マガジンのカバー画像

「さびしさは鳴る。」

19
自作小説を集めたものです。表題は、某芥川賞作品の有名な冒頭から、拝借致しました。
運営しているクリエイター

2014年7月の記事一覧

「御盆の頃に思うこと」

いつの御盆だったか、もう思い出せないのだけれど、私の家は毎年ちゃんと供養をする家で、その年も親戚一同が祖母の家に集まって、迎え火を灯す夕暮れの中にいた。

8月のその日は例年より幾分涼しくて、田舎の、畑のど真ん中に建つ祖母の家で、久しぶりの従兄弟たちと一緒に網戸のそばで日が暮れるのをぼーっと眺めていた。

あまりにも綺麗な夕日だったことと、最近買ったばかりのデジタルカメラのことを思い出して、私は荷

もっとみる