見出し画像

ワクチン接種。スマホを忘れた。


よく晴れた土曜日。都庁に2回目のワクチンを打ちに行く。
不安のドキドキ感と、いつもと違う場所に行くワクワク感。
ソワソワと家を出たら、駅に着いたところでスマホを忘れたことに気づいた。


家に戻ったら予約に間に合わなさそうだ。
少し迷って、スマホは諦めて、切符を買った。


電車に乗っても手持ち無沙汰だ。熱心に人間観察をしてしまう。
スーツ姿がキマってる人、頭から爪の先までブルーでコーディネートしたバリキャリ壮年女性。
横に座っているお父さんは、以外にもスマホで少女漫画を読んでいる。
親近感湧くわー。
いつもと同じ電車がとても新鮮に感じる。


そういえばワクチンを打ち終わったら、神楽坂の毘沙門天に行こうと思ってた。でもスマホなしで辿り着けるのか?

私は、出発地点から真逆に歩いてしまうほどの方向音痴だ。
そもそも行きたかったお寺は、なんていう名前だったっけ。

地図を探してみたけど、今時コンビニに地図はなかった。観光情報誌もテープで封をされている。新宿の避難区域を示した街頭の地図では、神楽坂の目的地までは網羅していない。

都庁から何線に乗ればいいのかもわからなかったが、路線図は手帳の後ろに載っていたのを思い出した。

都庁の入り口に観光案内所があって、そこで神楽坂の観光マップをもらい、目的のお寺は善行寺だとわかった。なんとか希望の光が見えてきた。


ワクチン接種会場の受付では、予約メールを確認しますと言われ、ヒヤッとした。
ここまで来て引き返すのか・・・!と一瞬落胆したが、スタッフさんに「1回目と同じ種類と会場なんで、このままお通ししますね」と言ってもらえた。とてもホッとした。

待ち時間も退屈で、noteに書きたいことを手書きでメモしていた。
手帳の空きスペースにびっしりと文字を書いたところで、疲れた手を振り払う。手書きははこんなにもめんどくさかっただろうか。文明の利器に頼り切った生活をしていることを思い知らされる。

展望台の眺めとかも写真に撮りたかったな。スマホを持ってたとしても、周りの目が恥ずかしくて撮れなかったかもしれないけど。


都庁から牛込神楽坂へ着いて、観光マップを見つつ善行寺という名の毘沙門天を目指す。駅からお寺まで10分足らずの道のりを、30分以上もかけてしまった。道に迷ったからではない。初めて歩くその道が、素敵だったのだ。

低い垣根。そこに這う蔦。葉の合間に見え隠れするたくさんの小花と、木造のドア。綺麗に青に塗られた壁の鮮やかさ。
人の暮らしを感じる。
古民家の並びに、フレンチレストランも混在し、和から洋とお洒落なお店が連なっている。

ここも写真に撮りたかった。
お土産に、栗きんとんと白檀のお香。


善行寺でのお参りを済ませてお腹も空いたので、家に帰ろうと駅に向かう。
5分ほど歩くと、途中で大きな赤い鳥居を見つけた。
赤城神社だ。フリーマーケットを開いている。買う気もないのに足が向く。
鳥居をくぐったからにはお参りをしなければ。境内で手を合わせ、ふと横を見る。今度は大きい開放的な窓があるレストランを見つけた。
へぇ、境内にオシャレなレストランなんて珍しい。
今日はここでランチにしよう。

玄米のリゾットでお腹を満たし、ちょっとお洒落で美味しいものを食べたぞ、と心も満たされる。



今度こそ帰ろうと、歩いて5分程の駅に向かうが、15分歩いても一向に駅に着かない。

やっぱり迷った。私の現在地はどこだ。誰か位置情報を教えてください!
観光マップを持っていてよかった。どうやらお寺を出発した時点で真逆に進んでしまったようだ。現在地は既に地図から外れている。


スマホを忘れると、もう日常はRPGのようになってしまう。


でもスマホを忘れた日は、ちょっとラッキーだと思う。
スマホなしでどこまでやれるか、楽しくなってしまうのだ。
視野は広くなるし、五感が鋭くなる。いつもと同じことが新鮮に感じるのだ。
十数年前は普通にしていたことなのになぁ。

それに、スマホを持ってたら、赤城神社に迷い込んで美味しいランチにありつくことはなかった。

スマホを忘れた日は、ちょっとのスリルとハプニング、スマホが無かった時代の懐かしさが楽しい。
そして新しい発見と嬉しくなるようなことが、必ず起こるのだ。


#スマホを忘れただけなのに #神楽坂 #ワクチン #新発見

家族に美味しいもの買ってあげたいと思います!世界平和をお祈りしに神社へ行きます!