めい

決して私を選ばない華麗なる男たちをメンヘラ色全開で紹介していくぜ( ¨̮ ) ついったー…

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決して私を選ばない華麗なる男たちをメンヘラ色全開で紹介していくぜ( ¨̮ ) ついったー@mei1sx

最近の記事

誰かのものになった人

その人は紅の豚を観たことがないと言った 「まさか紅の豚を観ずに大人になるつもりなの?」 私はすぐに近所のGEOでDVDを借り、300円のワインを数本セブンイレブンで仕入れてから彼の部屋に乗り込んだ 大学4年生の秋だった 下宿先が徒歩5分のその人とは毎日のように顔を合わせていたし、一緒に過ごす時間が楽しかった 2人の間に色っぽい話や大人なエピソードは微塵もなく、その関係を私はとても気に入っていた その夜だって楽しかった 安酒に酔いながら、紅の豚を観た 飛行シーンでは歓声をあ

    • 煙草の人

      煙草を吸う姿が綺麗な人だと思った 煙を吐き出す時に少し上にやる視線や、煙草を挟む指がとても綺麗で、その人が煙草を吸う姿を見るのが好きだった その人は何でも持っているように見えた だけど時々酷く寂しそうにも見えた そんなに沢山の物を持っていて、人に囲まれて、愛されて、何が不満なんだろう 他に何が欲しいんだろう 望む物があるのなら何でも差し出してあげたいと思ったし、これ以上何一つ手に入れさせてたまるものかとも思った その人は私たちの関係を「いつか終わるもの」だと言った 「酷い

      • 正直な人

        その人は、中学時代の友人の「元恋人」だった。 その友人は私が遭遇した初めての「変人」で、私は中学時代その女の子に心底惹かれていた。 そんな女の子が初めて選んだ「恋人」は、私の目から見てあまりにも「普通」の男の子だった。 「あの子が君を選んだ時、正直がっかりした」 私は酔っているのをいいことに、約10年ぶりに再会したその人に理不尽で不躾な言葉をぶつけた。 その人は「うるさい」と、怒った表情を作りながらも笑ってくれた。 私は当時、大好きな友人を「普通の男の子」にとられたことが

        • 私を嫌う人

          その人は私のことが心底嫌いだと言った。 ダムの決壊か!という勢いでその人の口から溢れ出した「私の嫌いなところ」に私は押し流されながら、「まぁ、そりゃそうだろうなぁ」とぼんやり悲しんでいた。 その人が泣きながら訴え続けた「私の嫌いなところ」は、付き合っていた当初同じ口から同じ声で伝えてくれていた「私の好きなところ」と完全に一致していた。 長所と短所は紙一重という。 それなら他人の「好きなところ」と「嫌いなところ」も紙一重ということなのか。 私は、良くも悪くも数年前から何も変わ

        誰かのものになった人

          好きな人の親友だった人

          その人と付き合うことになったと報告した時の友人の顔を、私は未だに忘れられない。 友人は「軽蔑」と「理解不能」をしっかりその表情に表したうえで「どうして?」と尋ねたが、彼女を納得させられる回答が何も思い浮かばず、私はただ逃げるように笑うしかなかった。 中学生の初夏、私に初めて「彼氏」ができた。 その「彼氏」は、つい前日まで私が友人にキャッキャと話していた「私の好きな人」の「親友」だった。 私はその頃、高校生のバンドマンに片想いしていた。 だけど、彼と付き合いたいという願望

          好きな人の親友だった人

          それだけの人

          その人のことを思い出す時、私の語彙力は機能しなくなる。 それは「好きすぎて」だとか「思いが溢れて」なんて可愛い理由ではなく、単に「思い出せるような思い出がない」というだけだ。 もうずっとその人の存在ごと忘れていたのだけれど、10年以上経った今になって、ふとその人のことを思い出したくなる時がある。 結局思い出せることなんてさほどないのだけれど。 背伸びして言うなら、多分それが初恋だった。 もう少し核心をつくのであれば、それはただの迷走だった。 私は彼のことなんて殆ど何も知ら

          それだけの人

          電話の人

          私には約9ヶ月間、ただ無償で私を肯定し続けてくれるだけの存在がいた。 その人は毎週月曜日と木曜日、私が眠るまでの15分、ほぼ欠かさずに電話をかけてきてくれる人だった。 彼はあまり自分の話をしなかった。 脳味噌を半分眠らせたような状態でポツポツと脈絡のない話をする私に、ただ肯定的な相槌を打つだけだった。 「すごいね」 「頑張ってるね」 「偉いね」 「面白いね」 「無理しないでね」 「君と話せることだけが僕の楽しみだから、ありがとう」 私たちは週2度だけ当たり前のように電

          電話の人