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【The Daily】コロナと共に生きる未来予想図 ('20/4/20)

これは僕が聞いたポッドキャストの要約です。
今はどうしても新型コロナ関連の情報がほしいため、主にアメリカの報道系のポッドキャストを聞くようにしています。
日本のマスメディアの伝え方、ソーシャルメディア内で繰り広げられている騒ぎを見聞きしているだけではこれから先のことが見通せないのでは、と感じています。
マスもソーシャルも全てを否定するつもりはないのですが不要で本質からかけ離れた無駄な内容が大半を占めていて、情報収集の場として非常に効率が悪いなぁ…と。
そんなこともあり、多くの人が知っておいて損はないかな?と感じたものをnoteに投稿しています(自分の頭の中の考え方を整理するためにも)。
ただ、配信からの鮮度という意味ではなかなかリアルタイムで投稿できていないのですが、その点はご容赦ください。

状況の変化に人の感覚が追いつけない

今回は以前も投稿したアメリカ老舗新聞紙 New York Times が配信している「The Daily」より、" Our Science-Fiction Future " ('20/4/20 配信)を取り上げます(サブタイトルは "The Next Year (or Two) of the Pandemic" に変更('20/4/21 現在))。
このエピソードは、本プログラムのホスト役を務める Michael Barbaro 記者が NY Timesで疫病などの分野に精通しているサイエンス・ヘルス担当のDonald G. McNeil Jr.記者に中長期的な展望を聞く形で進みます。

なお、このポッドキャスト番組は、Spotify, Apple Podcast, Google Podcast, 等で無料で聴くことができます。
書き起こしはコチラ(英語)

2週間前('20/4/6)の配信回を以前取り上げたのですが、その時のサブタイトルは "A Historic Unemployment Crisis (歴史的な失業危機)" でした。


この回では3月後半の2週間で失業者が1,000万人にも達し、例を見ない状況であることが伝えられていました('20/4/16 の発表では、アメリカの失業者は2,200万人超)。
改めて前回の記事に目を通したうえで、今回のエピソードを聞き終えた今の率直な感想は、「新型コロナと共に生きていく」ことを考えるフェーズに移行したな、ということです。

新型コロナを受け入れて生きていく準備を

このエピソードについて結論から先に書くと、「新型コロナを受け入れつつ、社会が改善に向かって舵を切ることに期待しよう」というメッセージが込められている。
McNeil氏は2月の段階で「ロックダウンに備える必要があるだろう」と予告し、そこからたて続けに「死亡率があがるだろう」「身近な人の死を見ることになるだろう」「医療物資が不足するだろう」とそれが実際に起こるよりも前に状況を予測し、実際にそのとおりのことが起こってきている。
ということで、今回Barbaro記者から、

「いつ、どのような形で社会は再開するのか?」
「どのような業種から活動可能か?学校は活動できるか?」
「地域ごとにどのようなやり方をとればいいのか?」
「ワクチンの開発にはどれぐらい時間が必要か?」

といった、いまほとんど全ての人が知りたいことを矢継ぎ早に質問されるMcNeil氏。
全ての質問に対して、丁寧に回答を重ねていく中で共通しているのは、

「パンデミック以前の世界に戻る、というシナリオはいまは用意されていない」

ということ。
ワクチンが開発され、それが普及するまでの間は過去の最短例(おたふく風邪のワクチン接種)を踏まえると4年かかる事も考えられる。
それまでの間、ソーシャル・ディスタンスなどの行動制限を実行し、感染者数を低い状態で抑え込む努力をし続ける必要がある...と。

これまでと異なる人の区分が誕生

これはSFの中のデストピアのような話だが、この世界にしばらくの間

新型コロナへの免疫がある人 / 新型コロナへの免疫がない人

という新たな2種類のクラスが生まれ、それぞれに異なる基準・生き方がでてくることになるのではないか、と McNeil氏はいう。

免疫がある人が就くことができる仕事
免疫がない人にはリスクのある仕事
免疫がある人が気にしなくてよい活動範囲
免疫がある人にはリスクのある活動範囲

免疫がある人は現時点では非常に少数だがそれは新型コロナに「感染した人」であり、その人の血液にある抗体が必要とされている。
社会活動を再開するためには、免疫がある人とない人を見分けるシステムも必要となるという。

社会全体でハンマー&ダンス理論を実践していくことが不可避である

彼が上記のような見解を述べていく上で、最大の拠り所にしているのは、3月19日にTomas Pueyoが発表した “The Hammer and the Dance" 理論 とのこと。
現在ロックダウンを実践しながら、感染曲線を平坦にすることを試みているが、限りなく曲線を下げた上で平坦にすることが必要で、今はまだまだその局面にない、という。

それでも「未来はバラ色」?

このままだと当面かなりの辛抱が求められ、暗澹たる気持ちになるが、McNeil氏にはバラ色のビジョンがあり、それが今生きるモチベーションになっているという。

第一次世界大戦と第二次世界大戦の後でおこったことを振り返ってみよう。
第一次世界大戦とスペイン風邪のワン-ツー-パンチを食らった辛い20年代を先人は経験していることを思い出してみよう。
第二次世界大戦後には、ヨーロッパでは戦時中の未亡人が多く生まれ、年金基金が生まれた事をきっかけにヨーロッパが福祉国家になった時期があった。
戦争で大儲けした人たちは突然増税され、多くの厳しい目を向けられることになった。
人々は、その時までに、金持ちにはかなりの不満を持っていた。
人々は復員軍人援護法を望んだ。
人々は連邦政府が後押しする住宅ローンを望んだ。
人々はより良い医療制度を望んだ。
そして人々はこれらをある程度手にすることができた。
私は1954年生まれで私の両親は、大恐慌と第二次世界大戦を乗り越えてきた世代だ。
彼らが歩んできた人生、そして人生観は我々と異なる。
彼らは自分たちが実現してきたことに対して「とんでもないこと(ポジティブな意味)を成し遂げてきた」という感覚を持っていた。
人々はこれらを同時にやりとげた。
人々はこれら困難を乗り越えてきた。
私はそのような時代が再び訪れることを望んでいる。
人々が人生の小さなことにもっと喜びを感じるように。
お互いを大切にするためにもっと努力することを、
それが社会のあらゆるレベルで浸透していくことを願っている。
私は未来を予測することはしないようにしているが、過去に先人がやり遂げたようなことが、今回のパンデミックをきっかけにできるかもしれない。
I have visions for the future that are rosy, and that keeps me going too.
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If you look at the periods after World War I and after World War II, not only did the economy come back after both those periods.
Remember, after the one-two punch of World War I plus the Spanish influenza, we had the roaring ‘20s.
After World War II, we had a period in which, in Europe, the war widows and pensions fund became the European welfare state.
War profiteers suddenly faced higher taxes and a lot of scrutiny. 
People had pretty much had it with the rich by that time, and they wanted more.
They wanted the G.I. Bill.
They wanted federally-sponsored mortgages for housing.
They wanted better health care. And to some extent, they got it.
I was born in 1954, and my parents were of the generation that had made it through the Great Depression and through the Second World War.
And they had a different attitude on life.
They had a sense of, hey, we did this incredible thing.
We did it all together.
We got through it.
I hope that sort of era comes again, that people will take more pleasure in small things in life.
And that we will do more to make sure that we take care of each other,
and that that’ll go through all levels of society.
And like I said, I try not to predict the future, but maybe something like that will emerge from this.

「新型コロナ」だけを解決すればそれでよいのか?

すでに様々なところで「New Normal」という言葉を耳にするし、日本では noteの中でも「ウィズコロナ」という単語を目にする事も増えてきている。
(個人的には「ウィズコロナ」はいかにも和製英語的でダサいし恥ずかしいので一般的には受け入れられていくと思うがあまり拡まってほしくない。)

欧米では新型コロナより前の世界に戻ろうとするのではなく、新しい世界を作ろうという重力が働きつつあるような気がする。
夏を迎える頃には、環境問題とセットで考えることなどもより合理的に思える状況になっててもおかしくないと思うのだが、その時日本は新たな未来を切り拓く覚悟ができているだろうか?
それとも、過去に戻ることにこだわり続けるのだろうか?

最後にもう一つ 、英国のThe Guardian が配信している "Audio Long Reads" のエピソード「ノーマルには戻れない:新型コロナは世界をどのように変えようとしているのか?」からの一節を抜粋する。

<From the article of ‘We can’t go back to normal’: how will coronavirus change the world?>
How do we prevent the world from going back to a version of the way it was before Covid-19, with the virus vanquished but all of the old ongoing disasters still unfolding?
我々は世界が新型コロナ以前の世界に、ウィルスは消滅し、それ以前から続いていた厄災はそのままの状態の世界に戻ることを防ぐためにはどのようにすればよいのだろうか?
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What happens next might depend on the optimists’ ability to transport such moments of solidarity into the broader political sphere, arguing that it makes no sense to address Covid-19 without at least trying to fix everything else, too, creating a world where our shared resources do more for more people. “We don’t even have a language for this emotion, in which the wonderful comes wrapped in the terrible, joy in sorrow, courage in fear,” wrote Solnit in A Paradise Built in Hell. “We cannot welcome disaster, but we can value the responses, both practical and psychological.”
次に何が起こるかは、この連帯の時をより広い政治圏に移管することができる楽観主義者の能力にかかっているかもしれない。
ウィルス以外のすべての問題を少なくとも修正しようともせずに新型コロナに対処することは無意味だと主張することができ、共有資源がより多くの人々のために役立つ世界を創造することができる楽観主義者たちの能力に。
"私たちはこの感情を表す言語さえ持っていない… 恐ろしさの中に素晴らしさが、悲しみの中に喜びが、恐怖の中に勇気が包まれたこの感情を。"
ソルニットは「災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか」の中で書いています。 "我々は災害を歓迎することはできないが、実用的かつ心理的な反応の両面を評価することはできる。"







新型コロナウィルス関連で今後様々な社会貢献の動きが出てくると思います。 いただいたサポートは、全額社会貢献活動に還元させていただきます。