゃれなコミュニティスペースになっていました。実際におばあちゃんが入浴しにやってきていましたし、いいやり方だなあ。風呂に入りたいけど我慢です(というかまだ入ってない)。

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木のせり出し具合がLOVEです。

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「大和鹿鳴公園」という公園につきました。なにか鹿鳴館に関連しているのかと思いましたが、特になにもないみたい。高円寺から徒歩圏内だし、夜な夜なダンスパーティーが開かれているのだろうと勝手に思っておきます。

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「高円寺らしさ」はこの動物たちが登場する感動のフィナーレをもって終了いたしました。

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掲示板にある自治会の名前を見るのが結構好きなのですが、これはかなり驚きの自治会名。「鷺南自治の会」。「の」って。「鷺南」も鷺ノ宮の南であることが由来だと思われますが、読みは「ろなん」でしょうか、読みづらいし、不思議な響きですね。

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これは登場する色の数が多いなと思って撮った写真です。

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都立家政まで来ました。この写真も色が多いですね。都立家政はもともとそういう名前の高校があったことで駅名がつけられたのですが、今は改名してなくなっています。都立大学といい、都立○○駅のミスリード感すごいですね。

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都立家政の利点は都立じゃなくても都立っぽくなるところです。国立(くにたち)と友達です。どうでもいいですが英語表記が「DENTAL CLINIC」だけなのが編集忘れみたいでちょっとおもしろいです。

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タクシー会社の前に張ってあった布です。てっきり最初は周辺住民が「うるさいぞ」的な感じで張っているんだと思いましたが、「近隣の皆様」と呼びかけているあたり、会社が張っているものなのでしょう。とはいえ、「騒音によりご迷惑をおかけします」ではなく「騒音環境です」っていうのが開き直りっぽくてなんか腑に落ちないです。

ということで腑に落ちない状態で帰宅しました。帰りも2時間くらい、合計4時間でした。

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靴ずれしました。痛いです。

おさんぽマップ0527

ということで、みなさま、私のそこまでおもしろくない散歩に付き合ってくれてありがとうございました。それでは。

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